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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十章 集合
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DDみたいな事を言わないように

 カノートさんが合流して、ラメゼリア王国の王都に向かう。

 その間に話を聞いた。


「それじゃ、詩夕たちはまだ準備をしている最中で、王都には居ないって事?」

「そうだね。ドワーフの国のあと、私とサーディカは迎え入れに準備のためにラメゼリア王国の王都に戻ったのだが、彼らは現在ビットル王国所属という事もあって、まずはそちらで準備をしてから来る事になっている」

「それじゃあ、日数的に、こちらが先に着くと?」

「ビットル王国側はエルフの里経由で来るしね」


 じゃあ、本当にこちらが先に着くのか。

 カノートさんと先に会えたのだから、ついでに聞いておく。


「詩夕たち……皆は強くなりましたか?」

「そうだね。前よりも段違いに。あぁ、だからといって、私の方がまだまだ強いよ」


 うんうんと頷くカノートさん。

 まぁ、カノートさんはそうだよね。


「でも、背中を預ける事は出来るくらいにはなっているから」


 セミナスさん曰く、世界最強クラスの槍使いであるカノートさんが、背中を預ける事が出来るとか……かなり、というか充分な強さだと思うんだけど。


 そうしてカノートさんから、詩夕たちについて聞いていく。

 早く会いたいものだ。


 ただ、カノートさん合流で、問題が二つ起こる。

 ごく個人的な。


 一つ目。


「では、本日からアキミチの鍛錬に参加します。よろしくね」

『わー!』


 俺の鍛錬にカノートさんが追加された。

 エイトたち、ガラナさん、ウルアくん、フェウルさんが拍手で迎える。


 俺は頭の上で両腕を交差させ、バツ印を作って意思表示。

 ……誰も見ていない。ので。


「異議あり! これ以上は身が持ちません!」

『大丈夫大丈夫』


 多数決という力業で押し切られた。


⦅問題ありません。マスターにとっては良い刺激となるでしょう⦆


 セミナスさんも多数側である。

 つらい……ものすごくつらい……。


 二つ目。


「よくもご主人様を何度も突きましたね。ご主人様に代わって、エイトがお仕置きしてあげます」

「いや、私以上に魔法をアキミチに当てていたと思うんだが?」

「……お仕置きします」


 俺の休憩時間。

 以前の時と同じように、エイトとカノートさんが模擬戦をするようになった。


 でも、カノートさんの言う通り、エイトの方が俺にダメージを当てていたと思う。

 まぁ、実際カノートさんの攻撃は寸止めが多かったから、それがもし当たっていた場合を想定すると……どっこいどっこいじゃない?


「死ねぇ~!」

「いやあぁ~!」


 というか、模擬戦ではなくて普通に殺し合っているように見えるのは……きっと気のせいだよね?


「次はあたいにやらせろ!」

「私も少々腕試しをお願いします」


 ワンとツゥも乗り気にならないように。


「ふむふむ」


 ガラナさん。参考にしない。

 あれらはきっと特殊な部類だと思うので。


「わあぁ」

「ほおぉ」


 ウルアくんとフェウルさん。

 目をキラキラしない。


 一つだけわかるのは、全員なんか生き生きしているように見える事だ。

 まぁ、俺は疲労しきっているので、見る事しか出来ないけど。


 俺からすれば、まだまだ別次元の戦いに見える。


⦅あっ、目と口を閉じ、呼吸をとめて下さい⦆


 疲労で反応が遅れた。

 二人の戦闘の余波でブワッと土埃が発生して、もろに受ける。


「ゲホゴホガハグフッ……もう少し離れた場所でやって欲しいんだけど」

『見ていて欲しいので』


 DDみたいな事を言わないように。


     ―――


「うん。アキミチの回避防御能力は前よりもかなり向上している。もう少し向上すれば……私も本気で当てにいく事になるかもね」


 カノートさんが、ニッコリと笑顔でそう言う。

 その笑みを怖いと感じるのは……きっと気のせい。


 カノートさんからそういう評価をもらえるようになった頃、ラメゼリア王国の王都に辿り着いた。


 魔族の国、獣人国、軍事国ネスと巡り、また戻ってきた。

 ラメゼリア王国から出発して、随分と長かったような気もするし、あっという間だったような気もする。


 少しだけ感慨に耽っている間に王城に辿り着き、あれよあれよという間に、ラメゼリア王国の王様である、ゴルドールさんに会う。

 相変わらず筋肉ムキムキの偉丈夫だ。


「どうやら無事にEB同盟再強化について話し合いが出来そうだ。感謝する」


 俺の気分的には、いえ、お気にならず、と頭を下げる。

 気が付けば俺とエイトたち、アドルさんたちしか居ない。


 他の……他国の皆さんは?

 いや、まずは俺たちから……という事かな。

 確かに、いきなり全員で、皆一緒という訳にはいかないか。

 となると、今はどこかで旅の疲れを取っているのだろう。


「特に、軍事国ネスを説得出来たのは大きい。ありがとう」


 そう感謝の言葉を投げかけられても困る。

 正直、EB同盟再強化の件に関しては、俺は無関係だ。

 これといって何かをした覚えはない。


 なので、そこら辺はアドルさんたちに任せて、俺は自由に羽を伸ばしたいところだ。

 いや、正直な気持ちを言おう。


 鍛錬でボロボロだから休みたい。


 その願いが通じたのか、アドルさんたちはEB同盟再強化について、ゴルドールさんに報告をするそうで、俺たちは自由に過ごして良い事になった。


 ただその前に、カノートさんから提案される。


「滞在中の宿泊場所はどうする?」

「というと?」

「候補は二つ。本当は三つなんだが、一つは出来なくなってね」

「というと?」

「出来なくなった一つは、この王城。さすがに集まったのが各国の重要人物たちという事もあって、王城以外はあまり得策とは言えなくてね」


 まぁ、安全と監視を含めてってところかな。納得。


「残り二つは?」

「一つは、ドンラグ商会が最上級を用意しているそうだ。話を通すと直ぐに用意してくれたよ」


 直ぐって辺りに、なんか色々と働いてそうで怖い。


「もう一つは?」

「私の屋敷だね。鍛錬もやりたい時に直ぐ出来るし、私のオススメはこちら」


 そう言うカノートさんの目は、エイトたちに向けられている。

 そうだね。なんだかんだと、決着が着いてないもんね。


 で、エイトたちからも期待の目が向けられている、と。


「ちなみにですけど、アドルさんたちは?」

「王城」


 本当に俺たちだけ、か。

 なら、ドンラグ商会の人たちには悪いけど。


「エイトたちが期待しているので、カノートさんの屋敷でお願いします」

「そう言うと思って準備は済ませてある。場所はわかる?」

「覚えてます」


 いざという時は、セミナスさんナビで。


「なら、私はまだ王城から離れる事は出来ないけど、執事には話を通しているし、好きな時に向かって構わないから」

「お世話になります」

「あっ、それと、ドンラグ商会にも顔を出してあげて欲しい。会いたがっているから」

「そうですね。断った訳ですし、その謝罪も含めて、会いに行ってきます」


 アドルさんたち、カノートさん、ゴルドールさんに失礼しますと挨拶して、エイトたちと共に王城を出てドンラグ商会に向かう。


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