ふたりへの思い、胸の迷い
推しのイベントからの帰り道、ボクの胸はまだ熱くて、心臓が早鐘のように打っていた。
楽しかった時間の余韻と、夏海の隣にいる安らぎが、甘く混ざり合う。
「みおちゃん、今日は本当に楽しかったね」
夏海が微笑む。
その笑顔を見て、ボクはふと、自分の胸の奥にある感情に気づいてしまう。
──ボク……夏海のことも……推しと同じくらい好きなんだ。
言葉にできない衝撃が、胸を締め付ける。
これまでずっと、ボクの“好き”は夏海だけに向かっていると思っていた。
でも今、推しへのLoveと夏海へのLoveが、同じくらい熱く、心にあることを認めざるを得ない。
「みおちゃん?」
夏海の声に我に返る。
小さく笑いながら、ボクは頷く。
「うん……楽しかったよ、夏海と一緒で」
本当は、もっと強く“好き”を伝えたいけど、今はまだ言えない。
夏海の“好き”は友情で、恋愛のLoveじゃないから――届かないことは分かっている。
夜風に吹かれながら、ボクは胸の中でそっと呟く。
──ボクの気持ちは、誰にどう伝えたらいいんだろう。
推しへの気持ちも、夏海への気持ちも、どちらも本物で、どちらも特別で……。
夏海は無邪気に笑いながら、ボクの肩に寄り添う。
その距離感は甘く、切なく、そしてボクの胸をぎゅっと締め付ける。
「ねぇ、みおちゃん。明日も一緒に遊ぼう?」
「うん……絶対だよ」
返事をする自分の声が、少し震えていることに気づく。
胸の中の混乱と、甘い想いが交差して、ボクの心はひたすら揺れる。
秘密の時間、ふたりだけの距離。
推しへのLoveも、夏海へのLoveも、どちらも本物だと気づいた今、胸の痛みと幸福感は同時に押し寄せる。
──でも、今はただ、夏海と一緒にいる幸せを抱きしめよう。
まだ言えない想いも、胸の奥でそっと温めて。
夕暮れの光の中、ボクの胸は甘くて切ない想いでいっぱいだった。




