第2巻 第26章 — 生贄
死よりも悪いものは何ですか?
第2巻 第26章 — 生贄
ヨシヒロに視力が戻った。部屋は暗かった。壁の松明だけが揺れる影を落としていた。そして彼は自分の周りを取り囲む番人の群れを見た。彼らは腐敗の匂いがした。そして何か別のもの。死よりも悪い何かの匂いがした。
ヨシヒロ——どうやら、ここまでのようだ。さらばだ、みんな。
ヨシヒロはかすれた声でそう言った。
番人の一人がヨシヒロの腕を掴み、ゆっくりと指を一本ずつ引きちぎり始めた。
「ヨシヒロは叫びたかったが、叫べなかった」
別の番人がヨシヒロの腹を爪で引き裂き始めた。
心臓の鼓動がどんどん速くなっていく。
血が傷口から噴き出し、床の隙間を埋めていった。
番人たちは悦びを得た。そしてヨシヒロは終わりのない苦痛を得た。
(ヨシヒロの思考)——『痛い……とても痛い……もう脚も感じない。腕も。ただ虚無だけだ。母さん……家に帰れなかった。ごめん。ごめんなさい。俺は悪い息子だった。俺は……家に帰りたい。母さんが夕飯に呼ぶ声を覚えてる。パンの匂い。母さんの笑顔。帰りたい。俺は……』
番人の一人がヨシヒロの胸郭を貫き、右の肺を引きずり出した。
ヨシヒロ・ヤマダは、生命に適合しない損傷を受けた。
ステータス:死亡。
番人たちがヨシヒロの頭蓋骨を床に擦りつけようとしたその時、爆発が起こった。壁が崩れ、何かがすべての番人を細切れに切り裂いた。
セツコ・ミヤタが到着した。
セツコ——ヨシヒロ、どこ?ヨシヒロ!
セツコは叫んだ。彼女は彼のエネルギーを感じた。弱い。ほとんど消えかかっている。そして走った。
部屋の隅を見て、彼女はヨシヒロの無残な亡骸を目にして戦慄した。
セツコ——嘘。嘘、嘘、嘘。これは彼じゃない。彼であるはずがない。ヨシヒロ、起きて。起きて、聞こえる?
返事はただの虚無だけだった。
彼女は膝をつき、ヨシヒロを抱きしめて泣いた。
血が彼女の腕を伝い、まるで川のように流れた。
数分そうしていた後、彼女はヨシヒロを抱き上げて去った。彼は冷たかった。だが彼女はそれでも彼を抱いていた。まるで温められるかのように。
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カスミ——見て、セツコが来た!
カスミは嬉しそうに叫んだ。
アツシ——待って。彼女が抱えてるのは誰だ?
(カスミの思考)——『なぜ彼女は泣いているの?なぜそんな顔をしているの?神様、お願い、これは嫌。お願い、これだけは嫌。誰でもいい、彼だけは嫌。お願い……』
アイナ——そんな、まさか。
光の中に出ると、一行全員がヨシヒロの息絶えた姿を見た。
カスミは悲鳴を上げないよう口を両手で覆った。涙が頬を伝い、互いに追い越しながら流れていった。
アツシ——嘘だ。嘘だ。嘘だ。
頭を抱えながら、アツシは繰り返し始めた。
(アツシの思考)——『言っただろ。一人で行かせるなって言っただろ。警告しただろ。俺のせいだ。俺が行くべきだった。俺が……ヨシヒロ、立て。立てよ、くそったれ!お前は死んじゃいけない。そんな権利はない。』
アイナ——至急、医療班を呼んで!
イオシノリ——無意味だ。ヨシヒロ・ヤマダは死んだ。
セツコ——私があなたを家に連れて帰る。聞こえる?家に。あなたはいつも帰りたがっていた。あなたの願いを叶える。たとえあなたがもういなくても。たとえこれがもうあなたでなくても。約束する。
彼女は歩いた。そして彼を運んだ。彼の体の冷たさ以外、何も感じなかった。だが彼女は離さなかった。離すということは、彼がもういないと認めることだから。そして彼女にはそれができなかった。
苦しみ




