64、モフモフが大好きなため 精霊武装
出発から1時間。
上流に近づくと、川の流れがだんだんと激しくなる。
そして、水がざあざあと落ちる音が耳に入る。
谷を抜けると、メアリーに言っていたいいのもが皆の目に飛び込む。
それは細い絹糸のように流水が岩に当たって飛び散る迫力たっぷりの風景だった。
「おおお!これはいいものなのじゃ!最高!」
「でしょう?さっきから見っていた時からもうここは絶好の場所だと思って」
ネフェは周りを見渡して尋ねる。
「確かいいところだけど、このような地面で本当に部屋を造られるか?」
さっきから上流に近づくと、次第にごつごつとした岩が増え始めて歩くことが困難な地形になっていたが、メアリーとライナーはルーチェに乗り、他の人は幻獣化したフェルのお陰で、進みにくい道を易々と乗り越えていた。
しかし、部屋を建てるのはきっと平坦な地面でなければならないのだ。
期待が外れてしまったため、メアリーの顔に沈んだ表情が浮かぶ。
「皆、ごめんなさい……」
「まぁ、気にするな、前に進むときっともっといいところがあるぞ!」
「そうよ!おいらたちはこんな美景を見えたのはメアリーのおかげでだよ!」
「皆!ありがとう!」
メアリーは気持ちを整える。
再び出発しようとしたところに、滝の流水が不意に止まっていた。
するとその後ろに隠していた4メートル高さのある洞窟の入り口が現れる。
続いて、轟然たる足音が大地をつんざいて、近づいて来るのが聞こえる。
即座に察知したメアリーたちは、戦いに備えると周りを警戒する。
程なくして洞窟から飛び出したのは、鋼のように固い毛皮に覆われた巨大な猿だった。
そして、猿が狂気の表情のまま鋭い牙を剥いて、メアリーたちを睨みながら咆哮する。
凄まじい音量が大砲のような音が轟きわたる。
「こいつ、今まで戦った敵より数倍強いぞ!」
「あぁ、あたしもそう思うぜ!あいつの様子を見ると、あたしたちが近づかなかったら攻めてこない」
「それじゃ…ひとまず作戦を練る…か?」
「あぁ、そうしかないぜ!」
皆が猿を観察しながら攻め方を考えている際、メアリーはざっと周りの地形を見渡して声を掛ける。
「あの、この猿さん。私に任せてくれ!」
自殺発言のような話が耳に届くと、皆は驚きのあまり言葉が出てこない。
「何をバカな話を!あいつは皆の力を合わせて勝てるかどうかがわからないボスだ!一人が絶対……」
ネフェは即座に怒って、メアリーを阻止しようとしたところに、メアリーの顔に浮かんだワクワクして笑みに気付いて、話を逸らす。
「まさか…また何かとんでもないスキルを手に入れたか?」
「もうわかったかしら?流石ネフェ~」
「全く…わかった。ちゃちゃっとボスをやっつけるぜ!」
「うん!任せて!よいしょっと~」
メアリーはルーチェから降りて、三体のモフモフを撫でながら慰める。
そして、更なる予想外の行動を取っていた。
それは、フェルたちの召喚を全て解除したのだ。
このような行為を見て流石に全員の顔にも驚愕の表情が浮かんだ。
「よーし!精霊武装・水!」
気合を入れて叫んだメアリーの体が空中へと浮き上がる。
そして川の水が吸い込まれるようにメアリーの体を包み込む。
そして、水色の光の柱が周りに向かって伸びると水の鎧を纏って、青い槍を持ってウンディーネとそっくりした女性の姿が現れる。
でも、その身長。そしてウキウキしている顔、どう見えてもメアリーだったのだ。
「それなら、行って参るよ!」
メアリーは空から降りて、川の水を地面のように踏んで猿へ走り出す。
猿がメアリーに気付いて直ちに水中の巨岩を持ち上げる。力を込めてメアリーに投げ出す。
「洗礼の槍先!」
メアリーは槍先を巨岩に向けると青く鋭い水流を撃ち出した。
巨岩が撃たれると直ちにその強い水圧で粉砕されていた。
しかし、小さな鋭い岩の破片が続いてメアリーに襲い掛って来る。
「アクアカッター!」
メアリーが槍を横に構えて振るうと、鋭い斬り味の水の刃が次々と前に飛んでいく。
岩の破片を全て斬り尽くすと勢いまま猿の左腕を切り裂いた。
しかし、猿がまるで痛感しらずのようにメアリーに向けて走り出す。
右腕を上げて、猛烈な勢いでその石より硬い拳骨でメアリーに殴りかかる。
普段のメアリーなら、こんなスピードの攻撃を断じて避けることができないのだ。
しかし、メアリーが体を捻じって、そのパンチを難なく躱してきた。
「そんなとろい攻撃で私を倒せないよ!遊びはここまでだ!シャープレイン!」
メアリーが槍を天に向けて突き出すと、空中に直径三メートル程の青い魔法陣が現れる。
続いて、そこから飛び出した鋭い針のような雨を猛烈な勢いで猿に浴びせる。
ほんの十数秒で、雨で百孔千瘡されていた猿が悲鳴を上げて、光に変わり爆散していた。
と同時に、空にアナウンスが響く。
『隠しボス[ヤマザル・イレギュラー]ランクS討伐成功。ただいま10ポイントを贈呈します!』
ランクSの隠しボスを一方的に蹂躙する戦いを見ると、流石全員もビックリして目が丸くなってしまった。
「やった!正義が勝った!」
メアリーはそう言いながら、五人が近寄ってくる。
「めっ、メアリー…よね?」
「何よ、その顔。私に決まってるじゃない!さっきの戦いはどう?凄いでしょう?」
「それは勿論よ!凄すぎるぜ!早くあたしたちに教えてよ!」
「う、うん!でも、その前に早く洞窟に入って欲しい!洞窟の中がとっても広い、きっと部屋を建てられるよ!そして…」」
「「「「「そして?」」」」」
「お腹がペコペコだ……」
「全く、メアリーは姿が変わっても相変わらずだぜ!さてと、皆、行こうぜ!」
「「「「ウオォォォ〈なのじゃ〉!」」」」
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