表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第六章 獣人の国
157/590

そんな用意をする必要は今後一切ありません

 一旦場を落ち着かせるために、ウルルさんとウルルさんのママさんもソファーに腰を下ろす。

 インジャオさんを挟むようにして。


「ママッ!」

「………………」

「だってぇ……噛みたくて噛みたくて仕方なくなるんですもの」


 インジャオさんが無反応を貫いている。

 もちろん、俺とアドルさんもそれに反応はしない。

 巻き込まれたくないからだ。

 その代わりといってはなんだが、ウルルさんのパパさんのインジャオさんを見る目が変化した。


 殺意しかない。

 それも娘の彼氏を見る目じゃないと思う。

 いや……父親としては正しいのかな?

 わからん。


 でも、いざ戦う時になれば、同じようにインジャオさんを噛みたいとか思うのだろうか?

 ……インジャオさんはウルルさん一家にとって、魔性の男性という事なのはわかった。


 ウルルさんのママさんが席を移動。

 ウルルさんのパパさんの隣に座ってから、改めて話が行われる。

 といっても、内容としてはさっきと一緒。

 ウルルさんのママさんへの説明である。


 ………………。

 ………………。


「アキミチさんが参加を?」


 不思議そうに俺を見てくる。

 インジャオさんを見る時と違って、熱っぽさは一切ない。

 弱そう、とか思っているんだろうな。


「貧弱そうですけど、大丈夫なんですか?」


 言葉にして言われた。

 ……俺ってそんなに弱そうに見えるの?


 アドルさん……強い雰囲気が溢れている。

 インジャオさん……全身鎧で強そう。

 ウルルさんのパパさん……筋肉モリモリ。

 俺……普通。


 うん。弱そう。

 俺がそっちの立場でも、同じ事を思いそうだ。

 ……本当に大丈夫なの? セミナスさん。


⦅問題ありません。ふふふ……⦆


 なんかセミナスさんの笑いに怖さを感じる。

 あと、後ろからも。


「ご主人様を侮るとは許せません。今こそ、ご主人様の獣性を解放する時だとエイトは思います。ベッドの上でヒィヒィ言わせてやるのです。もちろん、エイトも手伝いましょう。一緒にヒィヒィ言います」


 俺にだけ聞こえるように呟いてくる。

 ……というか、俺の中のエイトは一体どうなっているのだろうか?

 俺も呟くように返答する。


「一度、エイトとじっくり話し合う必要があるかもしれないな」

「体の話し合いですね? 受けて立ちましょう。ご主人様の強い想いをエイトの体に刻み込んでいく訳ですが、ここで一つ言っておかないといけない事があります。エイトの体は特殊な材質で出来ていますので、生半可な鞭では跡が付かず、当然縄跡も難しいです。また、低温ろうそく程度では熱さも感じません。まずはエイトの体でも通用する特殊性の高い道具を用意するところから始めないといけない事を進言します」


 眉間を揉みたい気分。


「……ちょっとエイトにそこら辺の知識を教えた神様を今直ぐ復活させたい。正座させて説教だ!」

「なるほど。その考えは素晴らしいと、エイトは思います」


 ……え? まさか同意してくれるとは。


「確かに、エイトを造り出した神々であれば、エイトの体に通用する道具を創り出す事も可能。そこに気付くとは。さすがです。ご主人様」


 違う違う。そういう意味で神々を復活させようと思ったんじゃない。

 重要なのは「正座させて説教」の部分なんだけど、聞こえていなかったのかな?


「それとは別に用意して頂きたい物があります」

「……何を?」

「エイトが闇堕ちした場合を想定して、バタフライマスクや黒のボンテージなどの衣裳を今から用意しておくべきだと思います」

「必要ありません」

「そうですね。気が逸りました。まずはご主人様に堕とされないといけませんね。頑張って下さい」


 頑張ります、とはならない。


⦅スキルにも効く道具の開発も一緒にお願いします⦆


 お願いしません。

 そもそも目的は説教だから!


 そんなやり取りをしている間もウルルさん一家との話し合いは続いていたので、俺も参加する。

 とりあえず、ウルルさんのパパさんとママさんを、さん付けで呼んでも良い事になった。

 パパさん……ウルトランさん。

 ママさん……ルルシャさん。


 よし。覚えておかないと。


「私を生んだママはママだけど、他にもママは居るわよ」

「……え?」

「いわゆる側室ってヤツ。あっ、私のママが正室ね。ウルトラン陛下は獣王だから、猫種とか狐種とかからも娶っているのよ」


 ウルルさんがそう説明してくれる。

 他にも居るのかぁ……まぁ、そっちは紹介されたらって感じで良いか。

 無理に覚える必要もないだろう。

 ただ、ウルトランさんの目が訴えかけている。


 パパって呼んで、と。


「えっと、それじゃ、ウルルさんの他にもお子さんが?」

「犬種の弟と、狐種の妹が居るわよ。でも今は……」

「どちらも武闘会に向けて鍛錬に出ている」


 ウルトランさんが引き継いでそう答える。

 どうやら今は居ないようだ。

 ならあとで、かな?


 でも、弟と妹だけ?

 もっと居るもんだと思っていた。

 ……いや、今は大魔王軍と戦争中だから、平和な世になったら……とか考えているのかもしれない。


 それと、武闘会についても聞いておく。

 まず、開催は一週間後。

 元々直前の飛び込み参戦も受け付けているそうなので、俺たちの参戦も問題なく受理される。

 参戦するのは、俺、ワン、ウルルさんの三人。


 アドルさんとインジャオさんが参戦出来ない理由は挙げられた通りなので、今回は裏方に徹するそうだ。

 あと、同盟再強化案の同意を求めていく感じ。


 意外だったのは、エイトも出ない事。

 応援と俺たちのサポートに回るそうだ。

 助かる事に間違いはないので、お願いする。


 そして、武闘会の内容について。

 結構な人数が参加するそうなので、まずは予選が行われる。

 予選は16ブロックに分かれ、ブロックごとに分かれた参戦者が一つの舞台の上で、最後の一人が決まるまで戦い、ふるい落とされるそうだ。

 つまり、本選出場者は16人。


 そこからはトーナメントで争われ、優勝者を決める。

 シードはなく、獣王であるウルトランさんも予選から参加するそうだ。


 武闘会のルールは二つ。

 過剰な強化をしない事と、相手を殺さない事。

 強化に関しては、過去に暴走した者や、やり過ぎて体が壊れた者などが居たために、過剰なのは禁止されたらしい。


 うん。そういういのは禁止されて当然。

 それと、相手を殺さない事も当然だ。

 これは殺し合いではなく、強さを競う大会なのだから。

 それに今は大魔王軍と戦争中な訳だし、武闘会に出場するような強い人は、たくさん居る方が良いに決まっている。


 とりあえず、殺し合いとかの殺伐としたようなモノじゃない事にホッとした。


 この辺りまで話したくらいで、晩御飯の時間になる。

 ウルルさん一家と一緒に頂く事になったが……うん。ルルシャさん以外の奥さんが思っていた以上に居て、途中から覚える気を放棄した。

 もう少し関わるような事になったら、改めて覚えよう。


 ご飯を食べて大きな風呂に入れば、次はどこで寝るかだが……このまま王城で。

 わかっていた……この流れ。

 ラメゼリア王国、魔族の国に続いてだから、もう慣れた。


「隣をキープ」


 当然、エイトは隣室。


「鍵を開けておいて頂けますか? 夜這いにいきますので」


 ガチャリ、と鍵を閉める。

 武闘会、本当に大丈夫なんだろうか? と考えていたら、いつの間にか寝た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ