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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第九章 亡国・武国ドレワーグ
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特に何も起こらないけど、気を抜いた訳ではありません

 廃城に辿り着いた。

 ここも周囲と似たり寄ったり。

 元は巨大な門があったのだろうが、今はもう根元部分の金具しか残っておらず、城を守っていたであろう外壁も大部分が崩れていて、どこからでも侵入する事が出来る。


 廃城も形はそれなりに残っているが、ところどころ、大小様々な穴が空いていて、風通しはよさそうだ。

 というか、本当に入って大丈夫?


 倒壊の危険が大いにありそうなんだけど?


⦅問題ありません。倒壊する予測はありません……恐らく⦆


 自信のなさが出ているけど?

 珍しくというか、こんなのは初めてじゃない?


⦅いえ、確かに今のところは倒壊する予測はないのですが、現状の私では魔王出現に対して力が削がれる以上、今だけはありとあらゆる可能性を考慮して、提示しておいた方が良いかと判断しました⦆


 う~ん。魔王と相対した事で、相当影響を受けているようだ。

 特に悪い方に。


⦅それに、今居る場所は上大陸です。未だ大魔王軍の占領下ですので、いつ現れてもおかしくありません⦆


 う~ん。わかった。

 セミナスさんの事は信じているけど、俺も注意は怠らないように気を付けるよ。


⦅よろしくお願いします。それと、マスター。もしも現れた場合の、いざという時の策をご用意しておきました⦆


 そういうのはいくつあっても困らないね。


⦅はい。その策とは、神共を早期に解放して、囮として使用して逃げましょう⦆


 やっぱり、セミナスさんも神様たちに対して、色々と思う事があるのかもしれない。

 でも、それは倫理的にどうなんだろうか?

 駄目な部類のような気がする。


⦅いえ、気にする必要はありません。腐っても神ですので、色々と逃走手段を持っているのは間違いありませんので⦆


 そこは普通、相手を倒す術だと思うけど……いや、これまで解放した神様たちが標準だと考えると……そこを念頭に置いておいても不思議じゃないのは何故だろうか。


「どうした? アキミチ。セミナスさんからの指示を受けているのか?」


 アドルさんからの問いかけで、我に返る。

 確かにそうだけど、内容はちょっと言えない。


「いえ、大丈夫です。それと、もうちょっと待って下さい、今後の事を聞いていますので」


 そう言うと、俺を中心にして円を描くように配置に付くエイトたちとアドルさんたち。

 まぁ、そうだよね。

 基本的にセミナスさんと話している時の俺って無防備だし、守ってくれるのはありがたい。


 それで、セミナスさん。

 廃城のどこに黒い神殿があるの? 中庭とか?


⦅いえ、今回は特殊でして、黒い神殿はございません。また、それに伴って、結界も存在しません⦆


 え? そうなの?

 ……なら、やっぱりそこまで警戒する事はない?


⦅いいえ。違います、マスター。私の考えですが、おそらくは人類を招き寄せる餌として、このようにしている可能性があります。ですので、寧ろ気を付けなければいけません。いつもの状況でない事だけは確かなのですから⦆


 ……確かに。

 言われてみると、黒い神殿や結界がないのに、神様が封印されているって……それでも大丈夫という何かがあるって事だよね?


⦅その通りです。魔王も居らず、結界もないため、私の力は阻害されていません。そして、場所はこの廃城の謁見の間。吸血鬼と骸骨騎士に、事にあたらせるのが最適でしょう。マスターは獣人メイドと汎用型たちに守られて、決して離れないようにして下さい⦆


 了解。

 そのまんま、エイトたちとアドルさんたちに伝える。


「なるほど。かしこまりました。つまり、エイトはマスターの肉壁になれば良いのですね?」

「うん。違うよ」

「あ、主……その、危なくなったら……あたいに、く、くっ付いても良いんだぜ」

「照れるとこっちも照れるから」

「アキミチ様を守るためなら、何をしても構わないって事ですよね?」

「ツゥは日に日に怖い発言が増えていくね」


 頼もしくはあるんだけど、反応に困る。


「私とインジャオが適格か。しかし、それなら、私とインジャオだけで向かった方が良いではないか?」

「それは……そうですね」


 アドルさんに問いに頷く。

 そこのところどうなの? 自ら危険に飛び込む必要はないと思うんだけど?


⦅では、逆に尋ねますが、マスターはそこの吸血鬼と骸骨騎士だけを向かわせて、状況もわからずに大人しく待てますか? 私の力を阻害出来る存在が居るとハッキリわかった状態で⦆


 ……無理だな。

 アドルさんとインジャオさんをどうこう出来る存在がそうそう居るとは思えないけど、心配なモノは心配だ。

 強さとかは関係ない。


 なので、万が一の場合を想定して動いている事も伝える。


「……そうだな。セミナスさんの状況がそうなら、そうしておいた方が良いだろう」


 アドルさんが納得して、インジャオさんとウルルさんもそうした方が良いと頷く。


 そして、俺たちは廃城に入った。


     ―――


 廃城の中も、外から見た感じと大して変わりはない。

 廃れているというか、風化しているというか。

 穴が空きまくっているので、風通しが良いのは間違いない。


 あとは、戦闘痕がところどころ目立っている。

 アドルさんが、この国の王族は最後まで抵抗していたと言っていたし、その時の痕なのだろう。


 それと、町中と違って魔物が一切現れない。

 先頭を進むアドルさんとインジャオさんによると、魔物の気配すらないようだ。


 その代わりと言ってはなんだけど、強烈な二つの気配が上の方から感じられるらしい。

 恐らくそこが謁見の間なのではないかと考えて、今はそこに向かって進んでいるそうだ。

 だから、迷いなく進めているのかもしれない。

 ……でも、合っているの?


⦅合っています⦆


 そこで間違いないらしい。

 アドルさんとインジャオさんレベルが強烈な気配とか言い出すって事は……それはよっぽどなのが居るって事じゃないだろうか?


 ……魔王?


⦅その可能性はありません。もしそこに魔王が居るのであれば、既に私の力は阻害されている事でしょう⦆


 阻害されていないからこそ、そこに魔王が居ないとわかる訳か。

 納得出来る。


 そうして何にも阻まれずに、目的の場所である謁見の間の前まで辿り着く。

 この廃城の門と同じく扉は朽ちたのか、存在していない。

 錆びた金具だけが残されている。


 遮る物がなく、見放題をいう事もあって、こっそりと謁見の間の中を確認。

 中に居たのは、頭から大小五本の角が生えた鬼が二体居た。


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