71.さらばイザクラの都
山河カンショウの国、イザクラの都。朝日が昇り陽射しが宿のある一室へと入り込む。そこにいるのはとある三人の冒険者、ロロ、瑞葉、ハクハクハクだ。普段ならば瑞葉やハクハクハクは朝日が出るよりも早く起きているものだが、この日ばかりは昨日の疲れからかその陽射しによってようやく目を覚まし始める。
「ん……、もう朝?」
のそのそと布団を剥いで起き上がるのが瑞葉だ。彼女は未だ寝ぼけた様子でしばらく窓から差し込む陽射しをぼーっと見つめていたが、やがてゆっくりと伸びをし始める。
「ん、ん、んんん~」
伸びをして深呼吸をすると頭も周り始めたのか徐々に彼女は現状を認識し始める。自分たちはイザクラの都に来ていて、ここは宿の一室で、今は日が出るような時間で、昨日は色々と大変だったことを。
昨日、三人はイザクラの都にようやく辿り着くと届け物をするという簡単な依頼を終えた。問題はその後で、都の前で出会った露天商の元へ出向けばその人は詐欺師であり彼らにがらくたを高額で売りつけようとする輩だった。幸いイザクラ考古学団の十六夜丸の助力もあり騙されずに済み、その後彼女の紹介のもと信頼のおける店でハクハクハクの新しい杖を購入、その直後に強盗団に襲われるという不運に見舞われる。結果から言えばイザクラ考古学団の家老の介入により難を逃れるも、かなり危険な目に合って今更ながらに疲れが襲って来ているようだ。
「もう少し寝ようかな」
瑞葉は目は冴えて来たものの身体はまだまだ疲れを感じている事に気付き再び横になる。どうにも起き上がろうという気になれずもう少し天井を見つめていたいらしい。
そんな彼女と同室のハクハクハクも同じ頃に目が覚めており、瑞葉が起き出したかと思うと再び横になったのも気付いていた。それでも挨拶も何も無くじっとしていたのは考え事をしていたからである。
昨日の強盗団、彼らは丙族を憎んでいた。彼らの一人は言った、丙族が何をして来たか知らないのか、と。その言葉に対しロロ達三人は当然に魔王の残党となった丙族の事を指しているのだと思ったが、尋ねてみればそれは違うと返答があった。
では彼らが丙族を憎んでいたのはなぜなのだろうか?
ハクハクハクはここで考えたところでその答えが出ない事は分かっていても考えずにはいられなかった。それこそ、瑞葉が起き上がったと知ってもその思考を優先するほどには。
そして二人がそれぞれの理由で目は覚めたものの横になったままでいる中、この部屋にいるもう一人、ロロは未だ夢の中だ。朝の陽射しが部屋に入ろうと彼にとっては未だ眠る時間らしい。
結局、三人がようやく部屋を出たのは朝の十時ごろ。それもロロが二人を起こしてからという話だ。瑞葉とハクハクハクは横になっている間に再び寝てしまったようで、ロロが軽く声を掛けても起きないほどに熟睡していたという。
三人は軽い食事を終えるとある場所へ向かう。客引きが道を塞ぎ、観光客の楽しそうな声が響き、時に行き過ぎた騒ぎに警察らしき者が注意をしに行く。そんな賑わいのある通りをロロ達は通り過ぎ、そんな騒々しい場所から少し離れた場所へ。
彼らが向かったのはイザクラ考古学団の本部だ。
「おお、来たか!」
辿り着いた彼らを迎えたのは入り口付近で突っ立っていた十六夜丸である。
「まさか朝からずっとここに?」
今はおおよそ十一時。瑞葉はもしかすると随分待たせたのかもしれないと少し申し訳ない気分になったのだが。
「いやいや、実は昨日あの後に爺様から事情を聴かれてのぅ。それが長くて長くて、寝所に入った時には日をとうに跨いでおったものだから起きたのも三十分ほど前なのだ」
「そうなのか? 大変だなぁ」
「うむ、爺様の過保護にも困ったものだ」
十六夜丸が大きな溜息と共に家老への不満を零す。ロロ達は単に彼女が爺様と呼ぶイザクラ考古学団の団長としての責任感と仲間思いであることの現れなのだろうと推察する。が、通りすがりに誰かが、
「そりゃ孫娘が強盗団に襲われたとあれば誰でも心配するでしょ」
と、言って去っていく。成程、その言葉は確かに納得の行くものだ。孫娘が強盗団に襲われたと聞けば心配で色々と根掘り葉掘り話を聞きたくなるのは爺さん婆さんの性という物だろう。
ただまあロロ達はそこはどうでも良くてある点が気になった。
「え、家老さんの孫……、なのか?」
「む? そうだが? 爺様と呼んでいただろう」
「まあ……、そうだけど」
家老と十六夜丸が血縁にあるという点の方が彼らにとっては余程気になっていたのだ。ハクハクハクは瑞葉の耳元で囁く。
「に、似てない、よね?」
瑞葉はそれに対して返事こそしなかったがその表情を見ればどう思っているのかは一目瞭然だっただろう。
十六夜丸は背が高く、顔の整った美人で着物を着こなすその姿はどこか侠客然とした雰囲気がある。それでいて表情は豊かで接してみれば愉快で退屈しない人であるという事に気付くだろう。対して家老は年相応に皺の刻まれた顔と少し腰の曲がったその姿から受ける印象は正に老人という感じだ。但しその顔に刻まれた数と同じほどに場数を踏んで来たのか表情からはその心情は読み取れず、ただただ平坦な感情で以て周囲を見ているのだと思わされるはずだ。
一世代離れている事に加えて性別も違うとはいえ二人が血縁にあることを初見で見抜くのは困難と言わざるを得ないだろう。
「では揃った事だし行くとしよう」
十六夜丸が号令を取る。彼らにはこれから行かねばならぬ場所がある。
と、言う訳で辿り着いたのは警察だ。例の強盗団を丸ごとこちらで取り締まり今も様々な手続きでてんてこ舞いのようだが。
「あ、来ました、来ましたよ!」
誰かが一行に気が付き声を上げる。するとすぐに奥で指揮を執っていた者が手を空けて走って来る。
「いやはやこの度はご足労頂きすみません」
へこへこと頭を下げるその態度はまるでご機嫌伺いをしているようだ。いや、実際にそうなのである。この男の視線を見ればそれは一目瞭然で十六夜丸の顔色をずっと窺っているのがすぐにわかるだろう。
その態度を見て十六夜丸はただただ辟易するように溜息をつく。
「爺様と我輩は血縁ではあるが、我輩はただの未熟者だ。そのような態度は止めてくれ」
「まあまあ、そう言わずに。どうぞこちらへ」
十六夜丸の思惑とは別に男の態度は変わらない。彼女は再び溜息をつくと諦めて男の後ろを付いて行く。その様子を見ながらハクハクハクが呟く。
「い、十六夜丸、さん、って、思ったより偉い人?」
「というか、家老さんの血縁だからって事なんだろうけど……」
家老の名は山河カンショウの国の警察機関においては絶大な力を誇っている。それは彼自身が二等星の冒険者で様々な功績を残しているからでも考古学者として多くの発見をして来たから、ではない。彼らの間では家老は国王にも重宝され裏で様々な依頼を受けているとの噂が為されているのだ。それが事実か否かはわからないが、もしもそうであれば家老に粗相を働けば国に消されるかもしれないと戦々恐々とし、逆に彼に気に入られることがあれば安泰だと希望を抱く。
しかしまああまりに露骨な態度には十六夜丸が辟易するのも頷けるという物だ。
「あんな態度をされると面倒そうだね」
三人はその言葉に頷き合うと十六夜丸たちの後を追った。
警察の一人に連れられて案内されたのは犯罪者の取り調べに使うような狭い部屋ではない。調度品の質が高くどこか落ち着きを感じる空間で明らかに接待に使われているであろう格調高い部屋だ。瑞葉などは十六夜丸の気苦労の多さに同情しつつもこうして恩恵に与れることに感謝している。
座った感触が柔らかく心地の良い椅子に皆が座ると全員にお茶と菓子が一つずつ出される。菓子に目の無い瑞葉は内心大喜びだ。
「まず初めにはっきりさせておきますが、我々はあなた方には感謝しておりまして。この度お呼び立て申し上げたのはあくまでどのような経緯で彼らに襲われたのか、という点をはっきりさせる為であるという事です」
「分かっておる」
仰々しい態度に十六夜丸は明らかに苛立ちを覚えているようだった。それを感じ取ったのか警察の彼は軽く咳ばらいをするとさっさと本題に入る。
「え~、皆さんが彼らに襲われたのは中通りの店を出たところと聞いております。間違いありませんね」
「うむ、間違いない」
「ハクハクハクの杖を買った後だな」
ロロがそう言ってハクハクハクの肩を叩く。警察の彼はそれを見てハクハクハクを、そして彼女が持っている杖をじっと見つめた。
「成程、確かにその杖は素晴らしいものですね」
「分かるのか?」
「まあ、イザクラの都で警察などやっておりますとこの手の物を見る機会は多いもので……。それは確か丙族の為に作られたと噂される物では?」
「うむ、その通りだ」
「やはり……! 以前にイザクラ考古学団が発行する冊子で似た物を見た記憶がありまして」
「ほう、よく覚えておるな。あれはもう一年は前の事であろう」
「いえいえどうも。この仕事で見ている内に遺物の収集や鑑賞が趣味になってしまいまして。休日も専ら博物館などに出入りしております」
「ほほう! ますます良い! お主が良ければ今度幾つか店を紹介してやろうか?」
「あ、ありがたい話で……」
ふと警官がロロ達三人の白けた視線に気が付く。同行の士を見つけて楽しそうな十六夜丸は全く気付いていないようだが、はっきり言って三人にとって関係ない話で時間を取られるのは少々退屈なものだ。
「ごほん、えー、今は仕事の話をしましょうか」
そこからはしばらくどのような事があったのかをロロ達が説明する時間だ。店を出てすぐに二人組に杖を盗られた事、その後すぐに取り返したはいいが大勢に囲まれた事、二手に分かれ十六夜丸を逃がしつつ彼らを相手に大立ち回りをした事、最後は家老が何もかも丸く収めた事。包み隠さず彼らの知る限りを話した。
「……はい、ありがとうございます。我々があの強盗団から聞いた話とも一致しているようで、間違いはありませんね」
彼はそう言うと軽く伸びをして緊張を解いて行く。どうやら必要な事は聞き終わったのだろう、先程までは多少あったはずの緊張した空気が消えていく。
「皆さん災難でしたね。最近は多いんですよ、ああいった手合いが」
「強盗団か?」
その問いに対して彼は首を横に振る。実際、あの規模の強盗団が大勢いるのであれば誰も外を安心して歩くことは出来ないだろう。今回彼らが大立ち回りを演じたのは相手がロロ達のような未熟そうな相手であったという事と、持っていた杖が相当に高価な物だったからというのが大きい。彼らはたかが子供と強さを見誤って引くに引けなくなったという事のようだ。
話を戻し、では強盗団で無ければどんな手合いが多いのか。
「丙族相手に過剰な反応をする輩です」
という事だ。
「……それは昔からでは?」
瑞葉の問いは尤もである。未だに多くの場所で丙族への差別的感情は消えていない。だからこそロロと瑞葉の住む農場のような丙族立ち入り禁止の場所が作られているのだ。
しかし警官と十六夜丸はその問いに対しどこか答え辛そうに遠くを見た。ロロはそれを見てふと思い出す。
「そう言えばあいつら魔王の残党に家族を殺されたのかって聞いたら違うって言ってたな。他に何かあるのか?」
そこまで言われれば答えないわけにもいかないだろう。警官が重い口を開く。
「考古学で過去が紐解かれるにつれて、少々、こう、……妙な主張が出始めましてね」
そう前置きをして彼は語り出す。
考古学の発展により旧世代ことおおよそ三百年程前まで存在していた文明についてわかっている事は増え続けている。しかしそれと共に新たな疑問の数もまた同様に増え続けている。
その内の一つに旧世代における丙族の存在がある。
当時、丙族が存在していたことは既に確かな事であり、また丙族ではない人々と共に生活していた痕跡も存在している。それは例えば今ハクハクハクの手元にあるような杖の存在がその証拠として挙げられている。特別丙族にのみ使いこなせる武具は両者の違いを明確に理解しているが故に存在する、つまりは両者の間にある程度良好な関係が築けていた、そう主張するわけだ。その他の面でも丙族であることを感知する機械の存在などからこの考えを支持する者は多い。
しかしこれらの証拠は真逆の事を証明しているという主張も存在する。
丙族専用の武具は丙族が彼ら自身の為により強力な武具を求め作り上げた物であり、丙族を感知する機械は人々が自分たちの居場所に丙族が紛れて入って来ないようにする為に作られた物とする。この考えの帰結するところは、丙族とそれ以外の人々は争っていたという主張だ。
今も考古学の研究は進んでいるがどちらの主張も肯定し切る程の材料も否定できるほどの材料も揃っていないというのが真実であろう。いっぱしの考古学者に話を聞けば個人の心情としてどちらに寄りたいという考えこそあれ、事実がどちらであるという断言はするまい。
そしてここイザクラの都ではこれらのどちらが真実であるかという論争は徐々に考古学者だけではなく一般にも波及し始めている。
そのような話をした警官は溜息と共に現状を嘆く。
「彼らの一部は旧世代で丙族は人々に略奪の限りを尽くした悪だと過激な主張をしています。人々は丙族に怯え自らを守るために様々な機械、現代における遺物を開発し対抗していたのだと」
「馬鹿げた考えだ。丙族と人々は手を取り合って共に生活しておったに決まっておる」
声を荒げる十六夜丸の姿はもしも家老がこの場にいれば考古学者としてあるまじき姿と諫めていたかもしれない。しかし彼女が強い善性を持っている事はこの場の誰もがはっきりと理解するだろう、それが考古学者として正しいかはともかく。
「まあ、そのような主張は一部の人たちにとって居心地が良いのでしょうね。徐々に過激な集団を形成していったわけです」
「つまり、丙族を排斥したい人々を?」
「ええ」
元々丙族は差別的に見られやすい前提があるのだ、そこに更なる燃料が投下された結果として人々は団結し丙族に対してより強い恨みを形成する。そして内輪で叫ばれる声は鍋の中で煮詰められていくようにどろどろとした濃い怨嗟の叫びへと変わっていくだろう。
淀みの中で彼らは自分たちの考えが行き過ぎたものだと気付くことも無く行動に移る。丙族の過去の過ちを理由に彼らへの略奪は許されるなどと言い始めるのだ。
「まあ、今回の事で一旦は落ち着く事でしょうけどね。彼らはそう言った集団の中でも大きいものでしたから。……言い訳になりますが、我々も一斉に摘発する準備を進めてはいたのですがこのような事態になってしまって本当に申し訳ない」
自らの、或いはその属する組織の至らなさに頭を下げる警官。心根が真面目なのだろうと推察される。それを見てロロは、
「だったら襲われたのが俺達でよかったってことだな」
と一言。それは彼を慰めようとしたわけでは無いだろう。ロロにそこまで人の心を慮る事は出来まい。彼はただ本心からそう思っただけだ。
「俺達は街の人たちが安心して暮らせるように頑張ってるわけだからな。今回の最後は家老さんに来てもらってどうにかって感じだったけど、結果的に思ったより早く強盗団が逮捕されたって事だろ? よかったよかった」
自分の身が危なかったことなど彼の勘定には入っていないのか、ただただ結果を喜ぶ姿は危機感が足りないと嘆くべきかそれとも純粋さの現れと賞賛すべきか。
どちらにせよ警官にとっては多少の慰めになったようで彼はほんのり笑みを浮かべた。
「あなたはいずれ大物になるかもしれませんな」
そんな呟きと共に。
警察署を後にした一行は通りをぶらつき偶に遺物の露店を冷やかしで覗いたりしている。そうしているとふと十六夜丸が三人に尋ねた。
「お主等はこれからどうするのだ?」
「どうするって言ってもねぇ」
ロロ達三人にこの後の予定は何も無い。そしてハクハクハクの杖を買ったことで手持ちのお金もほとんどなくなってしまった。
「依頼は終わったし、ひとまずイザクラの都の様子は分かったし、ショウリュウの都に戻るかな」
「感謝祭までには戻らないとだしな~」
魔王討伐感謝祭まではもう一月を切っている。ここからの移動時間も考えるとあまり長居は出来ないというのが事実だ。
「む、そうか。都はこの時期どこも大忙しだからのぅ」
「十六夜さんは感謝祭はこっちで?」
「今年はそのつもりだ。イザクラの都の感謝祭も中々盛り上がってな、今年はイザクラ考古学団でも様々な人に考古学に触れてもらおうと色々と準備をしておる所なのだ」
「そうなのか。イザクラの感謝祭も見てみたいけど農場の手伝いもあるしなぁ」
「なに、誰しも優先すべきことはあるものだ。我輩もショウリュウの都での感謝祭も覗きに行きたいが難しいからな」
そう言うと十六夜丸は懐より何やら取り出す。
「これは餞別だ」
代表してロロが受け取ったそれは楕円形の遺物、彼らが苦渋を飲まされた物である閃光弾だ。
「え、いいのか?」
「なあに、あの店にもたくさんあったであろう? 我輩たちにとっては然程珍しい物でもない」
「そっか……」
ロロは閃光弾を握り締めると力強く拳を掲げる。
「また会おうぜ! もし何か力を貸せることがあれば遠慮なく言ってくれよな」
「うむ、こちらこそ、だ」
瑞葉とハクハクハクも彼女に礼を言い、彼らはこの場で別れることとなる。とはいえ同じ国に住み、時には都同士を行き来することもあるのだ、いずれまた会うことになる。友人に今一時の別れを告げただけの事。
そして互いの姿が見えなくなった頃、ロロは手に持った閃光弾を見つめ。
「瑞葉、これ」
「……私に?」
それを瑞葉に手渡した。
「ロロが受け取ったんだし持っておけば?」
「いや、絶対瑞葉の方が上手く使えるだろ……」
瑞葉は思わず同意しかけたがぎりぎりのところで踏み止まる。しかし隣を見るとハクハクハクが小声で確かにと呟いているのが見えた。彼女は小さな溜息をついて閃光弾を懐に仕舞い、それからロロをじっと見る。
「ロロだけ装備が何も変わってないみたいだけど良いの?」
「ちっちっち、分かってないな」
「何か変わったの?」
思わず瑞葉はロロの頭頂部から足の先までじっと見て、それでも分からず後ろに回ったりしたのだがやはり何も変わったようには見えない。ハクハクハクもそれは同じで、ロロの様子にどこか変わったところなど見えはしない。そもそも彼には装備を買う程のお金が残っていたとも思えない。
「何が変わったの?」
そう問われてロロが指差したのは。
「……私たち?」
瑞葉とハクハクハクだ。
「一緒に行動してることの方が多いからな。二人が強くなったならその分出来ることだって増えるだろ?」
「……まあ、ロロがそれでいいならいいけど」
こうして三人はイザクラの都を後にする。ショウリュウの都への道はほぼ船旅、何か起こることは無いだろう。
……いや、ロロとハクハクハクには一つ大仕事が残っていた。歩いて帰ろうとおかしな事を提案する瑞葉を船に無理矢理乗せる事だ。
後に船着き場で駄々をこねる少女が肩に担がれて運ばれていたのを大勢が目撃することになったとか。




