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副業、兼業、大剣豪!  作者: Tametomo
第一章 剣客の副業編
6/10

仕事

大狼と恭子が大地を蹴ったのはほぼ同時だった。


ガキィン!


狼の牙と木の枝はがっしと組み合う。

その時大狼は野生の勘というべきものでその場からぱっと後ろに跳ぶ。


ぱちぱちと炎が燃え木が爆ぜるような音をしながら木の枝は紫電を纏い明るく輝いていた。


大狼は思った。こいつは強い。


「中々鋭いね。」


笑ってそう言う姿に恐怖を覚える。

叶うなら今すぐ逃げ出したい。浄化の炎がこの空間を仕切っていなければ。


恭子は元の木の枝に戻すと再び構える。瞬きする後に大狼の目の前へと移動する。

音もなくまるで影のように移動した恭子をどうにか視認して同様に後ろへ跳んで。



ぶすり。



グアアァアアアアァア!


わき腹に走る痛み。絶叫。そして混乱。一体何が起こったというのか。

痛みの元を確認して気付く。


「よそ見をしてはいけませんよ。」

青年が手に持つ黒い短剣が柄の辺りまで沈み込んでいた。

瘴気を断つ剣は刺さってしまった後も自身を苛み続ける。

大狼はどうと倒れた。


これで終わってしまうのか?大狼は自らの死を悟った。


(ホントウニソレデイイノカ?)

頭の中で感情の無いそんな声がした。


終わりたくない。


(ナラバタタカエ。マタ(・・)ムザムザシヌツモリカ。)


死にたくない。


(タオセ。)


死ぬのは嫌だ。


(タオセ。)


嫌だ、嫌だ、嫌だァ!!


大狼の瞳が一層鮮やかな血の色に染まる。

何者かは頭の中で笑ったような気がした。



完全に意識を失った狼を浄化するべく三人は集まった。

その時、恭子は閉じられたはずの瞳が赤く燃えている事に気がついた。

禍々しい気が一瞬で集う。


「豊五郎。離れて!」


その言葉と同時に大狼の身体はばねのようにしなり跳ね上がる。

そしてその鋭い爪が豊五郎を襲う。


「っ!」

一瞬反応が遅れた豊五郎は一撃をまともに食らった。


「!」

新右衛門が激情と共に放つ、術式とは呼べない火気の巨大な塊をぶつける。


それは戦いが起こっていた場所を占拠するほど大きかった。

夕日が落ちてきたかのように赤く、圧倒的な熱量を持ち、眩い光を放つ、形を持って現れた死の姿だった。


身の危険を感じた恭子が自分たちに影響の内容に慌てて簡単な守護の術を張る。

火気の塊は自身から強烈な波動を放つ。

大狼を跡形もなく滅し、周辺の木々を枯死させ、ようやくその暴力的な所業を止めた。


「おーい。無事だったか…。」

新右衛門が暴虐の中心点からこちらを見た。

「何とか。反省してますね?」


「今、大いに反省してる。」


「全く、豊五郎にとどめを刺すところだったんだから。」


「豊五郎は無事なのか?」


「ええ。はね飛ばされたみたいで気絶してますが、怪我はありませんね。」


「直撃したように見えたんだが。」


そう不思議そうな新右衛門に恭子は笑って答えた。


「蛟の守りです。雪にはお土産を買って帰りましょうか。」


気絶した豊五郎の左の袖口をまくりあげた。

藍色の鱗がその役目を果たしたとばかりにふっと消滅する。


「そうだな。大福でも買ってやるか。」


「新右衛門はもっと買わないとダメでしょう。あんなに森を破壊しておいて。迷惑掛けたでしょう。」


「うっ…。」


「あ。そこのお店で買ってきて下さい。私は豊五郎を宿に運ぶから。」


相原家御用達の香りがする高級菓子屋の前に新右衛門を放置して私は宿へと歩いて行った。


「ちょ、ちょっと待て!」


何も聞こえなかった事にした。

昨日忙しかったので投稿が間に合いませんでした。

申し訳ありません。

戦闘シーンは臨場感が難しく特に修行が要りそうです。

こんな技術じゃ剣豪三人組に怒られてしまいそうです。



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