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魔力炉、起動

 そうと決めれば、早速行動!

 装備を整えて颯爽出撃だ!


 つってもー、今ん所、魔力炉ぐらいしか碌な装備がないという非情な現実……!

 蜘蛛子の糸でマントを作ろうともしたんだけど、出来た布は全部咲輝ちゃんの衣服に使っちゃったかんね!

 私用の分は後回しにしていたのだ!


 大丈夫か、これ!?


 まぁ、多分、何とかなるでしょー。

 ならなかったら、さっさと諦めて逃げる。


 戦力になりそうなのは、他に蜘蛛子がいるんだけど、こいつは家の守りに残す。

 前世では母も妹も犠牲になっていなかったが、今回は私が色々とやらかしている。

 その関係で歴史が変わっている可能性は十分に考えられる。

 バタフライエフェクトという奴だね?

 そんな訳で絶対安心な運命に守られている訳ではないので、護衛です。


「いいか? 絶対に守れ。

 敵は何が何でも殺せ。

 それが無理でも追い返せ。

 それすら無理なら身を盾にしてでも時間を稼げ。

 出来るな? 出来るって言えよ」


 背中に咲輝ちゃんを乗せた蜘蛛子に言い聞かせる。

 ビシッ、って感じな敬礼を決められた。


 …………教えた覚えはないのだが、何処でそんな動作を覚えたのだろうか。


「にー、おえかえー?」


 舌足らずな口調で、咲輝ちゃんが訊いてくる。

 途端、私の頬が緩む。


「そうでちゅよー!

 おにいたん、世界を守る為に頑張ってきまちゅからねー!」


 すりすりすり、すーりすり。


「きゃー、くすうったぁい」


 抱きしめてこれでもかと頬ずりしてあげると、無邪気に喜んでくれる、マイエンジェル。


 うーん、実に愛い。らぁぶりー。

 これが十年後には反抗期入って、クソ兄貴とか、キモイとか言ってくるなんて信じられんな。


 うむ、きっと何かの間違いさ!

 こんな天使が口汚くなるなんて事はないさ!


 そう思っておくとしよう。


 咲輝ちゃんは、多分、道端に放っておいても大丈夫だと思う。

 だって、蜘蛛子の糸で作った服を着てるから。

 私謹製。

 家族の為ですもの。

 これでもか、って位に色抜きとエンチャントを頑張りましたよ?

 おかげで重厚な全身鎧をも超える防御力を、薄い布切れで実現している。


 ゴブども如きの力ではどうにもならないと思われ。


 でも、万が一があるから、やっぱり蜘蛛子は頑張れ。

 命を賭して守れ。良いね?


 そんな感じで出撃でーす。


~~~~~~~~~~


「うーん、広域に広がってる。なんて面倒な」


 一塊でいてくれれば、廉価版魔力炉を使い捨てにして一撃一掃してやれるのだけど、広い範囲に分布されているとそうもいかない。

 だって、三秒しか持たないし。

 三秒で一掃はきついですよ?

 っていうか、無理。無理なものは無理。むーりーだーよー。


 どないしよ。


 って、まぁ、出来る事なんて限られてますわな。

 出し惜しみしたいのは山々ですけども、それで結局何もできずでは意味がない訳ですよ。


 なので、魔鋼版魔力炉の出番です。

 中心部に魔石をはめ込み、魔力を過剰に注ぎ込んで爆発させる。

 その爆裂エネルギーが加速力となって、組み込んだ魔力流路の中を高速で魔力が駆け抜ける。


「マジック―G、ドライブ」


 なんて言ってみる。

 ちなみに、この言葉に意味はない。

 ただのカッコ付けである。


 良いじゃないか! ちょっとぐらい楽しんだってさ!

 素面で英雄なんてやってられませんよ!?

 ちょっとは状況とか自分に酔ってないと!


 まぁ、ともあれ、無事に魔力炉が起動する。

 下級魔石の爆発力では安定化まで少し時間がかかる。


 とはいえ、数秒の事だ。


 その数秒が経てば、莫大と言える魔力が生成される。


 数値にして、毎秒1万ポイント。

 と言っても、どれくらいか分かるまい。


 参考情報として、現在の私のマックス魔力が大体千ポイントくらい。

 大魔法と分類される魔法に必要とされる魔力も大体それくらい。


 それの十倍の魔力が、毎秒である。

 つまり、理論上、1秒ごとに大魔法を十発は放てるという事だ。


 魔力炉がどれだけチートじみた装置か、分かろうという物である。


 でも、当然だけど、弱点というか、欠点がある。

 そんな人の持つ魔力量を遥か超越した魔力なんて、通常人類が生身で扱える訳がない。

 普通に暴発して一撃必殺である、自分が。


 なので、基本的に専用の制御装置に繋いで、都市のインフラなどにしか使われていなかった。

 まぁ兵器にも使われてたりもしてたけど。


 じゃあ、お前も自爆するんじゃね? だと?


 ふふふっ、私は魔力制御能力にだけは、誰にも負けないと前に言ったであろう?


 この自信は何処から来るのか。

 答えは簡単だ。

 私は魔力炉で生成される魔力を生身で制御しきる唯一の存在だったのだ。


「さぁ、覚悟しろ、クソ餓鬼ども!」


 台詞的に、なんとなく悪役サイドというか、大人げない大人の台詞っぽいよね?

 今の私、五歳児だけど。


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