29、モフモフが大好きなため 流れ星の丘へ向かう
フレンド登録が終わると、レオラが尋ねる。
「メアリーちゃんは何であっちから来たっすか?まさか村の方向はこっちっすか?」
「いいえ、村はあそこよ。私は反対側の丘に用があるもの」
「なるほど。つまり、メアリーちゃんは『流れ星の丘』に行きたいっすね」
「『流れ星の丘』って?」
「あの丘の名前っす。ところで、あそこはちょうど二人しか入場できないよ」
「えええ!!!全く知らなかったよ……どうしょう……」
メアリーはまるで宝物が盗まれたようにしょんぼりしてしまう。
レオラはそれを見ると、爽やかな笑顔を浮かべて語りかける。
「おいらがよろしいならば一緒に行こうか?あっちは欲しいものがあるよ」
「えっ!でも、レオラちゃんは村に転送登録しないと、せっかくダンジョンをクリアしたのに……」
「あぁ、そう言うことがあったか。忘れっちゃた~」
「良ければ、さっきの謝りとして一緒にもう一度村に行こう。うちのフェルはとっても速いよ!」
「ヘイキヘイキ、おいらはスピードに自信あるよ。メアリーちゃんは先に行こう、転送登録終わると、すぐ追いつけるよ」
「えええ――――っ!!!」
メアリーの叫び声が再び波の轟音を超えて海岸線に木霊する。
まぁ、メアリーの驚きは無理もない。いくらシーフのライナーと言っても、フェルのスピードも及ばなかったのだ。どう考えても回復職のレオラは絶対に無理だろう。
でも、メアリーはレオラの顔を目すると、それは決して噓つきの顔じゃないと思って、顔に半信半疑の表情を浮かべる。
「分かった。それなら、フェルのスピードをちょっと落とすよ。早く追いつけるよ」
「メアリーちゃんは優しっすね。では、行って来るっす!あっ、そうっすね」
レオラがメアリーに目を凝らして見て、意気揚々として笑顔を見せる。
「言い忘れてた。おいらは緊急クエストの10位だよ!速度上昇!!」
レオラはスキルを発動すると青いオーラに覆われてから、駆け抜けるように村へと走り出す。
メアリーが気付いた時、既に舞い上がる埃しか見えなかったのだ。
「うっ、嘘でしょう?」
「メアリーちゃんと会ってなんて本当に思わなかったよ。ラッキー~ そうだ!あいつらに誇らしげに語らなければいかなきゃ」
レオラが走りながら、掲示板を呼び出して、『メアリーちゃんと会ったよw とても可愛い子っすw』を書いた。
そう、レオラは掲示板『隠すダンジョン捜査隊』で活躍してキャラは男性がプレイヤーは女性の名無し神官だったのだ。ちなみに、あの「っす」という語尾がわざと加えたらしいなのだ。
「レオラちゃんは本当に速いよね、…… それなら、フェル、出発よ!」
メアリーはフェルに乗って、再び流れ星の丘へ向かう。
茂る椰子林素早いスピードで後ろに飛び、淡い潮の匂いがする風がメアリーの顔にあたる。
「いい匂い~ さっきはビックリしたよ。レオラちゃんは無事でよかったよ。でも、どうしてそんなに早くできるかしら?まぁ、あのデッカイヤドカリを倒してここまでたどり着いた人だもの、きっと強い秘密があるんだなっと~」
メアリーは独り言を言って、不意にあることを気付く。
「ボスを倒すって?レオラちゃん一人しか見えなかったはず……まさか、一人であのボスを倒したなんて!!!えええええええ!!!!」
メアリーは驚きを口から出したとたん、後ろから物凄い勢いの風が吹いて来るのを感じた。
「ただいま戻ったっす!とうぅぅ!」
村に行ったばかりはずのレオラは疾風より速いスピードでメアリーに追いついて、「とっ!」とフェルの背中に飛び乗った。
「えっ!レオラちゃん!もう帰ってるの!!」
「そう言うことっす。さっきはちゃんとただいまと言ったっすよ」
「あぁ……確か……でも、どう考えても無理に決まってるじゃないよ!そして、レオラちゃんの仲間たちは何処なのよ!」
メアリーは不思議だらけのレオラに対して、ついに思考の臨界値を突破してしまったので、先ほどに考えていた疑問を纏めて一気に尋ねてきた。
「仲間?」
「そうよ!レオラちゃんは仲間と一緒にあのヤドカリを倒してから、ここにたどり着いたじゃないの!!」
「ウフ~ アハハハ~~!」
レオルは質問を聞くと、不意に笑い出した。
「何で笑うのよ!私の質問は可笑しいのか!?」
「イヤイヤイヤ、ごめん。悪気がない、メアリーちゃん興奮した様子が可愛いと思うからだ」
「はぁぁ!いきなり何を!!!」
「ごめん。まず、おいらは確かあのボスを倒してここにたどり着いたよ。でもな、仲間なんかがないよ」
「ええええ!まさか一人で?」
「そうよ。一人で結構時間かかってるよ、結局クリアの三位しか取れないっす」
爽やかな笑顔をしているレオラを目すると、メアリーは徹底的に思考を放棄してしまった。五人で何度も苦戦していたダンジョンは、回復職の一人で簡単にクリアするなんて、どう考えてもあり得ないことだろう。
でも、ゲーマーの血を受け継いだメアリーはこのままに諦める者ではなかったのだ。
メアリーはどうしてもレオラちゃんの強さの秘密を知りたいと思いながら、疑問を口から出す。
「そうかしら?レオラちゃんは嘘じゃないよね。一人でどうやってボスを倒したこと教えてくれるかしら?」
「そうっすか?メアリーちゃんはおいらのことを気になるか~」
メアリーはレオラの話を聞くと、顔がほっと赤くなった。
「ばっ、バカ!いきなり何を!?わっ、私はただボスを倒す方法に興味があるもの、べっ、別の意味はない!!」
「ほほ~ がっかり……まぁいいっす。教えよ~ でも、口で教えるじゃないっすよ」
「えっ!なら、どうやって?」
「実戦っす。メアリーちゃんが自分の目でおいらの戦いを見って、秘密を見極めるともっと面白くないっすか?」
「ウフフ~ 私の目を舐めるなよ~ きっとレオラちゃんの強さを全部見つけるよ!」
「アハハ~ それは楽しみっすね。そろそろ着いたよ」
「あぁぁ、綺麗!」
話している間に夜は次第に降りて来て、薄明るい夜空にピカピカと光って星々が現れて、流れ星となって、熱帯植物の茂った小高い丘へ隠れてゆく。
メアリーはこのような絶景を目に入ると、さっきの悩みが吹き飛ぶように、すっきりしてきた。
「そうでしょう?だからここは流れ星の丘と呼ばれるっす。ちなみに、夜しか入れないっす。ラッキー」
「こんな綺麗な場所が初めて見たよ。早く入ってみましょう」
メアリーはワクワクしてフェルから降りて、入口に立って受付NPCに声を掛ける。
『流れ星の丘へようこそ~ ここはダンジョンではないですが、伝説の生き物――メテオフォックスが棲息していますよ。もし会えると必ず攻めないでくださいよ。メテオフォックスと仲良くするとレアアイテムを手に入れますよ。そして、メテオフォックスは幻獣であるため、他の幻獣と一緒に入られません。ご了承ください。』
「そっか、フェルは入れないか……まぁいいか」
「今日はいろいろ助かったよ。フェルご苦労様、ゆっくりと休んでくださいね」
メアリーはフェルの顔を撫でて、召喚を解除してNPCと対話し続ける。
『流れ星の丘を入場するため、夜とちょうど二人は必須条件です。あなたたちはこの条件を満足と認めますよ。今すぐ入場するでしょうか?』
メアリーは先ほどに見えていたモフモフはきっとメテオフォックスだと思って、矢も楯もたまらず『YES』のボタンを押すと、レオラと一緒に丘の中に転送されていた。
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