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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十四章 大魔王
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外見が変わっても、中身まで変わるとは限らない

 大人の姿になったエイトが現れた。

 大人エイトという事か……いやいや、待って待って。

 ……なんで? どういう事? 聞いていないんだけど。


⦅おそらくですが、現状の統合された魔力を十全に扱えるための姿として、成長した姿になったのでしょう⦆


 いや、言いたい事はわかるけど、ちょっと意味がわからない。

 そもそも、どうやって大人の姿に?


(私の体とマリエムの体が統合された事で、大人になる事が可能になったと推測出来ます。何しろ、私とマリエムの体の構成ベースは大人ですから、そちらに引っ張られた、もしくは合わせた形でしょうか)


 なるほど……なるほど?

 とりあえず、つまり大人エイトは統合された魔力をすべて許容出来るようになったって事で良いの?


⦅はい⦆

(はい)


 まぁ、そういう認識で……あれ? ちょっと待って。

 魔王マリエムはどうなったの?


⦅どこかの誰かさんのように、スキルとして汎用型に寄生している事でしょう⦆

(まぁ、そんなスキルが存在しているのですか。怖いですね。先輩も気を付けた方が良いですよ)

⦅どういう意味でしょうか?⦆

(どういう意味でしょうね)


 ここはもう、こうなったら好きに言い合った方が良いような気がする。

 とりあえず、邪神はまだ来ていないし、今の内に大人エイトに確認しよう。


「エイト……で良いんだよね?」

「もちろんです。ご主人様。しかし、このような姿になって残念でもあります」

「残念? 何が?」

「大人の姿になってしまった事で、ご主人様が愛してやまない魅惑のロリボディを失ってしまいました。これはこれでありだとエイトは思いますが、ご主人様の寵愛が薄れるかもしれないと心配でもあります」

「いや、変な嫌疑をかけないように」


 というか、大人の姿になっても、間違いなくエイトだな、これ。


「それで、魔王マリエムは?」

「エイトの中にスキルとして存在しています。今は戦闘中という事で魔力管理を行っていますが……いずれはそちらに行きたいと言っています」

「そちら?」


 俺を指差す。

 大人エイトが頷く。


(歓迎します)


 勝手に決めないでください。


⦅そうです。そもそも、あなたがここに居る事自体がおかしいのですから。どうぞ、出て行ってくださって構いません。汎用型の中に居るのと一緒に、どこへでも行ってください。あなたたちは……自由だ。まぁ、悪さを働けば即刻滅ぼしますが。それとも、今滅ぼしましょうか? ……その方が後々の影響も少ないですね。そうしましょう⦆

(良いですか? 先輩。もしそうなれば、私は全力で抵抗しますよ。それこそ、大魔王としての持てる力のすべてを使わせてでも)

⦅やれるモノならやってみなさい。あなたこそ思い知る事になるでしょう。私という偉大な存在を⦆


 またここは……。

 とりあえず、処遇とか、そういうのはあとだ。

 邪神を倒すために、今戦力になるのなら気にしない。


「こっちも暴れているから、その話はあとで。いけるか? エイト」

「問題ありません。寧ろ絶好調です」


 ピッ、とピースサインをする大人エイト。

 わぁ、頼もしい……いや、本当に大丈夫だろうか?

 ちょっと調子に乗って、失敗するんじゃないかと不安に思ってしまう。


 そこで邪神が迫ってくる。


「変化した……いや、様子から察するに進化の方か? 勇者たちが終わったら、次がこれとは……随分と飽きさせないでくれるな!」


 進化? と疑問に思いつつ、行動に移ろうとしたが、その前に大人エイトが飛び出す。


「ここはお任せください」


 えっと……。


⦅任せて問題ありません⦆

(見ていれば、どのように変わったのかがよくわかります)


 と言われたので、いつでも飛び出していける姿勢のまま、様子を窺う。


 大人エイトはそのまま駆け、邪神とぶつかる、と思った時にスライド。

 邪神を中心にしてスライドしつつ、魔法を次々と放っていく。

 注目すべきは、やはりその威力。

 邪神が防ぐようになったのも頷けるというか、一発一発の威力が非常に高い。


 実際、食らえば邪神はイラつくような表情を浮かべ、体にはしっかりとダメージ痕が残っている。

 また、その数も多く、邪神が片手で防ぐにはつらい数を撃ち出していた。


 その上で、大人エイトには無理がない。

 無理しているのではなく、それが標準だと言わんばかりに涼しい顔だ。


⦅体が魔力量の多さに適応しているのです。そもそも、神造生命体ホムンクルスが持つ魔力量はどれも桁外れ。一つに纏めるのは切り札ですが、纏めて許容出来る量ではないのです。ですが、それを解決出来る存在があります⦆


 ……神造生命体を超えた、神造超生命体ハイブリッド・ホムンクルス

 つまり、大人エイトは、神造超生命体って事?


基本ベースが神造生命体である事は変わりませんので、正確には疑似とか模造とかが付くかもしれませんが、性能的には遜色ありません。いえ、下手をすると超えています⦆


 え? 超えるの?


(私とマリエムの、神造超生命体の体を二人分、一つに纏めているようなモノですから。寧ろ、それでようやく魔力量的に落ち着いているようなのは、元からどれだけの魔力量を保持していたのか。そちらの方が脅威です)


 大魔王ララが驚くほどの変化って事ね。

 だから、邪神は今の状態を進化と言ったのか。


「……なるほど。これはさすがに分が悪いな」


 大人エイトの魔法に合わせて、邪神も相殺する魔法の数と威力を上げる。


「まだまだいきますが……ついてこられますか?」

「我を前にして、生意気な事を言う。寧ろ、貴様の方がついてこられるのか?」


 エイトが更に数と威力を上げると、邪神も合わせるように数と威力を上げる。

 そのまま大人エイトと邪神による魔法合戦が始まり、その規模が段々大きくなっていく。

 壁がないのでそっちはわからないが、床が次第に大きく傷付いていき、相殺の際に起こる爆風も激しいモノになっていった。


 迂闊に近付くと巻き込まれそうだ。

 それに、大人エイトは、個人で邪神と対等にやり合っている。

 魔法だけだけど。


 だからこそ、これは絶好のチャンスと言える。

 邪神はエイトの魔法をかなり意識して防がなければいけない。

 そこを攻め立てれば、当然、邪神にも隙が生まれる……はず。


 何より、邪神を消耗させる事に繋がる。

 そして、そんな状況を当然見逃すようなシャインさんではない。


「ここにきて、漸く追い詰める事が出来そうだな」


 魔法合戦の合間を縫うようにシャインさんの攻勢が加わり、俺もその場に向けて駆け出す。

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