30、モフモフが大好きなため モフモフと出会った
二人は熱帯植物の茂った丘の斜面に身を置く。
メアリーはピンク色の花が咲いてサボテンみたいな植物に引かれる。
「わぁぁぁ!これはシャコサボテンかしら?美しい!!」
「こっちはもっと綺麗なものがあるよ」
メアリーはレオラの指さした方向を眺める。尾を拡げた孔雀のような椰子林が青黒い夜を背景に涼しげに揺れている。
下から眺めると、緑色の海を透ってある山小屋がメアリーの目に映る。
「上に山小屋があるよ。あそこにきっと何かクエストがある!」
「そうっすね。あっちに向かおう。ところで、敵が出ったら、おいら一人に任せてくれよ~」
「えっ!レオラちゃん一人で!?どんな敵があるかはまだ分からない……危険すぎるよ!!」
「アハハ~ ヘイキヘイキ。心配されて嬉しいけど、おいらは結構強いっす」
「はいはい~ なら、出発するよ」
メアリーはそう言ったけど、手元に既に捨て駒石を握って、いざという時にレオラを助けるのを準備する。
深い夜だが、夜空に宝石箱のようにキラキラしている星々が光っているため、僅かな恐れも感じられなかったのだ。
二人は密林の中を進んでいると変な音が聞こえる。不意に両側の植物がモンスターとなって数本の触手みたいな蔓を動いて襲い掛かる。
「なっ、何よアレ!キモイ!」
メアリーがこんなに慌てたのは無理もない。
黄色の太い体に完熟したバナナの皮のような黒い斑点が付いて、緑色の厚い唇が草の葉を咥えている。更に、頭の上に咲いた花の中から伸びた小さい目はじろじろとメアリーを睨でいる。正しく植物界のチンピラであったのだ。
「アハハ……やはりメアリーちゃんはこういうものが苦手っすね、おいらに任せろ!女神の施し!そして、速度上昇!」
レオラはスキルを使うと白と青の二重のオーラに覆われて、鈍器を手に持って敵の群れに突き進む。
数多くの敵がキモイ蔓を突き付けてレオラに襲い掛かる。
「こんな攻撃でおいらに当たるなんて、十年早いっす!」
レオラは体を軽く動かして、唸りを上げて襲いかかる蔓を難なく躱して、敵に近寄ると直ちに攻め付ける。
レオラはあっという間に疾うに敵に十数回も当たったのだ。
森に「タッ、タッ、タッ……」と綿密な打撃音が響き続けると共に、敵が次々と光となって消えていた。
「どう?メアリーちゃん、おいらの強さの秘密を見つかったか?」
レオラは回避能力が高いだけでなく、動きにも目で見えないスピードに達したのだ。
そもそも、攻撃さえ見えないなら、強さを見抜くのはあり得ないだろう。
しかし、メアリーは自慢の[DEX]のお陰で、はっきりと見極めていたのだ。
最初の数撃は全くダメージを与えていなかったが、ヒット数が増えるにつれてダメージもだんだんと上がってきた。最初のモンスターは十数撃で倒したが、その後のは全て一発で打ち倒したのだ。
メアリーは胸を張って答えを口にする。
「見切ったよ~!そのメイスはコンポ数が高いほどダメージが高い武器よね」
「ピンポーン~!さすがメアリーちゃん、正解っす~」
「私は誰だと思う?私の目は見極めないものが無し!」
「ほほ~ それで、おいらはどうやってすべての攻撃を避けたっすか?」
「それは決まってるじゃない、きっと[AGI]の極振りだよね!」
「そうっすね。おいらは極振りよ。でも、70%は回避率の限界じゃないっすか?」
「そっ、それは……」
メアリーは急にあることを思い出したため、話を半分にしてやめた。
前にライナーから[AGI]がどれほど高くても、回避率の限界は70%を聞いた。
もっとアップしたいなら、[シーフ]のジョブスキル[回避の心得]或いは[アサシン]の[残影]で最大95%まで上がることが出来るのだ。
つまり、回復職のレオラはどうしても回避率の限界を突破できないのだ。
「まぁ、道はまだまだ長いっす。メアリーちゃんは頑張ってね~」
「あぁ、そうこなくっちゃ性に合わないよ!」
「アハハ~ それは期待っすね!」
メアリーは会ったばかりのおてんば娘について、どことなく妙な馴染みがあるが、必死に考えても覚えなかったのだ。
悩んでいる際に、道の左から木の葉を踏み荒らして足音が二人の耳に入る。
「新手の敵か?」
「まっ、待って。敵じゃなさそうよ」
メアリーは敵と戦うつもりレオラを呼び止めて、茂みに足を踏み入れると、即座に目がピカピカになる。
「ぎゃ――っ!モフモフだ!可愛い~!」
そこには、全身が夕陽のように鮮やかな毛皮に覆われて、雪のような潔白な足をしている小さなキツネが黒曜石のような目でメアリーを凝視する。
メアリーは跪いて、両手を広げて優しい声で呼び掛ける。
「おいで、お姉ちゃんたちは悪いものではないよ~」
キツネはまるで話を理解できるように、四肢を動いてメアリーの胸に飛び込んでいた。
メアリーはキツネを抱き上げて、頬をくっつける。
「ウフフ~ いい子いい子~ 道が迷ってるでしょう、こわくないよ」
レオラはキツネと戯れるメアリーを目に入ると、記憶の中のある人物と重なる。
しかし、レオラはあの人なら決してゲームをやってないと思って、「気のせいか……」と呟いて、メアリーに声を掛ける。
「へ――!こいつひょっとして、さっき受付の姉さんが言ってたメテオフォックスか?」
「こいつじゃない!モフモフよ~ そうよね、キツネちゃん~」
「アハハ……ごめん」
「この子はメテオフォックスでないと思うよ。信じられないかも、私はお昼の時本物のメテオフォックスを見たことがあるよ。もっと大きいだったよ」
「なるほど、この子はモンスターじゃなかったら、きっとクエストと関係あるっすね」
「私もそう思うよ、多分メテオフォックスの子供よね~ ね、キツネちゃん~ 一緒にお母さんを探しましょう~」
キツネが「コンコン」と鳴き出すと頷いた。
「よーし!それなら、出発しよう~ レオラちゃん、何をしてるかしら?」
メアリーは進むつもりが、レオラが何かを拾い集めるのを見てから尋ねる。
「これだ。さっきモンスターが落としたアイテムよ。えっと、名前は何だけ……[隕石の破片]っす」
レオラは話ながら、手を広げる。黒真珠のようなピカピカな石がメアリーの目に映る。
「へええ~ 私は全然気付かなかったよ。レオラちゃんは意外に念入りよね」
「意外って何よ!」
「アハハ~!何でもないっよ~ ね、キツネちゃん~ それなら、出発するよ!」
「こら、ちゃんと説明しなさいよ!」
こうして、二人はモフモフのキツネを連れて丘の頂上へと向かう。
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