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魔鋼

 えー、あれから五日が経ちました。

 当方に変化はありません。


 日々、下級魔石を作りつつ、砂鉄集めをしております。

 最近は魔草を増やそうとも思っておりますが、これは庭の魔力濃度を一定以上に保っていれば勝手に増えていくので、私にはする事がありません。

 魔力を宿している所為で、普通の雑草よりも強力な超雑草となっているからなー、この魔草。

 僅か五日にして、どんどんと周辺の大地を侵食している。

 庭一面を覆い尽くす日もそう遠くないだろう。すげぇ。


 こつこつと頑張ったおかげで、十分量の鉄が集まった。

 いや、正確には一昨日には回路を作る分量には達していたんだけども。


 最初は中級魔石を作ろうと思っていたんだけれども、残念ながら中級魔石になり得る素材が見つからなかったのよな。

 だから、代わりに鉄を基にした魔法金属、魔鋼を作ろうと思い直した訳だ。


 その為に必要な分を集めていたら、更に時間がかかったのだ。


 まぁ、よくよく考えてみれば、魔力炉が壊れる理由は回路部分がショートするからであって、魔石自体は壊れないしね。

 いや、盛大に罅が入って、多分、次の時には完全に砕け散るだろうけども。


 鉄線の方は完全に駄目。

 溶ける。

 一部は多分蒸発する。

 だから、まだ魔力に耐性のある上位素材である魔鋼が必要なのだ。


 ちなみに、たった二日集めた分量で足りるのか、と言えば、十分に足りると答える。


 だって、試算してみたら、これ、安定後、三秒で崩壊するって出たし。

 三秒で得られる魔力で生成できる魔鋼とか、たかが知れてるし。


 私は一体どれだけ同じ作業をしなければならないのか……(遠い目)。


 先が長過ぎて嫌になってくる。

 いつかは終わりがある、という事だけが救いだ。

 つまり、囚人よりはマシだ。

 それと比べなければならない辺りが泣けてくるが。


 まぁ、何はともあれ、今日は記念すべき魔力炉第一号の稼働日である。

 たった三秒とはいえ、きちんと稼働するのだから記念すべき日なのだ。

 異論は認めない。


 あ? 草回路?

 あれは安定まで行かなかったからノーカンに決まってんだろ。


 ではでは、早速回路作りです。

 今回は十分な長さの鉄線があるので、余裕を持って魔石12個使ったバージョンとなります。

 こっちの方が安定させ易いし、魔石への負荷も少なくなるのよね。

 いや、下級魔石の耐久性では誤差みたいなもんなんだけどさ。

 脆過ぎて、基本的に使い捨てだし。

 これによって、なんとか一発崩壊はしないってだけで、次回で完璧に壊れるし。

 まぁ、使い道が他にない事もないから別に良いんだけど。


 六芒星を重ねる様に魔石と鉄線を配置します。

 中央部の空白部分に、魔鋼用の鉄を置きます。

 ちなみに、本式の魔力炉の場合、この部分に起爆剤となる魔石を配置する。

 今回は私の魔力を代用するから空白になってるけど。


「ではでは! いっちょ、やってみますか!」


 もはや癖になりつつある両手を音を立てて合わせる動作をしつつ、魔力炉第一号を起動させる。


 魔力が鉄線を巡り、配置された魔石を通るごとに、加速増幅を繰り返していく。

 やがてそれはある一定以上の速度へと達する。


 魔力は、ある速度までしか加速しない。

 それ以上になると、余剰速度が魔力へと変換されて放出される。

 それが、この魔力炉を構築するシステムである。


 遂に安定駆動した。


 私は即座に次なる行動へと移る。

 猶予はたったの三秒しかないのだ。

 ミスすればやり直しである。


 錬成魔法陣を起動させる。


 魔力炉から発せられる魔力を掌握し、その全てを中央に配置してある鉄へと注入する。

 魔石と同じように、それを構成する原子から分子配列に至るまで、細かく適度に絡みつかせ、固定する。


 鉄線が赤熱化し、溶解する。


 直後。


 通り道が消えた事で行き場を無くした魔力が爆発する。


「おう!」


 衝撃で私はひっくり返ってしまった。ちょっと痛い。


 ふふふっ、しかし、ミッションコンプリートだぜ!


 きっちりと魔鋼の生成に成功したのだ! 私は!

 これは歴史に名を刻まれるべき偉業と言っても差し支えない筈だ!

 だって、向こうでは魔鋼を始めて生成した人物は偉人として歴史に名を刻まれているのだから!


 くそぅ! 分かってるよ!

 ここは地球で、魔法文明なんてないってんだろッ!


 ちぇ、良いもん。

 どーせ、これ全部、私の自己満足で趣味みたいなもんだしー?

 誰にも認められなくても良いもんねー。

 拗ねてなんかないやい。


 取り敢えず、魔鋼は丁重に回収して、吹き飛んだ下級魔石と鉄線の成れの果ても回収する。


 魔石は予想通りに罅入りまくりだな!

 もう一度使う事も出来るけど、一秒持たずに今度はこっちが原因で崩壊するんじゃないかね?


 って訳で、第二案の使い道。


 粉々に砕いて肥料として庭に撒く。これだ。


 まぁ、栄養はない。

 だって、元は単なる石だし。

 だけど、魔力を帯びているので、魔草への肥料にはなる。

 ふふふっ、魔草の上位素材が発生したら良いんだけどなー。

 ミドルポーションとかハイポーションとか、作りたいしなー。

 エリクサー級は……流石に無理か。

 あの辺りになると、ナチュラルに世界樹のウンタラとか要求されるし。


 地球で世界樹とか、はははっ、馬鹿言ってんじゃないよ。

 出来る出来ないとかじゃなくて、出来てしまったら色々とやばいから。

 どっかの大陸とか、栄養ガンガン吸われて砂漠化一直線だから。

 実際、向こうでは世界樹が生えていた大陸は、全域が荒野か砂漠になってて枯れた大陸とか呼ばれてたし。


 まぁ良い。恐ろしい未来とか考えない様にしよう。

 もしも、有り得ないとは思うけど、万が一にも生えてきたら、絶対に切り倒す。燃やし尽くす。

 うん、それが良い。


 で、鉄線の方は、溶けてるな。

 こっちも予想通り、溶解してる。

 微妙に少なくなってるから、蒸発した分もあるんじゃないかな?


 はー、また集め直しだにゃー。

 でも、小さな一歩は進んだし、結果オーライって事にしておこうか。


「よーっし、これからも頑張るぞー!」


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