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22本目・家具襲来

ニコチ草を蒔いてから数日。

畑の土は黒焔・クワの力もあってふかふかに保たれ、芽が出るのも時間の問題だった。

瞬は毎朝のように畑を眺め、まるで子供のようにそわそわしている。


一方で優衣は、頼んでいた家具が少しずつ家に届き始め、部屋がどんどん賑やかになっていくのを嬉しそうに見守っていた。

テーブル、椅子、ベッド、タンス……そして台所の道具まで。


そんな中で、ふときいが窓辺にちょこんと座り、尻尾をしゅんと垂らしていた。

「にゃぁ……なんか、私の場所がない気がするにゃ……」

寂しそうに呟くきいを見て、優衣と瞬は顔を見合わせた。


「……そうか。きいの部屋、用意してなかったな」

「やっぱり家族なんだから、きいちゃんにもちゃんと部屋作ってあげないとね」



次の日。

瞬と優衣は、家具職人ガイモンの紹介で小部屋を改装し、きい専用のスペースを作った。

ふかふかのクッションや小さなベッド、窓辺のキャットウォークまで。


「どうだ、きい。お前の部屋だぞ」

胸を張る瞬。


しかしきいは部屋を一周したあと、

「にゃぁ……いいけど、やっぱりママのいる場所が一番落ち着くにゃ」

と、当然のように優衣の膝に丸まった。


「えぇぇ!? せっかく作ったのに!?」

「ふふっ……まあ、これもきいちゃんらしいよね」

肩をすくめる瞬に、優衣は笑みを浮かべた。



さらに庭では、瞬が畑に“きい用の爪とぎ兼トレーニング用カカシ”を設置した。

頑丈な丸太に藁を詰め込み、布で覆った人形のようなもの。

「これで戦闘の練習もできるし、爪とぎも思う存分だ」


さっそくきいは飛びかかり、

「にゃにゃにゃにゃ!」

と爪を振り回し、最後は後ろ足で蹴りを入れる。

その姿は完全に戦闘訓練であり、瞬も優衣も思わず吹き出した。


「カカシっていうより……きいの専属スパーリング相手だな」

「ほんと、猫なんだか戦士なんだか分からないね」


笑い声が響く庭。

新しい家、新しい畑、そしてきいの“部屋(?)”。

こうして少しずつ、三人の生活の形が整っていったのだった。

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