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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十五章 人一人分の確定した未来
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広げなくて良い話ってない?

 翌日。朝。

 何も起こらなかった。

 気持ちの良い目覚めである。


 エイトたちによるちょっかいはなかった。

 見れば、全員眠っている。

 多分、限界ギリギリまで魔力を消費したので、その影響だろう。


 詩夕たちも同様だ。

 まだまだ全快にはほど遠いので、ぐっすりと眠っている。


⦅おはようございます。汎用型、特化型は魔力回復のために眠っています⦆


 おはよう。セミナスさん。

 やっぱりそうだった。

 ……あれ? 大魔王ララは?


⦅永眠しています⦆


 そっか。まだ寝て……え? 永眠?

 眠っているんじゃなくて、永眠?


⦅はい⦆

(サラッと亡き者にしないでいただけますか? 先輩。おはようございます)


 あっ、ちゃんと生きていたんだね。おはようございます。

 朝からビックリさせられてしまった。


⦅何もないのもアレなので、お茶目なジョークを言ってみました⦆

(……お茶目?)


 ……お茶目?

 いや、セミナスさんの言葉からは本気を感じたんだけど。

 隙があれば本当にやりかねないので注意しておかないといけない。


 でも、他にも今はやるべき事が山積み。

 一つ一つ片付けていこう。

 まずはこの場に居る主要人物たちを集めて、昨日神様たちと纏めた話を伝えるところからかな。


     ―――


 話があるという事で直ぐ集まってくれたし、話は淀みなく伝える事が出来たし、実際に脅威は去ったという事で納得はしてくれた。

 ……まぁ、本当に去ったのかとかなり念押しされたし、なんとなく怪しんでいるようだったから、実際はこの話に乗ってくれるという感じだろうけど。


 今更邪神討伐とか、やったのが未来の俺たちとか言われても、ね。

 話を広めるにしても、大魔王討伐と伝えた方がわかりやすいのだ。

 なので、話し合い自体は直ぐ終わったのだが、俺はふと気付いた。


 ………………あれ? なんで俺が話をする事になってんの?


 いや、なんか流れ的に俺がしたけど、別に俺じゃなくてもよくない?

 別に詩夕たちやエイトたちにお願いしたい訳ではない。

 シャインさんも同様だし、竜たちの姿を表に出す訳にもいかない。


 竜たちで思い出したけど、DDたちやミレナさん、ドラーグさんは大丈夫だろうか?

 別にやられているとかそういう心配ではなく、ちゃんと姿を隠せたか? という部分が、だ。

 まぁ、ミレナさんが上手くやっていると思う。

 多分竜の住処か世界樹のところに戻っているだろうし、あとでドラーグさんを召喚して連れて行ってもらって事情説明かな。


 でも、ドラーグさんは確実に見られたんだよな。

 でも、それに関しては俺の召喚獣って事を公表しても良い。

 何しろ、もしそれで俺に対してちょっかいが起こりそうなら――。


⦅対象を消します⦆

(火だけではなく、煙が立ち昇ろうした瞬間に消火されそうな勢いを先輩から感じます)


 どう消すのか教えてくれない辺りが怖い。


 じゃなくて。

 今はこの話し合いについて、だ。


 どうして俺一人でやらないといけないのか?

 一緒に考えてくれた神様たちが同席してもよくない?

 この場に居ない理由は……多分、面倒で丸投げされたんだろうな。

 そんな気がする。


⦅罰を与えましょう。セミナスの名の下に⦆


 ……どこぞの神ですか?


⦅神を超えた存在ですので、神の中に括られても困ります⦆


 シャレにならない罰になりそうなのでやめておこう。

 というか、神様たちはどうしているの?


⦅邪神は討伐しましたが、まだ何かしらの仕掛けが残されていないか確認しに行っています。まぁ、私の『未来予測』では何も見つかっていませんが、対抗されてもいましたから、直接確認する必要があるのです⦆


 そういう事なら、仕方ないか。


⦅マスターが神共を顎で使っている、という認識で構いません⦆


 いえ、構います。

 それは語弊があるんじゃないかな。

 というか、神様たちが自主的に動いているんじゃないの?


⦅そうですが、要は起こった出来事に対して、どのような認識を持つかが大事なのです⦆


 うん。確かにそうかもしれないけど、顎で使うという認識は持てないかな。


(つまり、神のしもべではなく、神がしもべなのですね)

⦅そういう事です⦆


 話を広げないで、大魔王ララ。


 とりあえず、主要人物たちに話は通したという事で終わっておこう。

 そのあと、EB同盟として、今後の各国について聞く。


 まずは下大陸にEB同盟全軍が戻るそうだ。

 戻って、この戦いによる戦死者たちを国葬で弔い、そのあとに各国協力して復興を始めるらしい。


 まぁ、大魔王軍を相手にし続けていた影響で国力は下がっていただろうし、まずは復興優先だろう。

 なので、上大陸は一旦保留というか、当面の間は放置となった。

 各国が国力を上げてから、EB同盟として開拓していくそうだ。


「なんでしたら、アキミチがこのまま上大陸を自国として治めても構いませんよ」


 ビットル王国の王・ベオルアさんがそんな事を冗談交じりで言う。


⦅………………道筋を立てました。まず魔物をある程度間引き⦆


 いや、治める気は一切ないから。

 そもそも冗談だからね。冗談。

 セミナスさんだと本気で実行可能だからきちんと否定しておかないといけない。


 とりあえず、上大陸に関しては後々の話。

 EB同盟は順次帰途につくが、俺はそれに同行しない。

 というのも、俺には他に行く場所がある。


 EB同盟が去ったあと、ドラーグさんを召喚して、DDたちやドラロスさんたちに終わった事を報告しないといけないのだ。

 竜たちには……全部言っても良いかもしれない。

 というのも、俺が未来の俺レベルまで強くなるためには、竜たちの協力も必要になってくると思うからだ。


 EB同盟主要人物たちは竜の協力を知っているので、俺がそちらの報告に向かう事は了承してくれた。

 まぁ、少し落ち着けば各国の様子を見に行く予定なので、またその時にでも挨拶出来ればなと思う。


 そうして話終わってテントに戻ると詩夕たちは起きていて、今後の事を尋ねる。

 詩夕たちは一旦ビットル王国に戻るそうだ。

 落ち着ける場所で、まずは一人でしっかりと考えたいらしい。

 シャインさんも、一度エルフの里に戻るとの事。


「それじゃあ、俺も竜たちへの報告を終えたら、一旦ビットル王国に向かうから」

「ああ。といっても、明道が来るまでに答えが出ているかわからないけど」

「わかっているって。それに、直ぐ答えを出せって訳じゃないんだからさ」


 EB同盟と共に戻る詩夕たちとシャインさんを見送ったあと、ドラーグさんを召喚して、俺とエイトたちも移動する。

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