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思いがけない成果

 さぁ、今日も張り切って行ってみよう!


 あれから十日が経ち、生産された低級魔石は60を超える。

 ちなみに、不可知化結界は既に7代目だ。

 結構、消費が激しいな。

 ちゃんとした魔法陣描画用の素材が欲しいところ。


 今の所、私の存在に気付かれた感はない。

 調査班が現場を調べているけれども、私の匂いは消してある。

 探知特化の阿呆でもやってこない限り、消した匂いを辿る事は出来ないだろう。

 油断はできないけど。


 という訳で、そろそろ魔法回路用の金属生成をしてみようと思う。

 まぁ、魔法金属作るには圧倒的に魔力足りないんだけど。

 所詮は私なのだ。

 魔力が増えたと言ってもタカが知れているのだ。


 なので、通常金属で代用するしかない。


 最初は、家の中にある不要なコードをせしめようと思った。

 しかし、我が両親は物を捨てる事が出来る方々だった。

 余っている電気コードはなく、その計画は頓挫してしまった。


 次に、不法投棄されている電化製品のパーツを拝借しようかと思ったのだが、不法投棄って何処にされてるんだよ、というツッコミを入れざるを得ず、やはり思考段階で選択肢から消えた。


 なので、最終手段。

 自分で集めて成形するしかない。


 大丈夫!

 世の中には砂鉄という素晴らしい素材がそこら辺に落ちている!


《マグネス》の魔法でじんわりと集めます。

 その名の通り、磁力の魔法ですね。

 派手にやれば広範囲から集められるけど、そんな事をすれば一発でバレます。

 なので、じわじわと少しずつ集めました。


 十㎝くらいの高さの山になりました。

 少ない。本当に少ない。


 錬成の魔法陣を描いて、その上に砂鉄の山を積み上げる。


「では!」


 ぱぁん、と両手を打ち合わせて、魔法陣を起動させる。

 ちなみに、手を叩いた事に意味はない。


 砂鉄が流体となり、やがて細長く針金の形になった。


 はい、完成でーす。

 特にエンチャントしていないから、これくらいは簡単だ。

 向こうだと、小学生くらいの子供でも出来る。


 うーん、そもそもの材料が少ないから、長さが微妙に足りない。


 でもにゃー。

 これ以上細くすると、負荷に耐えきれんじゃろ。

 どうせ壊れる、と言っても、先の草回路実験みたいに、安定する前に崩壊してしまっては徒労にしかならない。


 でもでも、無い物は無いんだし、どうしようもないんだよにゃー。

 どうすっかにゃー。


 いやさ、順当に考えるなら、もう少し砂鉄集めを頑張れって話なんだけども。

 正直、飽きてきた訳で、もう少し目に見える成果が欲しいにゃー、って思う訳でして。


 少し細くして長さを補ってみるか?

 いやいや、そんな思い付きをして、初日にどんな目に遭ったかを思い出すのだ、私。


 突発的衝動的実験、駄目絶対。


 庭を見回してみるが、代わりになりそうなものは見つからない。


 くそぅ、やっぱり焦らずにじっくりやれという神のお告げか。


 あー、もう! やめだ、やめやめ! もう不貞寝してやる!


 そんな感じで私は、庭の芝の上にごろりと転がる。


 あーあー、やってらんねーよなー。

 何で世の中ってのはこう上手くいかないのかねー。

 もうちょっと都合よく事が運んでも良いじゃないか。

 ビバ、ご都合主義!

 私はそれをご所望です!


 ごろりごろり、ごろりんこ。


 鬱憤を晴らす様に芝の上を転げ回る。

 だが、それにも飽きてきて、完全にうつ伏せで止まる。


 再度の溜息を吐き出す。


 と、そこで、眼前の雑草に違和感を覚える。


「ん? ん? ん~?」


 目についたのは、まだ芽が出たばかりの名も知らぬ小さな雑草。

 だが、ほんのりと魔力を宿している。


 こ、これは……!?


「う、うおぉぉぉぉぉぉぉ……!?」


 ま、魔草だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??

 え? 何で? どうして!? 何でまた魔草が生えてきてんの!?


 いやいや、待て待て。

 思い出せ、私の灰色の脳味噌よ。

 向こうで生態学の論文だって呼んだだろ?


 えーっと、確か、魔草の発生は、色々と説があったけども、確か確か……突然変異?

 そう! 濃密な魔力を浴びる事による突然変異が始まりだというのが、最有力だったな!?


 そういえば、結界の所為で庭の中は密閉空間になってて、私が魔石生成に使用した魔力が溶け込んでちょっとした魔界化しているけども。


 え? って、マジだったの?

 はははっ、ご、ご都合主義ですね?


 ごめんなさい! 神様! 私が悪かったです!

 もうちょっと周りに目を配れっていうお告げですね!

 これからは注意します!


「いやっほーい!」


 うへへへへ、やったぜ。

 望みとは違うけども、確かな成果が出たぜ。


 魔草があれば、ポーションが作れるんだぜー!

 勿論、これだけで作れるのは、最低ランクのローポーションだけどね!

 まぁ、でも即効性のある魔法薬って考えると、こっちじゃとても希少ですよ?

 擦り傷位なら一発治癒ですからね!

 しかも、栄養ドリンク的に愛飲する事で、お手軽に健康を保てる超健康飲料です。

 向こうだと、中流階級以上の裕福さを持つご家庭では、当たり前の様に実践されている健康法でしたね。

 元気シャッキリ、疲れスッキリ!


 よし、量産しよう。


 庭一面の魔草畑にしてしまおう。

 なぁに、家庭菜園みたいなもんさ。

 家の中で消費するだけなら何の問題もナッシンッ!


 だよね? きっと。

 大丈夫大丈夫。

 世の中は、ご都合主義で出来ているのさ!

 そう思っておこうっと。


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