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孤独に溺れた痛み

「カルト的人気を誇るカリスマなおじいさまを真面目に調べたら、大変センシティブだった件」


発禁処分確定。

誰も得しない。ゴシップ紙の方がマシな結末。


パソコンを閉じる。

雨の匂いが混じり、柔らかさが増した沈香を消す。


部屋の中を雨の匂いで染め直した後、改めて能登の香りという線香に火を付ける。


雨の匂いには、こちらの方が合う気がする。

海風をイメージしたインセンス。


明日は引っ越し前の最終日だから、片付け優先。

メルカリで買った冊子が間に合ってくれれば、マスターピースとなり得る情報は一通り揃うが、優先課題ではない。


取り急ぎの問題がないことを確認して睡眠薬を飲む。

それにしても、随分と不思議な調べ物だった。


確かに、群馬県にいないとこの情報には接しない。

なんだ。美容師、きっちり俺のオーダーに応えてくれたのか。


「この場所の面白そうなこと」。


爆笑した。まさかのフラグ回収。アクロバティック過ぎるだろ、これ。あー、久しぶりに思考回路を回したからか、疲れた。


睡眠薬が回り切る前に、片付けおこうとCDに手を伸ばす。彼らのファーストアルバム。


改めて、ヴォーカリストの能力の高さとギタリストの空気読まなさが浮き彫りになっている。


最終的なメンバーはコミュニケーション能力に問題がありすぎ。バンドという設計図にコミュニケーション含めて「バッファ」を持たせたヴォーカリストは設計者として大変優秀だ。


音楽さえ出来ればいい、とはいかないことをこの時点で理解している。もし勘だけでやったなら「天才」なのは間違いない。頭の切れ味良すぎだ。「努力家」なのは間違いない。


「コストカット」とメンバー削って、入れ替えたりしたギタリストは他業種出身の経営者としては優秀だが、設計者が想定した通りに壊れてしまったのだから、現場に行って設計者の話を聞くという製造業の基本がなってなかった。本当に空気読めない。


だけど、たぶん、この人が、ヴォーカリストにとって一番魅力的だったのだと、なんとなく思った。絶対に決してお認めにならないだろうが。


なんだかな。我が身に置き換えてみれば、極ありふれたこと。彼らは「主人公級」だったから、特別に見えるだけで、事象としては普遍的なこと。


人は人でしかない。誰の身にも降りかかる。

アルバムを段ボールに入れて、カーテンを閉める。


丁度、線香も燃え尽きた。

薬も効いてきたし、今夜はどんな夢なんだろうか。


どうせ、悪夢なんだろうけど。

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