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それいけ魔法少女(男)  作者: 大金母知
14/23

14人型というか人

間が空いてしまい、果たしてここまで見てくれる人がどれだけいるのか……まあ見てくれる人がいなくとも自己満足で投稿し続けていきます。願わくは一人だけでも最後までついてきてくださる方がいらっしゃいますように。

時刻は午後9時。当然ながら学校に人の気配は無い。

魔法陣があるのは校庭の方。

月乃さんは一呼吸挟んで覚悟を決め、校庭の方へ向かう。

「皆、気をつけてね」

「あ、危ないですよ」

「「へ?」」

ボクは自分で身をかわすと同時に月乃さんの身体を優しく押しのける。

ヒュゴッ!

「「!?」」

丁度ボク達三人の胴体を貫かんと赤黒い閃光が放たれていた。 視線を向けてみれば、

「あれが……人型……」

身長はボクより一回り大きい。そして、驚くべきことに人型のビーストは女性(?)だった。あれは……ボディスーツだろうか?お胸の部分の発育が大変に発育されていた。

顔は仮面のようなもので覆われており見えない。

「……うん。撤退しよう」

「そうね。帰ってお祝いのチキンを食べましょう」

「ちょっと待ってくださいよ!?」

月乃さんの言い分は分かるが枢木さん、あなたまでどうしちゃったの!?

「無理無理無理無理!あんなの無理だって!」

「そうね。よく考えたら私達って弱かったもの」

「今更ですか!?」

完全にさっきの一撃でメンタルをやられてしまっている。 って、醜い言い争いをしている場合じゃない。ボクは人型のビーストに向き直る。

「あなたの狙いがボクであることはお見通しです!」

「ミツケタ……モモイロノウィッチ……」

「「喋った!?」」

人の声とは違う……機械で合成されたような声だ。

「やっぱり。あなたの狙いはボクを魔改造してあなたのような人型のビーストにして使役しようとしているみたいですけど……そうはいきませんからね!」

「……チガウヨ」

「え……?」

「フツウニコロス」

「………………」

「………………」

「そ、そうはいきませんからね!」

「……オマエ……イヤ……ヨソウ……」

「……?」

人型のビーストが殺気の隙間に見せた小さな逡巡……まるでボクのことを改めて確かめるような……まるで見知った顔に似た誰を見つけたような……

「まさか……ホムレスさん……?」

「!?」

ビンゴらしい。

「まさか……カオル……?」

「はいゃ違います!カオルさ双子の兄でボクは妹のカオリですはじめまして!」

危なっ!普通に返事しちゃうところだった! というか声が変わった。今の声は完全にホムレスさんの声だった。

「なははっ……なんか複雑な事情っぽいね?」

ホムレスさんの笑いには普段と違い、何かを紛らわすような色があった。というか完全にボクの正体がバレてる。

「……察してくれてありがとうございます」

「ちょっとカオリ!あの人型と知り合いなの!?」

「そうよ!あんた敵だったわけ!?」

「違います!兄の知り合いです!ちなみホムレスさんが人型っていうのはボクも兄も知らないところです!」

というか、なんでホムレスさんが?

「ちなみにカオルじゃなくてカオリ……どうしてワタシって気づいた?」

「先に違和感を抱いたのはホムレスさんの方でしょう?それでピンときたというか…………後はボディライン?」

「くっ…………あははっ!さすがムッツリ!恐るべしだね!」

「む、ムッツリじゃないし!」

そう笑うホムレスさんはいつものホムレスさんで……だけど……

「はぁ〜あ。ホントにカオリは面白いなぁ……ホント、殺したくないなぁ……」

「……どうしてボクを殺そうとするんですか?」

「ワタシのやってることはどんな理由があっても許されることじゃない。その質問は無意味だ」

「それが分かってるならどうして!?」

「そうしなければならないから」

どういう……ことだ?

「あ、勘違いしないでね。ワタシはワタシの意思でウィッチを狩ってる。そして、君こそが一番殺すべき対象だと……そう認識しているよ」

ホムレスさんの決意は固い。

月乃さんが耳打ちしてくる。

「カオリ。この人はマジでヤバい。撤退するよ。時間はあたしが稼ぐ。だからカオリは小雪を連れて……」

「大丈夫です」

「え?」

悪いが月乃さんの指示に従うつもりは無い。

「これが最後のお願いです。どうかこれ以上罪を重ねないでください。ボクは……あなたを傷つけたくない……!」

「自分を殺そうとする相手にも優しいんだ」

「そうじゃない」

「……?」

「あなたなんて脅威でも何でもないって言ってるんですよ」

「「「!」」」

ホムレスさんだけでなく、月乃さんも枢木さんもボクの言葉に息を呑む。

「言うね……生憎、その言葉は逆効果だ」

やはり説得は無理だったか。

「ちょっと!何挑発してんの!?」

「月乃さん……枢木さんを連れて下がってください」

「くっ……それだけ大きい口叩いたんだから負けたら承知しないからね!?」

「安心してください。ビーストなら無理でしたが人間ならボクが負ける道理はありません」

「……分かった。いくよ!小雪!」

「……仕方ないわね。一応狙撃ポイントで待機するわ」

「お願いしま「行かせると

ドゴォオオン!

「がはっ!?」

「「!?」」

ホムレスさんには悪いけど、全く不意打ちになっていない。余裕を持ってカウンターの拳を入れることができた。

ホムレスさんは校庭の砂煙を撒き散らして転がり、吹っ飛んでいく。

「……やっぱ行かなくていいです。たぶん倒しちゃったんで」

「……マジか……」

「……ウソでしょう……?」

当然殺してはいないけど、しかし戦えるコンディションでないのは間違いない。

やはりと言うべきか、砂煙が搔き消えると地に倒れ伏したホムレスさんの姿があった。

「……勝負ありです」

「……た……はは……ま、さか……ワンパンで……」

血を吐きながら苦笑するホムレスさん。

「やっぱり……君は危険だ……」

「ボクが……?」

「そう……絶対に殺しておかないと……手遅れになる……」

「それはどういう……」

「一つ面白いことを教えてあげよう……」

ボクの疑問を放置してホムレスさんは一方的に告げる。

「ワタシ達召喚士には文字通りの最後の切り札があるのさ」

……悪いけどホムレスさんがどんな切り札を切ろうともこの状況がひっくり返るとは思えない。

「召喚士としての力の根源と引き換えに、怪物を呼び出すことができるのさ……こんな風に!」

「「「!?」」」

上空の魔法陣が一際赤く輝く。

「ちょっと!往生際が悪いですよ!?よく分かりませんけどあれ止めてくれませんか!?」

「残念……もう無理」

というかすでに手遅れだった。

魔法陣からは異形の怪物が産み落とされていた。

人型でありながらコウモリのような二対の翼に4本の腕。サメのように大きな口には鋭い牙。手にはそれぞれ刃物のように鋭い爪が伸びている。 そして何よりも特筆すべきはそのサイズ。高さにして校舎の3階部分くらい。

「どうしようどうしようどうしようどうしよう」

「あばばばばば!な、なんとかしなさいカオリ!」

月乃さんと枢木さんはその異形のビーストを一目見て腰を抜かした。

「言ってたよね……ビーストなら無理って……」

「……むぅ……」

分かりきっている事だけど、ボクにあれを倒す術は無い。

それに、あれだけの図体だと月乃さんと枢木さんの魔法だけでは倒し切ることは難しいのではなかろうか。 ロクな対処が考え付かないままに、状況はボクらを置いて動いていく。

次からがバトルの展開です。

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