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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十四章 大魔王
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余計に混乱するって事ない?

 たとえ人形たちが大魔王城の外に出て来ようとも、きっとアドルさんたちがどうにかしてくれるはず。

 アドルさんは全快じゃないだろうから……前に出るのはインジャオさんの方かな?

 俺がこの世界に来てインジャオさんに助けられたように、きっと誰かを助けていると思う。


 大魔王城内の人形たちも、常水たちとワンたちが押さえ込んでくれているはず。

 というより、そこは心配するだけ無駄だな。

 あそこに残ったのは誰もが一騎当千以上だ。

 人形たちの数によっては、常水たちかワンたちか、どちらかだけでも充分対応出来そうな気がする。


 という訳で、魔王リガジーと魔王マリエムがこちらを動揺させようとしても無駄という事だ。

 また、強さに関しても、大魔王ララの体を含めて、現状はどうにかこうにか戦えている。

 そこまでの差は感じていない。

 まだ、どうにかこうにか出来そうな気がする。


 でも、問題がないという訳ではない。

 もっとも、その問題は限定的……俺の中の事だけど。


⦅ですので、さっさと出て行ってください。ここは私の場所です⦆


 いや、俺の場所だと思うんですけど。セミナスさん。


(誰がいつ、そのような事を決めたのですか? 見たところ、あなたも後付けですよね? この生命体が誕生した時から居た訳ではありませんよね? おそらく、この生命体がこの世界に来てからだと推測出来ます。なら、ここを己の場所と断言するのはまだ尚早ではありませんか?)


 つまり、出て行く気はないって事ですよね。大魔王ララ。


⦅そんな事はありません。マスターと私は深く強固な絆で結ばれています。なので、ここにあなたの居場所はありません。どうせなら、そこに居る勇者の方に行った方が良いのではありませんか? もし方法がわからないというのであれば、特別に教えてあげますが?⦆


 そこの勇者って、詩夕に押し付けるつもりなの? セミナスさん。


(いえ、結構です。居場所は自ら作り出すモノだと……誰かが言っていました)


 誰だよ! 大魔王ララ!


 こんな感じで、セミナスさんと大魔王ララの口論がとまらない。

 戦っている最中もこのままなため、上手く集中出来ないのだ。


 すみません! そろそろ大魔王ララの体の方を破壊したいんですけど!


⦅かしこまりました。魔王リガジーには暴走エルフを、魔王マリエムには汎用型を対処に当てらせ、勇者と共に突っ込んでください⦆

(異議を申します。言葉の内容から察して、別の提案をします。マリエムの方は魔法が得意なメイドで大丈夫ですが、リガジーを押さえ込むのは勇者でも可能ですのでそちらを推薦します。見たところ、もっとも高い攻撃力を有しているのはエルフですので、そちらを私の体破壊に向かわせる事を提案します)


 確かに、シャインさんの攻撃力なら確実性が……じゃなくて、混乱するので統一してください。


⦅そこの意見を聞く必要はありません⦆

(一つの意見に縛られるのはよくありません。幅広い視野を持つべきです)


 もう駄目だ、これ。

 余計に混乱するだけだ。

 とりあえず、今は自分の意思で動く。


 既に戦いは行われている。

 魔王リガジーにはシャインさんが、魔王マリエムには詩夕が、大魔王ララの体にはエイトがあたっていた。


 俺は、先ほど魔王リガジーの攻撃を満足に防ぎきれずに腕が痺れ、壁に体を打ち付けた痛みのために少しだけ休ませてもらっていたのだが、漸くそれらから解放される。

 もう動けるし、腕も触れる。


 それに、魔王リガジーと魔王マリエムの、人形たちが外にも出たという話による動揺は詩夕たちにも見られない。

 いつも通り。

 大丈夫だとわかっている。


 あとは、俺も参加して、どうにかして大魔王ララの体を破壊するだけ。

 弾けるように前に飛び出す。

 魔王リガジー、魔王マリエムには目もくれずに、大魔王ララの体に向けて一直線に進む。


 魔王マリエムとやり合っている詩夕が声をかけてくる。


「明道! もう大丈夫なのか?」

「あぁ、大丈夫! こっちは任せて!」


 ASを構えて、戦地に飛び込む。

 役割分担は決まっている。

 俺が攻撃を防ぎ、エイトは攻撃に集中する。


 セミナスさんは詩夕を、大魔王ララはシャインさんを推していたけど、俺はエイトでも充分可能だと思っている。

 何しろ、片腕を潰したのはエイトの魔法だ。

 体を壊す事だって出来るはず。


「いくぞ! エイト!」

「どこまでも!」


 応えてくれるエイトが、とても頼もしい。

 大魔王ララの体とやり合いながら、エイトに狙いを説明していく。

 確実に邪魔されるので、魔王リガジーと魔王マリエムには聞こえないように。

 大魔王ララの体には聞こえているだろうけど、反応がないので気にしなくても良いだろう。


「……という訳で、エイトには確実に破壊出来るだけの威力の魔法をお願いしたいんだけど?」

「かしこまりました。ただ、そうなると魔力を集中させるのに少々お時間をいただく事になりますが?」

「その時間は、稼いでみせるさ!」


 大魔王ララの体の前に飛び出して、攻撃を防ぎ続ける。

 エイトからの攻撃頻度は目に見えて下がり、牽制や援護が少なくなると、大魔王ララの体からの攻撃は増えていった。

 そのすべてを捌いていく。


 直接攻撃に関しては、そこまで気を張る必要はない。

 大魔王ララの体に魔王リガジーほどの直接的な力はないからだ。

 見た目以上に強い事は強いが、まともに受けても腕が痺れるほどではない。


 問題なのは魔法。

 威力もそうだが、数が多い。

 でもそれは発動すれば、だ。

 発動する前に体当たりなんなりすれば、発動の邪魔が出来る。


 その分危険ではあるが、それでもやり遂げた。


「可能です」


 エイトの言葉に合わせて、大魔王ララの体に思いっきり体当たりして体勢を崩させる。

 俺はその反動を利用して、距離を取った。

 そこで、エイトの魔法が発動する。


「『魔力を糧に 我願うは 其の拳は破壊の鉄槌 天拳槌』」


 大魔王ララの体の頭上に半透明の巨大な拳が出現し、そのまま押し潰そうと勢いよく降下。

 やったか、と思ったが、大魔王ララの体は巨大な拳に反応。

 打ち返すように拳を突き出し、ぶつかり合って拮抗する。


 あれと拮抗するの? と思いつつ、その姿は隙だらけ。

 チャンスだと行動を起こそうとするが、その状態でも大魔王ララの体はこちらに魔法を放って近付けさせない。


 大魔王ララの体はそのまま巨大な拳を打ち砕き、再度こちらに向けて襲いかかってくる。


「あれでは駄目ですか。残念です」

「いや、気にしなくても良い。破壊するまでやり続けるだけだ。次を頼む、エイト」

「かしこまりました」


 エイトと共に、再度大魔王ララの体とやり合う。

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