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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十四章 大魔王
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歩み寄ったかどうかは本人次第

 エイトに回復されながら尋ねる。

 ……とりあえず、詩夕たちが持つ「神器」は、魔王リガジーだったモノに有効って事で良いんだよね?


⦅はい。その通りです⦆

(はい。その通りです)

⦅ちなみにですが、ASも有効です。普段以上の防御力を発揮するでしょう⦆

(そのASとはなんですか?)

⦅……あとで説明してあげますので、黙っていなさい⦆


 なんだろう。

 ちょっと歩み寄ったような感じがする。

 まぁ、いつまでも口ゲンカされていると困るし、その方が良いっちゃ良いんだけど。


⦅別に歩み寄った訳ではありません。これは妥協です⦆

(そうですね。どちらがこれから主導権を握るかは、このあとに決めれば良いのです。どちらが優秀かは、その時判明します。それまでは先輩に譲りましょう)

⦅………………⦆


 なんだろう。

 今セミナスさんに表情があれば、頬がひくついているような気がする。


⦅そこで大人しく見ていなさい! 私の華麗なる指示出しを!⦆

(勉強させていただきます)


 やっぱり歩み寄ってはいないようだ。

 でも、セミナスさんの指示は正直助かる。

 魔王リガジーだったモノが相手だと、俺の判断だけだといつか対応出来なくなりそうだ。


⦅お任せを⦆


 セミナスさんがそう言うのと同時に、エイトによる回復が終わる。

 破けた衣服はそのままだが、傷は綺麗になくなっていた。

 もちろん、失った血や体力は戻らないが、まだ動ける。


 体の調子を確かめるように、軽く運動。

 ……よし。大丈夫。


「エイト、魔力は?」

「まだ余裕があります」


 エイトがピースサインをして答えるが、いつもより頬が少し上気しているように見える。

 いつもより魔法を連発し続けているのだから、体力とは別……やっぱり魔力の消耗が激しいのかもしれない。


 でも、なら休めとも言えないのが、今のつらい現状だ。

 エイトの魔法があるからこそ、ここまで渡り合えたのだし、寧ろこれからの方が必要である。


「無理はするなよ……でも、頼む」

「お任せを。それと、ご安心を。エイトには切り札がありますので」


 あると言うなら、あるんだろうな。

 なんとも頼もしいと思った。


 そして、大きく深呼吸をして、行われている戦いに目を向ける。


 樹さんによる乱打を魔王リガジーだったモノが片手ですべて受けとめ、そこに刀璃が死角から刀を振るうが、まるで見えていたかのように紙一重で避けられた。


 しかし、そこで終わりではない。

 魔王リガジーだったモノの姿勢が崩れたところに常水が槍を突くが、その槍をかわすだけではなく、掴んで支えにして姿勢を正してみせる。


 そこに、隙を突くように常水の後方から詩夕が姿を見せて剣を振るう。

 詩夕の剣は吸い込まれるように首筋に向かうが、魔王リガジーだったモノは体全体を回転させて剣の軌道から外れる。


 更に、咲穂の矢が飛来。

 器用に目や口などの顔面急所狙い。

 魔王リガジーだったモノは超高速で腕を振るって、飛来する矢をすべて掴む。


 そこで終わりではない。

 天乃、水連による魔法が追撃として放たれている。

 そこで魔王リガジーだったモノの体全体から発せられている黒い靄が、掴んだ矢に纏わりつく。

 まるで、自分の力を矢に込めるように。


 魔王リガジーだったモノが放り投げるように手を振るって矢を投擲。

 矢が分裂して黒い矢をいくつも出現させながら、放たれた魔法をすべて撃ち落としていく。


 そのすべての動作において、魔王リガジーだったモノは終始笑みを浮かべ、余裕を見せていた。

 相手を騙そうとかそういうのではなく、本当の余裕を。

 どれだけ強いんだよ、と言いたい。


 詩夕たちは連携の組み合わせを変えたり、行動順を変えたりと、色々と手を変え品を変えてと、魔王リガジーだったモノを翻弄させるような動きをしているが、効果は薄い。

 いや、まったく通じていない。

 まともな攻撃が、一度も当たっていなかった。


 シャインさんは、まだ休憩も兼ねてか抑えた攻撃を繰り出している。

 チラチラとこちらを見ているので、さっさと戻って来いと言われているような気がした。


⦅気ではなく、そういう強烈な視線です⦆

(少々野蛮ではないかしら?)

⦅誠に遺憾ながら、同意見です⦆


 まぁまぁ。

 それがシャインさんというか、そうじゃないと、て感じでしょ。

 それに、だからこそ、頼りに出来る。


⦅今ここに居る中でもっとも強いのは事実です⦆

(人の身で私たち神造超生命体ハイブリッド・ホムンクルスに迫るのは驚きしかありません)


 その調子で意見を合わせて欲しいと思うつつ、魔王リガジーだったモノに向けて一気に駆け出す。


「詩夕! チェンジだ!」


 俺のかけ声に合わせて、前衛を行っていた詩夕、常水、刀璃、樹さんが下がる。

 詩夕とすれ違いざまに一言。


「『神器』が有効だから準備を」


 多分、頷いているだろうけど、確認はしない。

 目線は魔王リガジーだったモノに固定している。

 俺が駆け上がるのに合わせて、シャインさんが隣に来て一言。


「……いけるな?」

「問題ないです」


 寧ろ、前よりよくなっている……はず。

 その証拠に、セミナスさんによる遠隔ASも動き出している。


 まずは挨拶代わりと、遠隔ASが単独で魔王リガジーだったモノに向けて飛んで行く。

 殺意満々だと、先端が尖った盾が三つ。

 遠隔ASは魔王リガジーだったモノの周囲を飛び交い、攻防を始める。


 元々が盾である以上、ASは遠隔だろうが殴られても蹴られても問題ない。

 衝撃で多少弾かれはするが、直ぐにまた襲いかかる。


「何やら面白い事をしているな、お前は!」


 魔王リガジーだったモノの視線が俺に向けられる。

 いや、やっているのは俺じゃない、とわざわざ言う必要はない。

 そのまま俺とシャインさんもその攻防に加わった。


 先ほどまでとは、俺の動きは明確に違う。

 セミナスさんの指示によって、すべてが最適化され、効率的で的確だ。

 遠隔ASも合わさって魔王リガジーだったモノの攻撃をすべて完璧に防いでいく。


「先ほどまでとは明らかに違うな! 何が変わったのか興味はあるが、良いぞ。それでこそ、こちらも楽しめるというモノ。漸く、体が温まってきたところだ」


 魔王リガジーだったモノの攻撃が更に鋭く、苛烈になる。

 それでも、セミナスさんの指示はすべてに対応していき、その隙を突くようにシャインさんが攻撃を行うが、魔王リガジーだったモノに攻撃はまともに入っていなかった。


 理由は単純。

 俺、遠隔AS、エイトの魔法だけでは、魔王リガジーだったモノの防御を完全に崩す事が出来なかったのだ。


 けれど、それは直ぐに解決する。

「神器」を装備した詩夕たちが加わったからだ。

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