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朝凪高校・恋路工作室 ── 恋愛操作団が愛と願いを叶えます ──  作者: Song1
朝凪高校・恋路工作室 ── 恋愛操作団が愛と願いを叶えます ──
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第20話 嘘の依頼

 第20話 嘘の依頼


 嘘の依頼。嘘の理由。


 志帆は、俺に何を見せたかったのか。


 七月の日曜日。梅雨が明けかけている。空に雲はあるが薄い。光が強くなっている。夏の光だ。春の柔らかさはない。まっすぐに、容赦なく照らす光。


 志帆を呼び出したのは学校の近くの公園だった。工作室では話せない内容だと思った。工作室にはメンバーがいる。志帆の依頼が嘘だったことを、全員の前で突きつけるのは違う。これは志帆と俺の問題だ。


 公園のベンチに志帆が座っていた。私服。白いブラウスとデニムのスカート。ポニーテール。中学のときと同じ髪型。あの頃と変わらない。いや、変わっている。目の下の線が少し深くなった。笑い方が少し大人びた。変わらないのは、俺の記憶の中の志帆だけだ。


「来たね」


 志帆が笑った。しかし笑顔の温度がいつもより低い。自分でも分かっているのだろう。今日の話が、軽い話ではないことを。


 俺はベンチの反対側に座った。距離を取った。翻訳者の距離。近すぎず遠すぎず。相手の言葉が聞こえて、相手の表情が読めて、しかし体温は伝わらない距離。


「志帆。単刀直入に言う」


「うん」


「依頼は嘘だろう」


 志帆の口角が下がった。笑顔が消えた。鎧が剥がれた。


「及川と会ってきた。及川はお前を好きだ。別の女に気持ちが移ったんじゃない。及川がSNSで見ていたのはお前の古い投稿だ。出会った頃の写真。及川は、最初にお前を好きになった頃の気持ちを取り戻そうとしていただけだ」


 志帆は黙っていた。風が吹いた。公園の木の葉が揺れた。木漏れ日が志帆の顔に斑模様を作っている。


「及川に好きな人ができた、というのは事実と異なる。お前はそれを知っていたのか。知らなかったのか」


 翻訳者として聞く。事実確認。証言の整合性チェック。感情を排除する。排除しようとする。


 志帆が顔を上げた。目が赤い。泣いてはいない。しかし泣く直前の目だ。透明な膜が張っている。


「分かってた」


 その三文字で、依頼の前提が完全に崩壊した。


「分かってたの。及川くんが私を好きなのは。別の女の子じゃないって。及川くんが古い写真ばっかり見てるの、気づいてた。最初は本当に不安だったんだけど、そのうち分かった。及川くんは私のことが好きなんだって。好きだから、もっと好きになろうとしてるんだって」


 志帆の声は静かだった。鎧の下の素の声。中学のときに聞いた、志帆の本当の声に近い。


「じゃあなぜ、工作室に来た。なぜ嘘の依頼を出した」


「それは」


 志帆が言い淀んだ。唇を噛んだ。目を伏せた。ベンチの横の地面を見ている。蟻が一列に歩いている。志帆はたぶん蟻を見ていない。自分の内側を見ている。


「恒一に、私の恋を見てほしかったの」


 翻訳者の脳が停止した。


「恒一がみんなの気持ちを翻訳するって聞いた。工作室で、恋の問題を扱ってるって。藤川くんの告白を翻訳したとか、水谷さんの噂を消したとか。共通の友達から全部聞いた」


 志帆の声が速くなった。堰が切れている。抑えていた言葉が溢れ始めている。


「恒一は、他の人の恋は見るのに、私のことは全然見てくれなかった。中学のときからずっと。私が及川くんと付き合い始めたことも、LINEで伝えたのに返事なかったし。私がどう感じてるか、一回も聞いてくれなかった」


 見てくれなかった。


 その言葉が、翻訳者の胸を貫通した。


「翻訳してほしかったの。恒一に。私の気持ちを。恒一が翻訳してくれたら、自分の気持ちが分かるかもしれないって思った。及川くんのことが好きなのか。それとも、私が本当に好きなのは」


 志帆が言葉を切った。呑み込んだ。最後の一文を声にしなかった。


 しかし翻訳者の耳には聞こえていた。声にならなかった一文。呑み込まれた言葉。志帆が言わなかった最後の一行。


「翻訳しろって言うのか。お前の気持ちを。俺に」


 声が掠れていた。自分の声が自分のものに聞こえなかった。


「だって恒一、みんなの気持ちは翻訳するのに、私のことは見てくれなかったから」


 志帆の目から涙が溢れた。こらえきれなかった。一筋。二筋。頬を伝って、顎から落ちた。ベンチの木の表面に、小さな染みができた。


 俺は志帆の涙を見ていた。翻訳者として。いや、翻訳者としてではない。恒一として。


 翻訳者なら、志帆の涙を分析する。涙の意味を翻訳する。悲しみか、怒りか、安堵か。翻訳者の脳は自動的にそれをやろうとする。しかし今、俺の脳は動いていなかった。翻訳エンジンが完全に停止していた。


 志帆が泣いている。それだけが、圧倒的な事実として目の前にある。


 分析できない。翻訳できない。志帆の涙を言葉に変換できない。


 なぜだ。


 なぜ志帆の前でだけ、翻訳者の脳が止まる。藤川の前では動いた。水谷の前でも動いた。佐々木の前でも、園田の前でも。他の全ての依頼者の前で動いた翻訳エンジンが、志帆の前でだけ停止する。


 原因は分かっている。ずっと前から分かっている。辞書を閉じているからだ。志帆に関する語彙を、辞書に載せていないからだ。載せたくないからだ。載せたら、翻訳者ではいられなくなるからだ。


「志帆」


 声を出した。何を言うか、決まっていなかった。翻訳者としての台詞は用意できなかった。設計書はない。設計図もない。白紙だ。


「今は、翻訳できない」


 それだけ言った。


 志帆が泣きながら俺を見た。


「お前の気持ちも、俺の気持ちも。今は翻訳できない」


 正直な言葉だった。翻訳者が翻訳不能であることを認める、最も不格好な言葉。しかし嘘はつけなかった。ここで嘘をついたら、翻訳者としても恒一としても、終わる。


「お前が工作室に来た理由は分かった。依頼は嘘だった。及川の気持ちを忘れさせてほしいんじゃなく、俺に自分の恋を見てほしかった。翻訳者としてじゃなく、恒一として」


 志帆が小さく頷いた。涙が止まらない。


「でも俺は、今はそれに答えられない。翻訳者としてもできないし、恒一としてもできない。俺自身の気持ちが分からないんだ。志帆に対して何を感じてるのか、辞書に載ってない。載せてこなかったから」


 声が震えた。翻訳者が自分の翻訳不能を告白している。参謀が自分の無力を認めている。最も不格好で、最も正直な瞬間。


 志帆が袖で涙を拭いた。鼻をすすった。


「うん。分かった」


 声は小さかったが、崩れてはいなかった。泣いているのに、折れていない。志帆は強い人間だ。強いから、嘘の依頼なんて面倒なことをしてまで、俺のところに来られた。


「ごめん。嘘ついて。恒一のこと、困らせたかったわけじゃないの」


「分かってる」


「ただ、恒一に見てほしかったの。翻訳者としてのあんたに、私を翻訳してほしかった。そうすれば、自分の気持ちが分かると思った。自分じゃ分からないから」


「分かってる。でも」


 俺は続けた。


「お前の気持ちを翻訳するのは、俺じゃないほうがいい。俺は客観的になれない。志帆に対しては、翻訳者でいられない。感情がノイズになる。ノイズが入った翻訳は、嘘より悪い」


 志帆が俯いた。


「恒一も、分からないんだ」


「分からない」


「私のこと、どう思ってるか分からないの」


「分からない。分からないまま、辞書を閉じてきた。開けなかった。怖かったから」


 怖い、と口にした。翻訳者が「怖い」と認めた。感情を言語化した。しかしそれは翻訳ではない。翻訳は他人の感情を言葉にすることだ。自分の感情を言葉にすることは、告白に近い。


「恒一」


「ん」


「いつか、辞書開けてよ」


 志帆が泣きながら笑った。涙と笑顔が同時にある顔。美しいとも痛々しいとも違う。ただ、正直な顔だった。嘘をやめた人間の顔。


「約束はできない」


「うん。約束しなくていい。でも、いつか」


 いつか。中学の卒業式の「またね」と同じ二文字。いつか。未来への投擲。届くかどうか分からない言葉を、空に投げる。


 俺は答えなかった。頷くことも、否定することもしなかった。


 志帆が立ち上がった。ベンチから離れた。


「及川くんには、ちゃんと話す。嘘ついてたこと。工作室に来てたこと。全部」


「ああ。それがいい」


「及川くんは怒るかな」


「怒らない。及川はお前のことが好きだ。好きな人間に嘘をつかれても、好きな人間は怒るより先に心配する」


 翻訳者の言葉が、不意に戻ってきた。及川の感情なら翻訳できる。他人の感情なら翻訳できる。志帆の感情は翻訳できないが、志帆の彼氏の感情は翻訳できる。その非対称が、翻訳者の矛盾を照らしている。


「恒一らしいね。他の人のことは分かるのに」


「ああ。俺らしいよ」


 志帆が手を振った。小さく。「じゃあね」。またね、ではなく、じゃあね。ニュアンスが違う。「またね」は再会の約束。「じゃあね」は今日の別れ。志帆は「いつか」を先に投げたから、「じゃあね」で十分なのだ。


 志帆が公園を出ていった。木漏れ日の中を歩いていく。ポニーテールが揺れている。背中が小さくなっていく。


 俺はベンチに座ったまま動けなかった。


 翻訳者が試されている。これまでで一番大事な翻訳。志帆の気持ちを翻訳すること。そして自分の気持ちを翻訳すること。


 でも俺は、辞書を閉じた。開けなかった。怖かったからだ。


 怖いのは何だ。志帆に対する感情を言語化したら、翻訳者のポジションが崩れる。客観的な翻訳者が主観的な感情を持った瞬間、翻訳の精度が永久に落ちる。工作室の参謀として機能しなくなる。


 しかし本当は、そんな論理的な理由ではないのだ。翻訳者はいつも論理で感情を包む。玲奈と同じだ。論理の言葉で感情を翻訳してから出す。しかし志帆に対する感情は、論理の包装紙では包めない。大きすぎるのか。熱すぎるのか。分からない。分からないから包めない。包めないから開けない。


 堂々巡りだ。


 ベンチから立ち上がった。公園を出た。海沿いの道を歩いた。七月の午後。光が強い。影がくっきりしている。梅雨明けが近い空。青が見えている。


 工作室に向かった。


 ドアを開けた。玲奈がいた。一人で。陽太と凛花はいない。日曜日だから、玲奈だけが工作室にいたのだ。


「どうだった」


 玲奈の声は平坦だった。しかし目が鋭い。俺の状態を一秒で測っている。


「依頼は嘘だった」


 俺は椅子に座った。体が重い。精神的な疲労が物理的な重さになっている。


「志帆の、嘘だった」


 声が小さかった。


「及川に好きな人ができたというのは嘘。及川は志帆のことが好きだった。志帆もそれを知っていた。知った上で、嘘の依頼を出した」


 玲奈は黙っていた。聞いている。


「志帆の本当の目的は、俺に自分の恋を見てほしかった。翻訳者としての俺に、志帆の気持ちを翻訳してほしかった。自分では分からないから。中学のときから、俺は他の人の気持ちは見るのに、志帆のことは見てくれなかったって」


 声が震えた。最後の一文を言うのが苦しかった。


「志帆はお前に見てほしかったのか」


「ああ」


「お前は見たのか」


「見られなかった。翻訳できなかった。志帆の前では翻訳者の脳が止まる。俺自身の感情がノイズになって」


「自覚はあるんだな」


「ある。あるけど、どうすることもできなかった」


 玲奈がホワイトボードの前に立った。マーカーを取らなかった。書くことがないのだ。依頼は嘘だった。設計書は意味を失った。ホワイトボードに書かれた情報は全部、嘘の上に建てられた砂の城だ。


「高瀬。嘘の依頼を受けてしまった事実がある」


「はい」


「この情報が校内に漏れたら、工作室の信用は終わる」


 俺の背筋が冷えた。


 嘘の依頼。工作室が嘘の依頼を受けた。依頼者に騙された。翻訳者が依頼者の嘘を見抜けなかった。いや、見抜けなかったのではない。見抜かなかった。志帆の言葉に対して、翻訳者として当然やるべき精査を怠った。感情がノイズになって、嘘を嘘として検出できなかった。


「工作室は嘘の依頼も受けるのか」。そう言われたら、工作室の原則そのものが疑われる。心は操作しない。場を作るだけ。しかし嘘の依頼を受けた時点で、工作室は操作された側になる。依頼者に操作されたのだ。


「漏洩のリスクは」


 玲奈が聞いた。


「志帆は工作室に来たことを及川に話すと言っていた。及川は朝凪高校の生徒ではないから、校内への漏洩リスクは低い。しかしゼロではない」


「志帆自身が掲示板に書くリスクは」


「ない。志帆はそういう人間じゃない」


「お前の主観だ。客観的根拠は」


 反論できなかった。客観的根拠はない。志帆を信じているのは翻訳者の判断ではなく、恒一の信頼だ。


「漏洩対策は後で考える。今は」


 玲奈が俺を見た。


「お前の状態が問題だ」


「俺の状態」


「翻訳精度が落ちている。嘘の依頼を見抜けなかった。これは参謀として致命的だ」


 その通りだ。翻訳者が嘘を見抜けないのは、翻訳者の存在意義の否定だ。他人の言葉の裏を読むのが仕事なのに、志帆の裏が読めなかった。


「原因は明確だ。お前の感情がノイズになっている。志帆に対する未清算の感情が、翻訳の精度を破壊している。このまま放置すれば、次の依頼でも同じことが起きる」


「分かっています」


「分かっているなら処理しろ。翻訳者が翻訳不能な状態は、工作室にとってリスクだ」


「処理するって、どうやって」


「自分の辞書を開け。志帆に対する感情を言語化しろ。翻訳者の道具で、翻訳者自身を翻訳しろ。できなければ」


 玲奈が言葉を切った。


「できなければ、参謀を降りてもらう」


 重い。その一言が、鉛の塊のように俺の肩に落ちた。


 参謀を降りる。工作室から離れる。翻訳者としてのポジションを失う。


「今すぐ答えろとは言わない。時間をやる。しかし、次に依頼が来るまでに自分の中を整理しろ。整理できなければ、お前は次の依頼に入れない」


「了解です」


 声が小さかった。


 玲奈は何も言わずに工作室を出ていった。日曜日の工作室に、俺一人が残された。


 窓の外を見た。七月の空。雲が切れている。青い空が広がっている。梅雨が明けかけている。海は灰色から青に変わり始めている。朝凪の海が、夏の色を取り戻そうとしている。


 しかし俺の中の天気は、嵐の後の凪に似ていた。何も動かない。何も感じない。疲れ切った空白。


 志帆の涙。「見てくれなかった」。「翻訳してほしかった」。「いつか辞書開けてよ」。


 全部が頭の中で反響している。エコーのように。何度も何度も。


 翻訳者は自分を翻訳できない。それは翻訳したくないからだ。翻訳したくないのは、怖いからだ。怖いのは、翻訳した結果を受け入れる準備ができていないからだ。


 志帆に対する感情。辞書に載せていない語彙。中学時代から蓋をしてきた一行。


 いつか開ける。いつかは分からない。でも、玲奈は期限を切った。次の依頼が来るまでに。


 次の依頼が来るまでに、俺は自分の辞書を開かなければならない。


 開けるのか。


 分からない。


 工作室の電気を消した。廊下に出た。日曜日の校舎は静かだ。足音が響く。


 帰り道。海沿いの道。七月の夕暮れ。空がオレンジ色に染まっている。海面が金色に光っている。梅雨明けの空は鮮やかだ。色が強い。春の空とは違う。夏の空は、逃げ場がないほど明るい。


 スマホを取り出した。志帆のLINEを開く。最後のメッセージは昨日の「ごめんね、恒一」。


 返信を打った。


『ごめんは言うな。嘘の依頼だったことは分かった。俺も、見ようとしなかったことは認める。時間がほしい。少しだけ』


 送信した。


 返信は来なかった。志帆もまた、時間が必要なのだろう。


 家に帰った。自室のベッドに仰向けになった。天井を見た。白い天井。何も書いていない。辞書の白紙のページのように。


 嘘の依頼。嘘の依頼者。嘘を見抜けなかった翻訳者。


 工作室は嘘に弱い。嘘は翻訳の対象にならない。翻訳は原文を前提にする。原文が嘘なら、翻訳も嘘になる。嘘の上に設計を建てれば、全部が崩れる。


 志帆の嘘は、工作室の最大の弱点を突いた。依頼者を信じるという前提。原文を信じるという翻訳者の基本姿勢。その前提を、志帆は悪意なく壊した。


 悪意がないから、余計に痛い。


 玲奈の言葉が蘇る。「この情報が校内に漏れたら、工作室の信用は終わる」。


 漏れないと信じたい。志帆は掲示板に書くような人間ではない。及川も朝凪高校の生徒ではない。


 しかし噂は自然発生しない。誰かが最初の一行を書く。志帆が及川に話す。及川が友人に話す。友人が別の友人に話す。どこかで朝凪高校の生徒の耳に入る。そこから掲示板に流れる。


 可能性はゼロではない。


 その可能性が、翻訳者の胸に重くのしかかっていた。


 工作室が嘘の依頼を受けた。翻訳者が嘘を見抜けなかった。その事実が知られたら。


 断罪ゲームのターゲットリストに、工作室の名前があった。すでに火種はある。嘘の依頼の事実が漏れたら、火種に油が注がれる。


 考えるな。今は考えるな。


 今はただ、自分の中を整理する時間だ。玲奈がくれた時間。次の依頼が来るまでの猶予。


 辞書を開け。志帆に対する感情を翻訳しろ。翻訳者の道具で、翻訳者自身を翻訳しろ。


 しかしその辞書のページは、まだ真っ白だった。


 七月の夜。窓を開けた。風が入ってきた。梅雨の湿り気が消えかけている。乾いた風。夏の風。


 朝凪の海が、どこかで波を打っている。静かな波。しかしその波の下には、見えない潮の流れがある。


 嘘の依頼が漏れるかもしれない。忘却屋がまだ動いている。断罪ゲームの火種がくすぶっている。


 全部が同時に動いている。工作室の危機が、翻訳者の危機と重なっている。


 眠れない夜になりそうだった。

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