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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第七章 お礼
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なんか助けて貰えたようなので、お礼するのは当然です

ここから、新しい章です。

 その日、部屋でのんびりしていると……ブルッとした。

 何故かはわからないけど、一瞬だけもの凄い悪寒がした。

 どういう事かはわからない。

 何かしらの危機を感じ取ったのだろうか?


 でも、それがなんなのかわからない。

 わからなければ、わかる人に聞けば良いのである。


 という訳で、セミナスさん。


⦅私がなんでも知っているとでも?⦆


 そうじゃないの?


⦅……まぁ、知っていると言えば知っていますが⦆


 なら、俺の悪寒の理由もわかるんじゃないの?


⦅……良いでしょう。これはマスターからの私の能力に対する挑戦状だと受け取ります。今確認しますので、少々お待ち下さい⦆


 いや、そんな挑戦とか、そういう事じゃないんだけど?

 ちょっと悪寒の理由を知りたかっただけで。

 ………………。

 ………………。


 あの……セミナスさん?


⦅なるほど。そういう事が……⦆


 どういう事が?

 あの、セミナスさんだけで納得しないで、教えて欲しいんですけど。


⦅そうですね。マスターの使用済みベッドが……いえ、なんでもありません。どうかお気になさらずに⦆


 いやいや、ポロッと言っちゃったよね?

 俺の使用済みベッドって何?

 字面が酷いけど、ちょっと見過ごせない案件だと思うんだけど?


 というか、獣人の国での使用しているのは、そこにあるし……という事は、それより以前のベッド?

 ……一体どこの?


⦅人権を守るため……いえ、情け、と表す方が正しいのかもしれません。ですので、私がお教えするような事はありません。もし発覚したとしても、それは本人たちの口から言うべきでしょう⦆


 ……たち? 複数形?

 どういう事かさっぱりだ。

 教える気は?


⦅ありません⦆


 そんな感じだよね。

 じゃあ、一つだけ。

 ……俺、大丈夫だよね?


⦅……まだ確定していませんので、少々お待ち下さい⦆


 待つのかぁ……。

 何かはわからないけど、何かが起こっているようである。

 その結末を待つしかないようだ。


 でもなぁ……まだ王城から出られないし、どう時間を潰そうかな。

 それに、アドルさんの話し合いもまだ続いている。

 なんでも、頑固な獣人さんが居るらしい。


 賛同する獣人さんも多いらしい。

 なので、前から協力していたウルトランさんだけじゃなく、一家総出……それこそ、ウルルさんとインジャオさんも協力している状態。

 もちろん、俺も協力を申し出た。


 でも、断られた。

 理由は同じく、出来るだけこの世界の者たちでやらなければならない、とかなんとか。

 まぁ、俺はいざという時の最終手段として、どんと構えていよう。

 セミナスさんにお願いすれば、大丈夫だろうし。


⦅相応の代価は頂きますが⦆


 うん。何事もセミナスさんに頼りっぱなしはよくないね。

 かなりの代価になりそうなのが怖い訳じゃないよ。


⦅安心して下さい。吸血鬼たちに代価は求めません。払う事になるのはマスターです⦆


 うん。出来るだけ自分たちの力でどうにかしよう。

 ちなみに、その頑固な獣人さんは、犬の獣人さん。


 ……うーん。インジャオさんに一噛み。で、どうにか出来そうな予感。

 それこそ、最終手段かもしれない。


⦅結果が出ました⦆


 色々考えている内に結果が出た。

 それで、大丈夫なの?

 いや、何が、というのはわからないけど。


⦅問題ありません。大丈夫です。とある方たちの尽力によって守られた、とだけ伝えておきます⦆


 ここも複数形?

 なら、お礼をしたいんだけど……やっぱり、その人たちの事は?


⦅私の口からはなんとも……。ただ、そうですね。お礼……⦆


 やっぱり教えてはくれないけど、お礼は出来るの?


⦅そうですね。間接的な手助けなら出来ますので、そうしますか?⦆


 お願いします。


⦅かしこまりました。では、今後の予定を組み上げますので、少々お時間を頂きます⦆


 お願いします。

 ……さて。そうなると、直ぐにでもここから出発する可能性がある。

 と、俺は踏んでいる。


 なので、早急に観光をしたい。

 ………………。

 ………………。

 女装しかないか。


⦅あっ、私の思考に乱れが⦆


 え? 何かあった? セミナスさん。


⦅問題ありません。ですが、マスターが考えている通り、王都の外に出るのは間違いありません⦆


 そうなんだ。俺の勘も冴えているな。

 という訳で、今の内に観光するなら、女装しかないようだ。

 もちろん、ワンにも変装して貰おう。

 男装は……似合い過ぎる可能性があるな。


 より女性たちが集まりそうだ。

 となると、逆に可愛く……駄目だ。決められない。

 本人に決めて貰おう。


 そんな感じで、色々と手を尽くして観光をした。

 とりあえず、女装したという記憶は消して、楽しかったという記憶だけ残しておこう。


     ―――


 数日後、セミナスさんによる予定が組み上がった。

 その説明のために、忙しいだろうけど、アドルさん、インジャオさん、ウルルさんに来て貰う。


「何やら予定が出来たらしいが?」

「一体どのような?」

「集まるような事なの?」


 そうピリピリしない。

 話し合いが上手くいっていないのかな?

 インジャオさんの骨を噛ませれば一発だと思うのに。


 ……どうやら、そのインジャオさんの骨に夢中過ぎて、話し合いが進まないそうだ。

 もうなんとも言えない。

 いや、頑張れ……だけかな。


 とりあえず、その話は置いておいて。

 セミナスさんの予定を説明する。


 まず、アドルさんたちはこのまま話し合いを続行して貰い、俺、エイト、ワンで先に旅立つ。

 ただ、俺たちの行き先はとある場所。教えてくれなかった。

 合流場所は、軍事国ネスの王都・キャユプル。

 そこにある宿屋「癒しの盾」。


 つまり、俺はそこに遠回りして向かい、アドルさんたちは話し合いが終わり次第向かう、という形になるようだ。

 セミナスさんの今の予測だと、誤差一日か二日で合流出来るらしい。

 その誤差は俺の遠回りの結果次第らしいけど、その事は言わない。


 説明を聞き終わったアドルさんは、考えるように顎に手を当てる。


「……どうしてそこで別行動になるのだ?」


 それは俺も不思議。

 ただ、セミナスさんはきちんと解答を用意していた。

 本来であれば、話し合いが終わり次第、軍事国ネスに出向いても問題なかったのだが、俺が希望したお礼を行うと、ちょっと間に合わない可能性があるそうだ。


 ……何が? と聞くのは野暮だろう。

 いつものように、未来は流動ですので、言うと未来が変わる可能性があるので言えません、との事。

 そこまで聞いたアドルさんたちは……喜んだ。


「よし! よし! もう少しで話し合いが終わる!」

「セミナスさんが言えば、もう確定したようなモノですね」

「もう少し……もう少しで、あのクソ爺が折れる!」


 あっ、そっちが気になるのね。

 えっと……年配の方が抵抗しているのかな?

 でもその前に、別行動する俺たちの事を心配して欲しいんだけど?


「「「そこはまぁ、セミナスさんが居るから」」」


 抜群の信頼感。


「「「寧ろ、セミナスさんが居なくなるこっちの方が不安に……」」」


 もっと自分たちを信じて!

 野性を失った獣のようにならないで!

 大丈夫だと信じたい。


 という訳で、アドルさんたちと少しの間だけ別行動する事になった。


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