アストランティア国
どこまでも澄みわたる蒼い海、はるか彼方まで続く青い空、その境に太陽が沈む水平な地平線。
その反対側には木漏れ日が美しい緑の森、耳を澄ませばさまざまな動物の声を聞くことができる広大な自然。
それらを全て見渡せる王国―アストランティア
王族が居住する王城は、白で統一されており、その周辺は高さ十メート程の門が佇んでいる。
城下町は、活気があり国民たちの生活感がぎっしりと詰まっており、にぎやかである。
アストランティアは、大陸続きではなく、島国なので争いもここ数年程なく、平和な国である。
しかし、資源が豊富で他国から狙われているのも否めない。
だが、アストランティアには、力を持つ者がいるという言い伝えがあり、他国も迂闊には手が出せないのである。
そして、アストランティアと、同盟を結びたいという国が後を断たない。
しかし、その中にもスパイや情報を売ったりする輩がいたりするので、現在の陛下レオン・リテールは他国からの訪問者を徹底的に調べあげ、平和を保っているのである。
エリシアは、アストランティアの外れにある森の奥に居住を構えており、相棒の狼のリン、リスザルの双子サンとシン、鷹のレン、馬のライと一緒に住んでいた。
両親は、エリシアが8つの頃に他界している。唯一、残してくれたのが家と相棒たちだ。
早くして、両親を亡くしたため自分の身の回りのことは、大抵自分で出来る。料理、洗濯、護身術など。
また、エリシアは人間と同じように暮らすため、森から城下町に降り、食物の取得や衣類の調達など生活に必要なものは、城下町でやりくりしている。
そして、エリシアが森の奥に居住を構えているのには理由があった。姿は、人間の17歳の少女と変わりはないが、瞳の色がアストランティアでは珍しい色なのだ。
赤みがかった紫色の瞳と、腰まであるたっぷりとした絹のような、茶色がかった金髪で人々は彼女を異端の者と思い、気味悪がっている。
アストランティアは、黒髪の黒目が一般的なので、それ以外の瞳、髪の者は馴染めないのだ。
だから、毎回城下町に行くときは、マントを着け、髪を隠すためにフードを被っている。また、瞳も隠すために前髪も長く、常に俯き加減で歩く。
そうするしか、アストランティアには馴染めないからだ。
そして、エリシアには大きな秘密がある。それが何かは、彼女しか知らない…。