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【完結】悪役は二度目も悪名を轟かせろ!  作者: 大恵
第9章

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饗宴、狂乱、また饗宴 ☆(あとがきに4コマあり)

「お祭り? この状況でか?」


 暴走ゴーレムの調査を一休みし、マナーハウスへ戻ると代官が街の名士を連れて挨拶にきた。

 この名士の執り仕切るお祭りが、明日に控えているそうだ。

 暴走ゴーレムの問題があるので、オレに確認にきたわけである。


「まあいいんじゃねぇの。準備は終わってるんだろ?」

「はい、みな、楽しみにしております」

 名士は相当な歳で、目元が伸びた眉毛で隠れている。口元もヒゲがふさふさで口を開かないと見えない。

 好々爺……という見た目に対し、どこか鋭さのある老人だ。


 魔法と貴族というアドバンテージがなければ、この爺さんに圧倒されそうだ。


「そもそもオレには禁止も中止もする権限ないし、暴走ゴーレムは一か所に集めてるから危険でもない。元から危険なわけでもなかったし……。ゴーレムを使うお祭りじゃないんだろ?」


「ええ、準備では使うこともありますが、もう終わっておりますので。祭りの最中に使うような大掛かりなイベントではありません」

「そういうことなのよ。警備とかは今まで以上に手をかけるからぁ、いいでしょ?」

 

 名士の説明に対し、ドーケイがフォローを入れる。

 オレも思うところがあり、話を聞いて一考してから答える。


「そういうことなら、いいんじゃない? オレも一度帰らないといけないし」


 理由を見つけて、無条件に寛容であることを隠す。

 ペランドーたちを呼んだ孤児院でのパーティがある。もうこれ以上、領地でまごまごしていられない。飛行許可貰って、急いで帰るとしても時間がない。

 こっちはパーティやるけど、そっちはお祭りやめたほうがいいんじゃね、とも言いにくいし、そういう理由もない。

 だが、寛容さを安易に出す必要もない。


「まあ、よかったわぁ。じゃあ、ご領主さまもぉ、良かったら参加してくださいね」

「気が向いたらなぁ」

 名士ではなく代官の方が喜んでいるようだが、コイツ、そんなに楽しみだったのか。


 なんて軽い気持ちで開催同意して、お祭りに参加することになったら――。


 大参事が起きるなんて――。


   *   *   *


「さあ、お集まりのみなさんお待ちかね! これより、第3回サード領ミスコンテスト(男性に限る)を行います!!」


 街の広場に建てられたステージで司会者が、居並ぶ女装男性たちを並べて高らかに宣言した。


「大参事だよ!!」


 オレは会場の有様を見て叫んだ。


「おい、なんだよ、これ!」

 続けて隣りに立つドーケイを問い詰める。


「だから、第3かい……」

「大惨事だよ! こんなの!」


 褐炭鉱で働く男たちのミスコンテストだぞ!

 大参事しかありえない!


 おっさんの女装、どうみてもおっさん、惜しい感じの女装、ネタ女装、美女、どうみてもおっさん、ネタ女装、美女、美少女、おっさんの女装、美女……あれ?


 ……え?

 わりとレベルたけぇのがいるな。


 ステージで紹介される参加者に、少し圧倒されてしまった。


「毎年恒例の大切な伝統なの。大目に見て楽しんでいって」

 言葉を失っていたら、ドーケイ代官が屈託ないことを言いだした。


「第3回って伝統もなにもねぇよ! あと思いっきりオマエの任期と被ってんぞ! オイコラ、視線を逸らすなッ! ……ガン見してくるなッ!」


 怒鳴りつけたらそっぽを向いたくせに、熱い視線を向けてくんな!

 などとドーケイとやりあっていたら、アザナとフモセがやってきた……。


「あれ? アザナ。オマエは参加しねぇの? ていうか普通の格好だな」

「フモセが私服を持ってきてくれたので……あ、参加して欲しかったですか?」

 アザナは意図を掴んだ! そんな表情を見せたあと、明るい表情でオレに尋ねてくる。

 いや、それは――。


「参加資格はこの領地の人だけなんですよ。というわけで、ザルガラ先輩には参加資格があります」

「出ねぇよ」

 もやっとしてたら、アザナがいたずら心満載な笑顔で、こっちに参加を促してきたのでイラっとした。


「ではサード卿。お着換えはこちらに」

 出ないって言ったのに、フモセが着替えを手に迫って来た。

 いつもはない圧がある。


「なんでオマエが持ってきてるの?」

「お手伝いしましょうか?」

「なんでオマエが手伝うの?」

 フモセがなんか強い。ひ、退かない、媚びない、強い。

 女の物の服を持って迫ってくる。


「お、おい、待てよ! 100歩譲って着替えるの手伝うって、オマエはアザナのお付きだろ? ティエがやるならわかるが……」


「え? わたくしがするのですか? というか着られるのですか?」

「いや、違うけどさ」

 黙って控えていたティエも、まさかの展開に驚いている。


「賞品とか副賞が凄いんです。でましょうよ、ザルガラ先輩」


 フモセを押しのけると、アザナが代わりに迫って来た。


「出ないよ。出ないから賞品も聞かない」

「副賞は女装一年分ですよ」


 聞かないっていったのに言ってくるアザナ。


「それどういう一年分って基準だよ!」


 あまりにあんまりな副賞に思わず突っこむオレ。


「1年間、ずっと女装しててもいい権利です」


「罰ゲームじゃねぇか。ますます出たくなくなったぞ」


「ザルガラ先輩が優勝できるわけないじゃないですか」


「よーし、そこまでいうなら……って出ると思ったのか? 出ねぇし、そういう負けず嫌いじゃねぇよオレは」

 ノせようとしてきたのだろうが、そうはいかないぞ、アザナ。


「ちなみに優勝したから、アタシ、ずっと女装してるのよ」

 

 なんかドーケイ代官が暴露してきた。


「優勝したのかよ! ていうか前からじゃねぇのかよ!」


「じつは着任直後、女装をやめろといわれたから、これを開催してこの副賞にしたの」


「中央官に報告するわ」

 もう丸投げするわ。


「優勝した権利だから文句は言わせないわ。中央の許可も得ているの。わりと興行成績いいのよ、このミスコンテスト(男に限る)は」


 代官が無い胸……いや、筋肉だけはある胸を張っていう。

 それと同時に、ミスコンテスト(男に限る)の舞台上で、自己アピールする参加者がいた。


『代官の女装をやめさせるためには、我々が女装して優勝しないといけないので、レベルがあがりました』

 興奮で顔が紅潮しているレベル高い女装参加者がそういうが、もう望んでやってるという気がする。

 だって、最初の1回目だけだろ、代官が優勝したのは?

 もう権利とか関係なく、女装してるじゃん。


 自己アピールで沸き上がる観客見ても、悪ノリで楽しんでいるが、もう受け入れているようだ。


 そら、美女ゴーレムも作ろうとするわ。あれ、切実に欲しかったんじゃなくて、半分は冗談だったのかもしれない。

 

「目的と手段が入れ替わって……ないな。なんだ、えっと目的は女装させないために、自分が女装してるから……あってんのか」


「いけません! 先輩!」

「え? なんだ?」

 何かに気が付いたアザナが、フモセから着替えを奪って叫ぶ。


「悪代官の陰謀を阻むため、ザルガラ先輩が優勝しなくちゃっ! さあ、早く着替えるんです!」

「やめろっ! その理屈はおかしいだろ!」

「アタシ、今回は参加してないわよ」

「ほら、理由ねぇだろ! って、悪代官は否定しねぇのかよ!」


 アザナが飛びついてきたので、弾き飛ばすがすぐに戻ってくる。手ごわい、うざい!

 このまま勝負がつかないと思われたとき、オレに助けが現れた。


「待つんだ! アザナくん!」


 全裸だ。

 イシャンだ。

 たぶん味方じゃないヤツだ。

 全裸がオレを助けにきてくれたのか?


「ザルガラくんは、全裸になるから女装などしない!」


 頭の中全裸か、コイツ!

 やっぱり味方じゃなかった。

 オレを引きずりこみに来たのか!?


「うっせ、オマエは服着ろ! 【極彩色の織姫】!」

 罰だ、女の物を着せてやる!

 この魔法の使用頻度高すぎて、効率化甚だしい。


「なんだ、先輩も興味あるんじゃないですか」

 女物を着せられ悶えるイシャンを見て、アザナがそういう解釈をした。

 本気を出して、女装させてやる。そんな目が浮かんだとき、新たな助けが現れた。

 イマリーだ。

 観客たちを押しのけて、貴賓席に駆け上ってくる。


「ザルガラ様! 大変なこと。が起きました。ので報告にきました!」

「よくやった、イマリひょん! で、なにがあった?」


 大変なことが起きたのに、よくやったもないもないが、アザナが空気を読んで引き下がった。よくやった。


「リマクーインが暴走ゴーレムを合体させて、もっとすごい暴走がおきました!」


「なんでだよ! そういうことが起きないように、監視させてたはずだぞ!」

「しっかりしてました!」


 イマリーは必死に反論する。


「考えてみて。リマクーインっていう。ドワーフがナニやってるかなんて。傍から見ててもわからない!」

「言われてみればそうである」


 たしかにイマリーは監視に長けている。だが、錬金術やゴーレム制作に詳しいわけではない。

 傍から見ていても、理解すらできなかっただろう。

 リマクーインの監視はオレかアザナがやるべきだった。


「で、その暴走したゴーレムはどうした!」

「こっちに迫ってきています!」

 ピリリッ、とオレとアザナに緊張が走る。

 ドーケイ代官もふざけた態度を改めて、警備に事態を伝える。


 直後、裸体の美女ゴーレムたちが、絡み合って人の形を無し、巨大化したゴーレムが広場に続く道の先に現れた。

 弱った石畳を踏み抜いた音が響き、会場の観客たちも事態に気が付いた。


 美女合体巨大ゴーレムの姿は不気味だが、目を凝らすと官能的でもある。

 合わさって一種の怖さがあった。


 ミスコンテスト(男に限る)会場が騒然とする。

 無理もない。

 あんな不気味なゴーレムが現れたら――


「すごい女装がきたな」

「まさか美女ゴーレムを纏って女装と言い張るとは」

「これがホントの女性を装備。女装ですな!」

「がはははっ」


 あんまり騒ぎになってなかった。

 強いなコイツら。


 だが、あの合体ゴーレムの目的が分からない以上、なんとかしないと……。


 アザナと相談しようとしたとき、美女合体ゴーレムが声を上げた。


『ふはははっ! なにか。楽しいことをしているな! ん? 楽しい……?』

 しゃべるのか!

 意志のありそうな声色にもびっくりだ。


 優位性を確信したような声だったが、会場の様子を見降ろして声色が変わる。


『なにをやっているんだ? 我が眷属ども?』

 美女ゴーレムの腕を指としている巨大ゴーレムが、会場で女装している人々を指差して、心底不思議そうに尋ねてきた。

 緊張感もなにもない声色だ。


 『我が眷属ども』とか言っているから、中身は古来種か?


「ミスコンテスト(男に限る)をやってる」

 それはともかく、正直に答える以外の手は何ももなかった。



タルピーは会場の「ミスコンテスト(男に限る)」の看板の上で踊ってます。


四コマは縮小されているので、クリックして飛んでみてください。もしくはTwitterで。

タイトルは「そこから」

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 大惨事、ですか。 3だけに、ミスコン(男のみ)と合体ゴーレム、のほかにもう1個事件が起きそうですねw
[一言] 降ろせたのか…… なんで放逐されたの?
[一言] ザルガラは街の領主として、そしてイシャンの親友として、女装と全裸を同時にこなすべきだと思います。 右半身女装、左半身全裸ってのはどうでしょうか?
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