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【完結】悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
第9章

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これで終って元通り?


「なんとか間に合ったなぁ」


 ベルトランのレストランと孤児院の庭に跨って、用意されたパーティ会場の真ん中で、オレは安堵の声をもらした。


 孤児たちも交じって、オレの友人たちが思い思いにパーティを楽しんでいる。


「ザルガラさん、いそがしかったんですね」

「準備はぼくらがほとんど終わらせておきました」


 孤児の数人が、気を使いながら料理を持ってきくれた。

 結局、準備の手伝いはあんまりできなかった。

 最後にちょっと料理を運んだだけである。


「おう、ありがとよ」


 気を使ってくれたので、少し会話でも……と思ったら、二人の孤児は照れるように去っていった。


「最近、オレも慣れてもらえたが、まだ距離感があるな。もっと近づかないと。……だがヨーヨー。オマエは近づかないでいいぞ」


「ひっ……す、すみません」


 オレの腕にぶら下がるように抱き着いていたヨーヨーが、怯えながら飛び跳ねて後ずさる。

 だが、すぐにおろおろと周囲を見回し、おどおどと徐々に近づいてきて、オレのマントをおずおずと掴む。


「なんなんだよ、オマエぇ」

「ご、ごめんなさい」


 変態行動や発言はなくなったが、どういうわけか違う意味で距離感が近くなった。

 もしかして、周囲がオレと距離感を取ってるのは、ヨーヨーのせいではないだろうか?


 どういう風に見られているのだろう、と周囲を見たら全裸が目に入った。

 全裸が目に入ったって表現って嫌だなぁ~。


「ほーら、見てごらん。これがトロフィーだよ」


「すげーっ!」

「裸で女装とかイシャンさん、パネェっす!」


 イシャンはイシャンで人気モノだ。

 安易な全裸が人気になるとは、やはり古来種の支配の影響は強い。


「おーい、そこ。全裸で参加している貴族と、貴族を貴族と思わないような態度のガ―キーどーもー」


 会場の風紀が乱れるので、いつものように【極彩色の織姫】でイシャンに服を着させる。

 イシャンが急に野暮ったい服になると、周囲の子供たちが笑いだす。

 なんかいつもの光景を見て、孤児の男の子たちが悪影響受けないか心配だ。

 

「お手間をおかけしますね、ザルガラ様」


 申し訳ないと、孤児院の会計などを任せているグッドスタインが頭を下げてきた。

 いつも真面目でシャキっとしているヤツだが、今日ばかりは酒が入って陽気になっている。

 隣には鉄音孤児院を任せているエルフのアマセイもいた。

 こっちはいつものように、女のとしての魅力を失わないよう酒を飲んで飲まれていない。


「これからお忙しいと思いますが、わたくしたちがしっかりここを……子供たちとここを守っていきますので、ご安心ください」

「ああ、信頼(・・)してるよ」


 アマセイの魅力のせいで、この会場の準備を手伝う男衆も多かったと聞く。

 安心するというより、そういった手腕が信頼できる。


「ところでアマセイ。お忙しい。という表現のとき、ヨーヨーを見たろ」

「え、ええ」

 さすがのアマセイも言い淀んだ。


「ヨーヨーのヤツがこんなになっちまって、オレもどうしようか悩んでいるんだ……」


「子供たちを怪しい目で見ることがなくなったので、安心できるといえばできるのですが」


 オレに縋る今のヨーヨーは、かわいい子供たちに興味をもっている様子がない。


「これはこれで、アマセイのいう通り安心なのだが、どうも落ち着かないというか不安というか、言葉にできないモヤモヤがあるな」


「ザルガラせんぱーい!」


 不安を口にしたとき、アザナのヤツが取り巻き連中を引き連れて、駆け寄ってきた。

 会場に人が多いので、すぐにこちらへ来れない。

 なかなかたどり着けないので、アザナはぴょんぴょんと跳ねて、重要な情報を叫んだ。


「先輩! ヨーファイネさんを元に戻す方法を見つけました!」


「何!? でかした……のかなぁ」


 元に戻していいのだろうか、ヨーヨー? 

 おとなしくなったヨーヨーを、カタラン伯爵に見せたら喜ぶだろうか? 責任とって結婚しろというだろうか?


 あとオレ個人が、戻ってほしいような、ないような……。


 などと考えながら見ていたら、顔を赤らめてふいっと目をそらすヨーヨー。誰だ、コイツ。


「先輩……お似合いですね」

 半眼で口を尖らせるアザナ。


「よし、もとに戻そう」

 

 一刻も早く戻そう。


   *   *   *


「すごいよな、ザルガラさん。歳なんて変わらないのに、どんどんすごくなって。そりゃもともと伯爵様の子だけどさぁ。なんかやっぱり違うよな!」


 孤児の中に、純粋な憧れを口にする男の子がいた。

 同調する子供たちも多い。

 

 兄のように思い、誇らしいと感じている者もいる。

 男の子たちの出世頭であるローイもその一人だ。


「イシャン様から聞いたけど、古来種様とイベントを行ったらしいよ」

「え? そうだったの?」

「へえ、すごいなぁ」


「うん。なんでもその……ミスコンテストを開催したらしい」


「マジで! ザルガラさんも女性に興味が!」

「うちでも開催してくれないかな!」


 女の子に興味が出るお年頃の男の子たちが、ミスコンテストという言葉に一瞬盛り上がった。

 しかし直後に、ローイの発言で困惑することになる。


「だけど参加者は男性限定らしい……」

「え? ええ……」

「なにそれ」


 ローイからもらった情報の意味がわからない、と子供たちが肩を落として互いを見合う。

 そのローイでも、ザルガラが詳しく説明しないため、イシャンから伝え聞く内容から、勝手な解釈をしてしまう。


 イアソンコピーは、時間を一度巻き戻したとはいえ、ザルガラはコピーであると正直に説明した。

 古来種がこの次元に降りてくることは、古来種の世界では犯罪であると今では周知されている。

 そのため、イアソンが直接降りてきたのではなく、コピー体という代理が来たと思われたのだ。


 しかも別次元で争った事実を、ザルガラは伏せた。これはまずルジャンドルには報告して、判断してもらうためだ。

 結果、古来種のコピー体がザルガラのイベントに参加した、もしくは協力した。果ては一緒に開催したという話が広がってしまった。


 もちろん第三回のコンテストということも伝わっておらず、ザルガラが新領地でなにか勝手なことをしたようにしか思えない。


「でもなんでミスコンテスト(ただし男に限り)なんて開催したんだろ?」


「そりゃぁ……」


 誰が疑問の声を上げると、孤児の一人がアザナを見る。

 つられてみんながアザナを見た。

 ザルガラを見上げるアザナの横顔は、孤児の男の子たちを惑わせるほどだ。

 時折、横切るベルトランの一人娘マルチと、入れ替わってもわからない。


「ああ、そっか」


 納得する子供たち。


「わからなくもない……」

 一言つぶやいた少年に、子供たちの視線が集まる。


「そ、それはともかく、ここで同じこと開催されちゃたまらないな」


 なかったことにするため、最近孤児たちのリーダー格であるローイが話題を逸らした。


「あ、ああ、そうだな」


 何人かが、ローイも似合いそう、という目をしていた。

 悪くないかな、と思う女子もいたがごく少数であることを明記しておこう。

今回にてこの章は終わりです。

引っ越しにともない生活環境が激変し、この章はとても苦労しました。


どうも悪い癖である、いくつもの話を混ぜるやり方をしてしまいました。

反省して前後編くらいの短編で、軽快に話を進めていきたいと思います。


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― 新着の感想 ―
[一言] ヨーヨー、本当に元に戻すか悩みますね。 まあ「戻さない」って選択すると、翌朝には元に戻ってそうな気がしますw
[気になる点] ヨーファイネが正気になっている今 今までのことが黒歴史となってメッサ潰れそうな状況だけどザルガラが心の支えになっている。に違いない [一言] ヨーファイネはー母親と会ったらすぐに戻りそ…
[一言] 話も大分落ち着いてきましたね 最近ディータ姫やタルピー出てこないな……
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