63、モフモフが大好きなため 20階突破
ライナーは攻撃を躱しながら、篠突く雨のような剣圧をボスに浴びせるが、これだけやってもHPバーが一割ほどしか減少していなかった。
その原因はボスの属性が水と闇であった。ライナーの二本短剣は別々水と闇属性だったため、ダメージをあまり与えなかったのだ。
ボスは自分の攻撃が効かないのを理解してきたように、その杖を天に向けて突き出す。
すると空に大型魔法陣が輝き、その中から十数体の剣を持つペンギンのモンスターが現れ、地面に降りるとすぐライナーを囲んでいる。
「これほどの数か…流石僕も避けられないぞ。準備はまたか!」
「お待たせなのじゃ!轟け!神の雷よ!雷皇!」
全身が魔力のオーラに覆われたアヤメが叫ぶと、空に黒い雷雲が現れる。
「ゴロン――っ!!」
耳を聾する雷鳴が響くと、無数の白い稲妻がボスにいる地面に落ちていく。
星空が直ちに眩しい雷撃の閃光によって満たされる。
光がだんだんと消えていく。
そこに残ったのは、雷撃で満身創痍のボスしかなかったのだ。
そして、ボスが地面に落ちていた杖を拾い上げる。その鋭い先端を自分の胸に突き刺さると黒いオーラが青い鮮血と一緒に噴き出した。
そのオーラがボスを包み込む、体が膨張し姿が変わっていく。
すると数メートル高さのある巨大ペンギンが二人の目に入る。
「ボスのHPがあと僅かだ!早く始末しろ!」
「ラジャー!敵を貫け!雷神槍!」
紫電の槍が凄い勢いでボスへ飛び出す。
しかし、ボスの鋼みたいな羽に当たると、直ちに弾かれてしまった。
ボスは誰かが自分に害のあるのを判明したように、ライナーを無視して醜悪な顔を見せながらアヤメに襲い掛かってくる。
「アヤメ――っ!」
「バカライナー!早く影に隠して!雷花火!」
アヤメは状況の厳しさを認識したため、ついに無意味な中二セリフを諦め、体から激しい電流を射出する。
「シャドウムーブ!」
二人がまとめてやられる結果を防ぐため、ライナーが即座にボスを追いつける、その影に潜り込んでいた。
継続の放電がボスの攻勢を封じていたが、ダメージを全く与えられなかった。
雷花火は1秒で使用者のHPを1割消耗する。
つまり、10秒以内でボスを倒せないと、アヤメの命がそこで散ってしまう。
「何で雷があいつの体に届かないのじゃ!電気を伝えないのじゃ?伝え……そうじゃ!」
アヤメは放電しつつ、その鋼のようにかたい羽を目すると、答えを見つけたように大声でライナーを呼び掛ける。
「ライナー、早くボスの羽を濡れて!!」
「濡れて?いいアイデアだぞ!影斬り!」
影の中から青い剣圧が飛び出した。
ボスの腹部を覆う羽が命中されると直ちに濡れたように柔らかくなってきた。
ボスを覆う電流がまるで突破口を見つけたように一気にその一点に集まる。
するとボスが悲鳴を鳴き出して、光に変わって爆散した。
「ストップ!」
アヤメは急いて放電を止め、自分のHPバーを確かめるとビックリして地面にへたり込んでいた。
「危ない。あと1秒で死んでしまうのじゃ!」
「アハハハ~!確かにギリギリだ。でも、あの状況でよくボスの弱点を見つけるなんて、あなた本当に僕知ってたアヤメか?」
「それは何じゃ!あたしをバカにするな!あたしは宇宙ミラクル無敵のアヤメ様なのじゃ!」
「はいはい!宇宙ミラクル無敵のコバカ様~」
「うぎゃ――っ!」
二人が笑って、ふざけている間に、空にアナウンスが響く。
『マキュウリーを倒しておめでとうございます。ただいま全員が休憩エリアに転移します』
転移されたメアリーたちの目に映ったのは、両側のうちたてた屏風のように垂直の岩壁だった。
そこには、断崖絶壁に挟まれた谷の底だった。
隣の谷川が銀色の絹糸が動くように遥か彼方へ流れていく。
そして、顔に喜色を浮かべて手を振る椿であった。
『ただいま二番目のクリアパーティーが現れました!』
アナウンスが響く瞬間、メアリーは物凄いスピードで椿の前に行き着くと手で椿の口を押さえたいが、それはもう間に合わなかったのだ。
昨日よりもっと恥ずかしいセリフはもう椿の口から出してしまった。
『それは!天使のようにキラキラと輝く可愛いメアリーちゃんとその仲間たちで―すっ!皆さん頑張ってくださいよ!』
「椿姉ちゃんのバカ――――っ!」
冴えた少女の叫び声が谷の中に響き渡る。
椿への説教が終わった。
ポータブルハウスを受けたメアリーたちは今日の宿る場所を探すため、進む方向について相談し始める。
メアリー曰く。
「皆はどっちに行きたいかしら?」
「目が一番利くのはメアリーちゃんだわ、任せるよ~」
「それなら、私上流の方が薦めるよ!」
「何でわざわざ流れ始めてる場所に向かうのじゃ?下流の方がきっと美しい湖があるよ!」
「そうよ。あっちは広い湖と湿原があるよ」
「じゃ、何故?」
「こっちの方はもっと綺麗なものが私たちを待っているもの!」
それを聞き、皆は渓谷の上流に向けて眺めると、濃い乳白色の霧以外何も見ていなかった。
すると皆はまるでもう慣れていたように複雑な表情が顔に浮かべる。
進む方向を決めると、メアリーたちはうねっている川の上流を目指して向かっていく。
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