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石畳の道を照らす街灯の光の中、この美しい場所でそれぞれの用事を済ませている者たちがいた。デート中の者、絵を描いている者、港に座って釣りをする者、両親と散歩する子どもたち。
一人はカフェに座っていた。黄色い光と美しい景色、そして飛び交う蛍の下で、その美しい光景は彼に特別な感情を抱かせ、彼の茶をより美味しく味わわせた。
茶を一口ずつ味わいながら、赤毛の男は軽やかな音楽に合わせて、満喫するように頭を小さく揺らしていた。
「アカズハ様。」
突然、一人の少女がアカズハのそばに現れた。
「パイカ、お前が現れたということは、誰かが俺を探しているということだろう?」
彼はそう言いながら、自分の楽しみを続けた。
「はい、ほぼその通りです。あなたが玉座を去ってから、多くの悪魔があなたを疎ましく思い始め、私たちのホテルへ次々とやって来て、お客様たちに少し迷惑をかけています。」
「それがお前の言いたいことではないな?」
「はい。実は、彼らは私たちのデストロイヤーたちに焼き払われました。ほとんどは、一部は逃げ延びましたが。」
「私があなたに言いたいのは――」
「俺がお前に会いに来たんだ、アカズハ。」
別の男がパイカの言葉を遮った。黒髪で、片目に白い眼帯をし、灰色の装束を身につけている。
「弟よ、ははは、久しぶりだな。」
兄弟は握手した。彼らは抱き合うほど親しくはなかった。
「前より若く見えるな。」
「兄さん、自分の王国で何か問題を抱えているんだろう。」
「俺はそれを厄介事とは呼ばない。時には、自分の虚無の能力で簡単に片づけられることもある。」
そう言ってリオンは周囲を見回した。何人かが彼らに気づいたが、すぐにそれぞれの用事へ戻っていった。
「相変わらず見事だな。これを全部お前が作ったのか?」
「ビッグバンを起こすことなんて難しくない。」
「それもそうだ。俺たちがポケット・ディメンションを作るのは、宝物を入れたり、ちょっとした遊びに使うくらいだ。弟よ、お前はどうやら別格らしいな。」
アカズハは茶を一口飲み、答えた。
「俺がこの場所を作ったのは、自分の頭に浮かぶものを形にできるからだ。」
「ゴッホの絵のように?」
「ああ、彼の絵のように。」
リオンは橋の方へ目をやった。茶髪の男が、かなり簡素な暗い色のコートを着て座り、絵を描いている。
「それも驚くには値しないな。」
アカズハは飲み終えた茶碗を置いた。もう兄ときちんと話す準備ができていた。
「それで、俺に何の話だ?」
「もし父からの遺産相続の話なら、先に言っておく。あの老いぼれからは何も受け取っていない。」
「そうでもない。ともかく、俺が借りたいのはお前が持っている宝物の一つだ。」
アカズハは少し眉をひそめ、赤い瞳でパイカを一瞥してから兄を見た。
「いいだろう。どうせ兄さんには身分を隠すのを手伝ってもらった。で、何を借りたいんだ?」
「うーん……永遠の炎だ。」
「パイカ、この客を俺のホテルから追い出せ。」
「おいおい、待てって!」
「火の概念を象徴するものを借りたいなんて、兄さんが厄介事を起こしているのは間違いない。」
「アカズハ様、死神が外でお待ちです。」
「彼は何か食べたか?」
「はい。彼は食堂で……腐った食べ物を楽しんでいます。」
アカズハは厄介を起こした兄を見た。リオンは気まずそうに頭をかくしかなかった。アカズハは疲れたようにため息をついた。
「店員、会計を。」
<♤♡◇♧>
食堂のホールにて。
そこは王の食堂を模して建てられた豪華な場所で、床は高級な木材でできていた。整然と並んだテーブルには様々な客がいた。作法通りに食べる者もいれば、飢えた亡霊のようにむさぼり食う者もいた。
しかし、一つのテーブルが客たちを不快にさせ、怖がらせていた。そこには誰も座っているようには見えなかった。
給仕が料理を運んできてテーブルに置く。魚、肉、蟹……それらはどれも瞬時に腐敗し、消えていった。
「デス。」
「アカズハ。」
アカズハは、腐った料理とうごめく蛆虫だけがある空のテーブルへ歩いていった。
それが、周囲の者たちに見えているものだった。
アカズハの目は人間には見えないものを見ることができ、デスは魔王を友人として扱っていた。だからこそ死の神はアカズハに自分の真の姿を見ることを許していた。他の者なら、きっと虚無へと溶けて消えていただろう。
「お前は相変わらず自分のポケット・ディメンションに浸っているな。」
「それが俺の趣味だ。」
「君の口に合うなら何よりだ。」
「どれも同じように腐っているが、この料理を不味いと評価するつもりはない。」
アカズハは死神の向かいに座った。
「俺が何の理由でここへ来たか、お前はわかっていると思う。」
「兄が犯した過ちについて、本当に申し訳なく思っている。」
「謝る? それはお前の過ちじゃない、アカズハ。」
「むしろ、俺の過ちだ。」
アカズハは不思議そうに少し眉をひそめた。
「俺は過去と未来のすべてを見ることができる。だが、死の概念に関わるものはどこか灰色がかっている。説明してくれないか。」
「確かに、お前は死の概念に関わるものを見ることはできない、アカズハ。」
デスはフォークを止め、魚に突き刺した。魚は瞬時に腐敗し、彼は外套の奥でそれを美味しそうに食べた。
「三か月前、お前の兄は別の魔王と戦っていた。名はマンドリッチ。火星を支配していた魔王だ。彼は百年もの間、俺の像の前で祈っていた。来る日も来る日も、彼はそこに座って俺の像に祈り続けた。その決意を見て、俺は姿を現して彼に会った。会うと、彼は跪き、不死の人生を求めた。」
「だが信じられないことに、彼は火星を破壊し、冥王――お前の兄の領土――を攻撃した。彼とリオンは三か月間戦い、形勢が不利だと悟った彼は、俺の助言に従ってお前を訪ねることにした。」
(確かに、デスは自分の能力に干渉することはできない。)
「信じないなら、真実の眼を使えばいい。」
「必要ない。もし嘘をつけば、それは俺に警告を発していたはずだ。それでも、俺が永遠の炎の使用を許せば、それは彼を焼き滅ぼすだけでなく、この世界そのものを塵にする危険もある。」
「ああ、それはよくわかっている。だが、そのマンドリックには継続的に力を増大させる能力がある。彼が最大の脅威になるのではないかと恐れている。」
「確かに、無制限に力を増大させる能力は恐ろしい。だが、俺は一匹の虫のために炎を無駄にするつもりはない。」
「それに、一匹の虫を気にかけるより、俺にはやるべきことがたくさんある。」
「アラキ!」
アカズハが声をかけると、瞬時に二メートルを超える青年が彼の背後に現れた。
デスはその青年を観察した。服の上からでもわかる巨大な筋肉を持つ逞しい体躯、奇妙な紫色の髪、そして恐ろしいほど鋭い目つき。
「これは……」
「こちらはアラキ・シドリ。俺の使用人だ。」
「アラキ、こちらは俺の友人だ。」
「初めまして。」
この青年の声はかなり低く、強烈な気配を放っていた。
「ああ……よろしく……」
「このアラキが、兄さんがあの小僧を制圧するのを手伝う。」
「彼にできるのか?」
「もちろん。俺は彼の仕事ぶりを疑ったことなどない。」
アカズハはうなずき、アラキの方へ向き直った。
「シドリ、この任務を果たせると思うか。」
「ご命令を、アカズハ様。」
「よし、それでいい。デス、今すぐアラキをあの男が現在いる場所へ連れて行け。アラキの能力が、兄さんとお前があの男を倒す助けになる。」
「大丈夫なのか?」
「やってみなければわからない。」
デスはしばらく考えた後、うなずいて同意した。
「わかった。君の好きにしろ。」
デスは立ち上がって去った。アカズハもアラキに、死の神についていくよう合図した。
「そうだ、デス。」
デスは突然立ち止まった。
「俺は知っている。お前はいつもこの馬鹿げた規則に縛られて自制している。時には少し突破してみるべきだとは思わないか?」
「お前の二人の子供たちのように。」
デスは何も言わず、ただ歩き続けた。だがアカズハには、その神がつぶやく声がまだ聞こえていた。
「そのことについては考えておこう。」
デスはアラキとともにホテルを出ていった。
「おい、あのアラキって小僧はそんなに強いのか?」
「もちろん、彼はとても強い。だが、彼の強さを自慢する必要はないと思う。なにしろ、あの巨大な体を見れば一目瞭然だ。」
アカズハは、まだ腐っていない料理を皿から食べている兄を見て、大きな声で言った。
「それを食べるな。兄さんは腐ったものと食べられるものの区別がつかないのか?」
「俺にとってはどちらも同じだ。」
彼は食べ続けた。アカズハは兄がここにいることに少し不快感を覚えた。なぜなら、長居されれば、彼は自分が食べている葉から決して離れない虫のようになるだろうとわかっていたからだ。
「警備員、この客を俺のホテルから追い出せ。」
すぐに、鉄人族の大柄な警備員二人が近づき、リオンの肩を掴んで持ち上げた。
「おい、おい、兄にそんな扱いはないだろ!」
「次に何か頼みたいなら、はっきり言え。じゃあな、チャオ。」
「おい、アカズハ!!」
リオンは叫び続けたが、その声はだんだん小さくなり、やがて消えた。アカズハは立ち上がり、食堂を出ていった。
第1章 終




