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プロローグ2 Girl side
最初はただの夢だと思った。
突然目の前に現れた『非日常』は、彼女にそう錯覚させた。
だけど違う、そうじゃない。間違っているのは自分だ。あれは確かに、そこに存在している。
その少女は『非日常』を受け入れた。何の迷いもなく、自分の身体の一部であるかの様に、いとも簡単に。
「――おもしろそうね」
少女は本当に楽しそうにそう言った。
少女は何もない日常にウンザリしていた。何事もなく過ぎていく日々に、物足りなさを感じていた。学業も私生活も順風満帆。だからこそ、日常に劇的な変化を起こしたかった。
彼女は非日常に憧れていた。何もない日常には興味がなかった。
だがこの日、この瞬間、彼女の日常は終わりを告げる。憧れていた非日常が、日常という名の怠惰を破壊し始める。
だからこそ彼女は、水嶋暁奈は生きていく事を決めた。
憧れを抱いていた、非日常の中で。