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「ぬしさまよ。サンレモンを使うなら使うと、先に言って欲しかったの。おかげで、二度と口にしないと決めた誓いを破ってしまったではないか」


 すべてが終わった後。

 ようやく目を覚ましたヴァンの額を鉄扇でグリグリしながら、ユフィはそんな愚痴を零していた。


 場所はウェストンにある宿の一室。

 ツケで借り受けている部屋のベッドの上で寝ていたヴァンは、目を覚ますや否や狐のような少女からマウントポジションを取られていた。

 お腹の上に乗っかったユフィからの攻撃に、起き抜けでまだ頭が働いていないヴァンはとりあえず魔手を伸ばそうとする。

 脇腹への攻撃は、しかし寸前で気がついた少女の鉄扇によってバシバシという軽快な音と共に打ち払われた。


「痛いじゃないか」


「呪いで麻痺しておる癖に、よう言いおる。その口をサンレモンで塞いでやっても良いのじゃよ?」


「それだけは勘弁」


 ヴァンがチラッと横に視線を向けると、そこにはまるでお見舞いのように籠へと盛られたサンレモンの山が置かれてあった。

 ユフィの言葉がただの脅しではない事を察し、ヴァンは両手をあげて降参の姿勢を取る。

 残念ながら、その願いは聞き入れられなかった。


「!?」


 突然に口の中へと放り込まれた果実の味に、ヴァンが一瞬驚愕の表情を浮かべた後、顔を盛大にしぼませる。

 そんな暴挙を嬉々として実行に移してくるのは一人しかいない。


 ヴァンがベッドの上で寝ている間、ずっと側にいてヴァンの身体で色々と弄んでいたシェイニーが邪悪な笑みを浮かべながら見下ろしている。

 その手には半分に切られたサンレモン。

 果汁たっぷりの表面が、傷口に塩を塗るかのようにヴァンの肌の上をゆっくりと滑る。


「残念ね。あなたの回復がもっと遅ければ、もっと楽しい事になったのに」


 幸いにして、ヴァンの傷は寝ている間にシェイニーの法術で癒えているため、そのサンレモンによる惨劇は引き起こらなかった。

 但し、サンレモンが肌に当てられた瞬間にヴァンは強烈な恐怖を感じた訳だが。

 想像上の痛みが戦慄をうみ、ヴァンの身体が身震いする。

 そのヴァンの姿をシェイニーは楽しそうに眺めていた。


 シイナとの攻防でヴァンが最後に取った行動。

 それはシイナの眼前でサンレモンを握りつぶし、飛び散った果汁による強烈な刺激で目を覚まさせるというものだった。


 サンレモンは凶悪な酸味を持っている。

 それは、傷口にあてれば並の者ならば間違いなく一発で気絶してしまうほどの刺激をうむ。

 ヴァンはその効果に着眼し、シイナを謎のバーサーカー状態から正気に戻すという方法を思いついて実行に移したのだった。


「しかし……結局、何が原因だったんだ?」


「ん? なにがじゃ?」


「何って……シイナの事だ。まさかあいつも……」


 最悪の予想が頭をよぎる。

 ヴァンと同じ呪いを受けているのであれば、シイナのあの状況は半分は説明する事が出来た。

 ただ、もう半分は説明出来ない。

 何故かシイナはヴァンを目の仇にしていた。

 その理由が分からない。


「本人に聞いてみれば?」


「なぬ? あの娘、まだ生きておるのか?」


 てっきりシェイニーがトドメを刺したと思い込んでいたユフィが驚きながら問い質す。


「もちろん、生きているわよ。でもまだ寝てるんじゃないかしら」


「そうか……生きてるのか」


 ほっとして喜ぶヴァンを見て、シェイニーの眉がピクリとあがる。

 その後の行動は、もはや反射と言ってもよいものだった。


「!?」


 不意打ちのごとくまた口の中へと放り込まれた果実の味に、ヴァンが顔を盛大にしぼませる。

 今度はハッキリと焼きもちしているシェイニーに、ユフィは自身の考えが杞憂であった事を悟った。

 同時に、ユフィの頭の中でも色々と繋がっていく。


「なるほどの。蜘蛛かや」


 思い返してみれば、シェイニーは執拗にシイナの頭を狙っていた。

 一度目だけならいざ知らず、二度目以降は流石にユフィもおかしいと思っていた。

 ヴァンに本心から嫌われる危険性を無視してまでシイナを殺す理由などない。

 シェイニーの腕前をもってすれば、シイナを行動不能にすることなど造作なきこと。

 四肢を撃ち抜きさえすれば事足りる。


 それでなくとも、シェイニーの放つ矢は聖属性のホーリーアロー。

 物理的なダメージだけでなく魔力へのダメージも与える事が出来るので、魔力切れで気絶させる事も容易の筈である。

 しかしシェイニーはそれをしなかった。

 いくら頭に血が上っていたとしても、それに気付かないシェイニーとは思えない。


 遅まきながらその理由にユフィは気付いた。


「あの娘、子蜘蛛に取り付かれておったのじゃな?」


「子蜘蛛?」


 シェイニーが頷くとともに、この世界の事には無知なヴァンが鸚鵡返しに問いかける。


「左様。ぬしさまは知らぬようじゃから、説明するかの」


 そう言って、ユフィはシェイニーの反応を見ながら解説していった。

 説明が苦手なシェイニーは、これ幸いと相槌と目線だけでユフィの言葉を肯定していく。


 ベルセルクスパイダーは、子蜘蛛を使って獲物を誘き寄せる。

 その子蜘蛛にシイナは取りつかれていた。

 子蜘蛛は対象となる獲物に微弱な毒を撃ち込み、徐々に精神を支配していく。

 それは同時に、シイナがバーサーク状態へと陥った理由の説明にもなった。


 シイナがいつ子蜘蛛に取りつかれたのかは流石にユフィとシェイニーにも分からなかったが、少なく見積もっても3日は必要だと推測する。

 ただの一般人ならいざ知らず、シイナは曲がりなりにも教団関係者。

 【魔】属性の毒が蝕むのは、体力と聖力。

 若干ではあるが聖力が高くなっていると思われるシイナは、その抵抗の御陰で長く持ちこたえる事が出来る。

 それぐらいに子蜘蛛の毒は弱い。

 それ故に、人の種はあまりベルセルクスパイダーの餌食になる事は少なかった。

 ――抵抗の弱い子供は別として。


 ただ、シイナに限っては運が無かったといえた。

 何故なら、シイナはユニオンスライムによって気絶させられていたのだから。

 長く眠っている間に毒が全身を蝕み、起きた時にはもう手遅れだったのだろう。

 毒の効果で冷静な判断や思考が出来なくなったシイナは子蜘蛛の催眠攻撃に抵抗出来なかった。

 結果、折を見て女将のもとから抜け出しベルセルクスパイダーのいる部屋へと誘導されたという訳である。

 子蜘蛛の目的は親元へ獲物を届ける事なので、そのために頭を働かせる。

 女将はシイナが特訓の休憩中にコッソリ抜け出してもまるで気が付かなかった。


 ここまでが、シイナがベルセルクスパイダーと単身で戦うに至るまでの予想の道筋。

 そしてここからは、バーサーク状態に陥ったシイナと、シェイニーが取った行動についての説明となる。


「あの娘がぬしさまに何かしらの恨みを持っているのは確かじゃろうの」


「濡れ衣だ。俺は何もしていない」


「じゃとしても、勘違いというのはいくらでも起こりうる。もしくは、知らぬ所でぬしさまの悪い噂が広まっておるかじゃな。心当たりはあるかや?」


「……」


 押し黙った瞬間、ヴァンの頬がシェイニーの手によってつねられた。


「ま、そこはあまり追求せぬ方が良さそうじゃの。我もあまり聞きとうない」


 ユフィとシェイニーがヴァンと出会ったのは、銀狼の迷宮へと入る約2日前。

 それ以前にヴァンが何をどうして過ごしていたかを2人は知らない。


「ともかく、子蜘蛛はその思いを利用したんじゃろう。何しろ、目の前で我等に親が手痛い目にあわされておったのじゃからの。催眠でも何でもして親を助けようと動くのが普通じゃ」


 誘導された獲物が単体だった場合、普通はベルセルクスパイダー自身がトドメを刺す。

 しかし、親元への誘導に成功した獲物が複数いた場合、子蜘蛛ももう一頑張りして獲物同士を戦わせるように仕向ける事があった。

 今回の場合、それに該当する。


「流石にぬしさまのようにバーサーク化するとは思わんかったが、全身に毒が回りきっておったからの。きっとそういう事もあるのじゃろう」


 実際には、親蜘蛛を殺された事で逆上した子蜘蛛が、復讐のためにシイナを操り始めたからというのが正解である。

 ベルセルクスパイダーのベルセルクという名は、実は親蜘蛛ではなく子蜘蛛のそうした能力から付けられたものだった。

 あまり知られていない事ではあったが、蜘蛛糸で雁字搦めにされて捕獲されていた者を救出しようとしたら、その助けようとした者が突然に襲い掛かってきて命を落とすという事件がままあった。

 親蜘蛛を倒した事で油断しているところに不意を付く形で筋肉のリミッターを解除された狂暴化した人間の攻撃はほとんど必殺に等しい。


 ちなみに、最初シイナがヴァンの背中を刺した時にはシイナはまだバーサーク化していなかった。

 シイナがバーサーク化したのは、ユフィによってベルセルクスパイダーが倒された後のこと。

 でなければ、ヴァンの傷は1刺しどころでは済まなかっただろう。


「それでじゃ。その子蜘蛛の姿は、我の目には見えておらなかったがおぬしの目にはハッキリと見えておったという事で間違いないかや?」


「ええ。頭の辺りにずっといたわね。髪の中でウロチョロ動いていたけど」


「やはりの。じゃから、ぬしさまでもおぬしの矢を防ぐ事が出来たのかや」


 ホーリーアローの矢は、物理ダメージ以外に魔力ダメージを発生させる。

 魔力ダメージがのるからこそ、ユニオンスライムも容易く倒す事が出来る。

 そんなものをヴァンは掴んで止めた。

 一度目だけとはいえ、もしその矢が本当にシイナを殺すために放ったものだったとしたら、その威力は余裕でヴァンの魔力――MP3という数値を軽く吹き飛ばした事だろう。

 つまり、最初の一撃目からシェイニーは手加減したホーリーアローの矢で攻撃していた。

 子蜘蛛程度ならばそれで十分だったためと、もしもを考えて。


 ちなみに、黎水の理で魔法強化したユフィの扇攻撃の場合には、物理ダメージと一緒に聖力ダメージを発生させる。

 但し、聖術そのものであるホーリーアローほどのダメージは発生しない。

 魔法であるために、魔者に対する効果もあまり高くない。

 ユニスラ程度ならば十分効果があるが、ハウンドヴォルフなどにはほとんど扇で殴っているのとダメージ総量は変わらなかった。


「そして、我の目では見つけられなかったのも頷ける。我は魔力しか持たぬからの。あのような小物、髪の毛の中に潜まれておったら見つけるのは至難じゃ」


 影の中に影が潜んでいれば見つけるのは難しい。

 しかし光の中に影が潜んでいれば、その異物は容易に発見出来る。

 ユフィは魔力を源に召喚されているため、似たような存在である魔者の感知はあまり得意ではなかった。

 対して、シェイニーは聖力を源に召喚されている身。

 意識して見れば、子蜘蛛を見つける事はさほど難しい事ではなかった。


 但しその反面、シェイニーは大きなリスクを負っているともいえた。

 何故なら、聖と魔は相反する属性。

 聖属性たるシェイニーの攻撃は魔者への特攻になるが、その反対も然り。

 シェイニーが弓を選択したのもそれが理由の一つでもあった。


 同じ理由で、魔属性たるユフィも近接戦闘武器を選んだ。

 魔属性攻撃では効果が薄いので、物理攻撃を主とした戦闘スタイルにした訳である。

 まぁ二人ともヴァンの側にいないという選択肢が取れなかったので、大方の予想通りともいえた。

 どちらかは必ずヴァンの身近にいて護衛を行わないといけないために。


 もしシェイニーがリスクを背負ってでもヴァンの側にいたいと主張するのであれば、それはそれでユフィは構わなかった。

 その時は、全員が前衛になるだけである。

 元々ユフィは遠距離戦闘は得意ではなかったため。


「つまり、俺の取った行動は余計だったと?」


「そうなるの」


 だとしても、ユフィ自身もその事に気が付いていなかったので、この場合は何も言わなかったシェイニーが悪いという結論に至る。

 言葉に出してその事は言わなかったが、2人はそれでその話題はお終いにした。


「あと分からないのは、俺が受けた背中の傷がなかなか治らなかった件か」


「うぬ? そのような事があったのかや?」


「あった。あの時はちょっとだけ死の覚悟をしたな」


「あのまま死ねば良かったのに」


 当然その言葉は2人とも聞き流して理由を考える。

 好い加減聞き慣れていたので、それが本心からの言葉ではない事をヴァンも気が付いていた。

 むしろ、逆の意味を持っているのだとポジティブ思考する。


「持ち主に聞いてみた方が恐らく早いじゃろうの」












「聞いてるよ。あたしの短剣()砕いてくれたんだったね」


 食堂に赴き話を聞きたい旨を告げると、女将は厨房から酒を持ってきてまずグイッと煽った。

 いきなりの事にさしものヴァン達も驚き、若干身を後ろに引く。


 まだ明るいうちから食堂に酒の臭いが立ちこめ始めていた。

 臭いだけで強い酒だとヴァン達は悟る。


「しかも、そこの嬢ちゃんは丁寧にも集めて持ち帰ってきてくれたんだってね。御陰で、あたしの手元には思い出の欠片すら残らないときた。ほんと、あんた達には感謝してもしきれないよね。まったく!」


 迷宮で手に入れたアイテムは、何があろうと教会の物となる。

 ヴァン達はシイナが持っていたレイピアの件でそれを十分に理解したつもりだった。

 が、どうやら本当に理解していなかった事をシェイニーは今更ながら気が付く。

 気が付いたところで、別に自分の取った行動を責めるつもりは毛頭ないが。


 どんな形であれ、それはヴァンの報酬へと繋がる。

 それ以前に、思い出の塊であるらしい短剣バゼラードを失ったのは女将にも責任があった。

 一時的の予定だったとはいえ、そんなものをシイナに貸したのだ。

 自業自得である。


 何より、そのせいでヴァンは死にかけている。

 シェイニーからすれば、後悔よりも先に立つ感情が沸き上がってもおかしくない。


「あたしの短剣で背中をぶすりかい……普通なら死んでいてもおかしくないのに、よほど運が良かったのかねぇ」


「刺された時点で十分に運が悪いと思うんだが」


「あれには毒が塗ってあったんだ。それに、斬った相手に一定時間呪いを与える効果もついている。あんた達、解毒や解呪の法術が使えるのかい?」


 シェイニーの眉がピクリを動く。


「使えぬの」


 シェイニーの暴発を危惧したユフィが代わりに答えて話の先を促す。


「なら、本当に運が良かったんだね。毒はまぁ普通の毒なんだけど、呪いの方はちょいと厄介だからね。あの短剣の呪いを受けている間は傷が治りにくくなるんだよ」


「なんでそんな危ない代物を貸したんだ……」


「持ち合わせがあれしかなかったからね。それに、そもそも人相手に使う訳じゃないから別に良いと思ったんだよ」


「なるほどの。確かに魔者を相手取るだけならば問題無いの」


「あたしもまさかあの嬢ちゃんがあんたの事を殺したいぐらいに怨んでるとは思わなかったからねぇ。……いったい何をしたんだい?」


「俺は何もしていない」


 心外だと言わんばかりにヴァンはきっぱり言う。

 女将にとってはどうでも良い事だったので、何も言わず空になった杯に酒を注いで口に運ぶ。

 普段はまったく酒を飲まないのだが、思い出の詰まった短剣を失った事はことのほか女将に大きなダメージを与えていた。

 その責が女将自身にもあるのだから、尚やるせない。


 せめてグリップでも……もしくは刃の欠片でも残っていればまだ良かったのだが。

 借り主であるシイナが回収してくれば手元に残るのだが。

 シェイニーが丁寧に全部集めて持ち帰ってきてしまったため、もはや女将にはどうにもならなかった。


「一つ気になる事があるのだけれど、良いかしら?」


「うん? なんだい?」


 お互いの心象がまったく良くない者同士の会話に、ユフィは少しだけ緊張を高める。


「あの短剣の呪いはどうやって付けたのかしら? もし知っているなら是非教えて欲しいのだけど」


 そこが気になるのか!?とヴァンは思わず心の中で突っ込む。

 ユフィの緊張も一気に霧散する。


「同じ武器で敵を倒し続けてたら付くんじゃないかい? あたしの短剣も、気が付いたら呪いが付いてたからね」


「毒は?」


「それは自前だよ。この辺りで採れる山菜を食べられるようにする際に毒抜きした残りものだね。使い道もないから、中央に売ってお小遣いにしてるんだけど……欲しいのかい?」


「是非」


 即答したシェイニーにヴァンは内心恐怖する。

 用途を聞く勇気はまるで沸いてこなかった。


「なら、精算が先だね。そろそろたまったツケも払って欲しいしね」


 元々そういう予定でもあったので、ヴァンは素直に迷宮紋章具を出す。

 この地にあるコーネリア教団の支部から支給されている迷宮紋章具は、迷宮内への通行許可証を意味するだけでなく、迷宮内で倒した魔者のカウントや手に入れたアイテムの有無を記録している。


 迷宮紋章具にはコーネリア教団のシンボルでもある羽ばたく鳳凰の後ろに十字の紋様が象られていた。

 羽ばたく鳳凰は再生を、十字は聖印を意味している。

 長き戦乱の時代の中にあって国境を越えて人々の救済活動を行うという意味の再生と、どの国家にも属さないという意志の現れでもある神の使途という意味も持っている聖印。


 そんな迷宮紋章具を、ヴァンは無造作に懐から出して女将に渡す。

 ぶっちゃけ、どうでもいい事なので。

 宗教団体の思想などただ綺麗なだけで中身はドロドロだとうのはどこでも同じだとヴァンは考えている。


「装備を少し新調出来るぐらい残ってくれると良いな」


 ヴァンにとってはそちらの方が余程重要な事だった。

 仲間に恵まれていたとはいえ、まともな武器なし防具なしアイテムなしで迷宮に挑むなど愚の骨頂。

 以前に一人だった時にはちゃんとした武器ぐらいは持って迷宮に挑んでいた。

 今は素手、もしくはシェイニーお手製の棍棒。


 ユフィ達に言わせれば、一人で迷宮に入る方が愚の骨頂だった訳だが。


「今度は矢も買いたいわね。ホーリーアローに毒をのせるのはちょっと面倒だから」


「……解毒の法術を何よりも優先して覚えたくなってきた」


「我等に足りぬ部分を補おうというのは良い心がけじゃな。流石、我のぬしさまじゃ。存分に精進するがよい」


 こうして、ヴァン達の『銀牢の迷宮』第一階層に潜る日々がようやく終わりを迎えたのだった。







 ■ 迷 宮 踏 破 記 録 ■


 迷宮名:銀狼の迷宮

 階層数:第1階層

 ボス名:ベルセルクスパイダー(C級魔者)


 ボス撃破者:ユフィ

 決め技:炎技、扇の舞


 階層踏破日数:5日

本作品はこれにて終了となります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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