イベントの当日、胸のざわつき
待ちに待ったイベント当日。
朝から心臓がばくばくして、落ち着かない。
楽しみにしていたはずなのに、胸の中はドキドキとざわつきでいっぱいだ。
「みおちゃん、今日一緒に来られて嬉しいな!」
夏海はいつも通りの笑顔で話すけれど、その笑顔を見て、ボクの胸はさらにぎゅっと締め付けられる。
──昨日の夜、伝えたあの気持ち……夏海の答えはまだ知らない。
思い出すたびに、心臓が早く打つ。
こんなにドキドキしていて、イベントを楽しめる余裕があるのだろうか。
会場に到着すると、人の熱気と歓声で空気がざわついている。
周りは笑顔で溢れ、みんな推しへの想いを全力で楽しんでいるのに、ボクの心はまだざわざわ。
夏海は楽しそうにグッズを手に取り、推しの話をしてくれる。
その隣でボクは何度も深呼吸を繰り返す。
「みおちゃん、大丈夫?」
夏海が優しく肩を叩いてくれる。
「う、うん……ちょっと緊張してるだけ」
そう答えるけれど、胸のざわつきは収まらない。
ステージが始まると、光と音楽で会場は一層熱気に包まれる。
歓声や拍手が響く中で、ボクの頭の中は昨日の告白のことと、夏海の反応でいっぱいだ。
推しのパフォーマンスを楽しみたいのに、心は落ち着かない。
「みおちゃん……楽しもうね」
夏海がそっと手を握る。
その瞬間、胸のざわつきがさらに強くなる。
友情の安心感と、告白した胸の甘い緊張感が入り混じり、心は翻弄される。
ボクは深呼吸して、自分に言い聞かせる。
──大丈夫、夏海と一緒にいるだけで、楽しいんだから。
心の中のもやもややドキドキを抑えつつ、少しずつステージに目を向ける。
「うん……楽しもう!」
ボクは小さな声でつぶやき、夏海と肩を並べる。
ステージの光が二人を照らし、歓声が耳に響く。
胸のざわつきは消えないけれど、夏海の存在が心を支えてくれる。
この複雑な気持ちも、きっとこの特別な一日の一部なんだ、とボクは思った。
休憩中、グッズショップを覗いたり、写真を撮ったりしても、心はまだ少し落ち着かない。
でも、夏海と笑い合う瞬間ごとに、安心感と温かさが胸に広がる。
友情でも、恋心でもない、この特別な時間――それだけで十分幸せだった。
イベントが終わる頃、夕暮れが会場を柔らかく染める。
ドキドキはまだ消えないけれど、ボクは夏海と過ごす時間の尊さを胸に刻む。
──今日、答えはまだ分からない。
でも、夏海と一緒に過ごせたこと、この胸のざわつきも全部、特別な思い出になる。
ボクは静かに笑い、心の奥で明日のことをそっと楽しみにする。
夏海との時間は、友情でも恋でも、間違いなく特別だ。
この一日の甘さとドキドキを胸に、ボクは家路についた。




