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歩く賢者の石  作者: 望月二十日
一章
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第19話:歳の話、種族の話

「うわぁーご主人っ! ご主人たすけてェーっ!」


 何が起こったんだ!?

 と普通なら驚くところだったが、一部始終を見ていた俺からすれば、何が起こったんだって言いたい。


 いや、分かってる。


 アンコが決闘トカゲに決闘を挑んで、返り討ちにあったと言うだけだ。

 それを俺とノイエとリリセラの3人で観戦していた。


 アンコも強いけど、トカゲはもっと強い。

 噛む力が弱い代わりに、知能が高く、手足、尻尾の器用なワニみたいなもんだ。

 外見はむしろ可愛げのあるトカゲだが、実力はマジモンスター。


 武具が無いと話にならないと言うのも納得のレベル。


「アンコさんは何をしていらっしゃるのでしょうか」


「アンコは子供だからなー。行動に意味を見出すのは難しいけど、大体は楽しそうだったからで説明が付く」


 ちなみに今、ノイエがアンコを救出している。

 俺は呆れたような声を出すリリセラと話を進めていた。


 そういえば助けを求めてたな俺に。すまんなアンコ。

 とりあえずヒールしてあげるから許して。


「そういえばトーヤ様って、アンコさんやワタクシのことをちょくちょく子供扱いしますよね」


「そりゃあね」


「アンコさんはまだ子供なのでわかりますが、ワタクシとは歳もあまり変わらないのに。なぜでしょう? ノイエさんは……ちょっとわからないです」


 この世界の人間だから当たり前なのだろうが、リリセラは普通にアンコを子供と認識していた。

 外見的にはリリセラと同じ年ごろなのに。


 ノイエは別。ノイエは外見で年齢を判断するの無理。


「実際子供だからな。リリセラには言ってなかったと思うけど、俺もう26歳だし」


「えっ? 26、ですか? えっ?」


「ご主人、思ったよりおとな」


「ええぇっっ!?」


 何でノイエが一番驚いてるんだよ。

 前に賢者の石って打ち明けた時に言っただろ。あれ? 言ってなかったっけ?


「前、色々打ち明けた時に言わなかったか? 俺、こう見えても26歳なんだ」


「聞いてないわよ」


「そっか、すまん」


「……私が34だからトーヤとリリやアンコよりも、トーヤと私の方が歳が近かったなんて」


 今明かされる驚愕の真実。ノイエ34歳。120cm。

 態度から子供じゃないとは思ってたけど思ったより高かった。

 ロリババアっていうのかな、こういうの。


 ……いまノイエをババアって言った奴殺す。あ、俺か。


「俺が26歳で、アンコが10歳、リリセラは15歳だっけ? で、ノイエが34。見事にバラバラだな。外見的には結構近いのに。……ノイエは別だけど」


 俺が26のノイエが34で、+8歳差。

 アンコは10歳だから、-16歳差。

 リリセラは15歳だから、-11歳差か。


 子供扱いするのもしょうがないだろ。


 


「アンコは速いよ「成長がね」そうそう。人が遅い。ご主人はもっと遅いけど。なんでだろね」


「そうですよ。アンコさんやノイエさんの外見が一致してないのはわかりますけど、トーヤ様がそんなに若く見えるのは何故なのでしょう?」


 俺の外見の若さに興味津津な女性陣。

 羨ましいのか?


「俺は成長が遅いんじゃなくて若返ったんだよ。こっちの世界に来た時に。理屈はわからないけど」


 むしろ賢者の石を投与した時に若返ったなら、まだ納得もできたんだが、ジジイが言うには召喚した時にはすでに子供だったらしい。

 精神だけが飛んで子供に憑依したとかでもないし、今の外見は地球の頃と同じだし、わからん。


「ん? よく考えたら、このパーティってリリセラしかまともな人間がいないな」


 賢者の石(異世界人)、犬、エルフ、人、トカゲの大盤振る舞いだ。しかも人枠は元姫。


 見事にブレーメンの音楽隊だな。

 居場所を無くした異種族達が寄り集まって、新しい生活を探してる所とか、そのまんま。


 ちなみにトカゲは決闘に満足したのか、なんか昼寝してる。


「聞いた限りですと判断が難しいですね。トーヤ様も人? ですけど、色々特殊ですし」


「一応人間だよ。人間扱いしてくれよ。こんなだけど」


「トーヤが人だろうが、賢者の石だろうが、どっちでもいいじゃない。どっちもどっちよ」


 どっちもどっちってここで使う言葉だったか?


「アンコも犬やめたい」


 アンコの口から爆弾発言が出た。なんだ? 獣人なことを気にしてたのか。


「どうしたのアンコ、何か嫌なことあったの?」


「うーん。たまに座るとき尻尾がいたいから。あと、アンコも賢者の犬になりたい」


 賢者の犬ってなんだ。頭悪そうだな。


「確かに尻尾って、寝るときと座るときに邪魔そうですよね。触り心地とか好きなんですが」


 リリセラってもうアンコの尻尾触ってたのか。随分仲良くなったもんだ。

 アンコもリリセラもなんだかんだで、お互い歩み寄ろうとしてるからかな。いいことだ。



「そういえば、トーヤってどうして賢者の石になったのかしら?」


「賢者の石を飲んで怪我が治るのは知ってますが、魔力が増えるなんて聞いた事ありませんよね」


「アンコも飲んだらなんかなる?」


「ならないわよ」


「がーん」


 俺も理屈はわからない。

 強引に考えるなら、元々魔力が一切なかったから、そういう器官として取り込まれたんじゃないか、とか思ってるけど。


 わからん物はわからん。


 まあいいじゃないか、わからないままで。

 賢者の石は貴重らしいし、俺の血を飲もうとする輩とか出てきたら困るし。


「ご主人の血……」


 こういう奴!







 気が付くと、いつの間にか女3人で話が盛り上がり、不思議なもんで、自然と会話に参加できなくなる。

 姦しい感じ。


 4人になってから増えたが、長時間話し込むわけでもないし、こういう時間も嫌いじゃない。

 聞いてるだけでも割と楽しいし。


 けど、男友達は欲しいな、って思う。

 このパーティに俺以外の男が増えるのは嫌だけど。

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