ゆるい旅路の始まり
ユニークPV,アクセス いっぱいありがとうございます、これからもがんばるのでゆっくりしていってね
「よぅし完成!!」
キヤが袖で額の汗を拭いながら晴れやかに呟いた。作っていたのは魔動バイクの横に接続するサイドカーと後ろに接続する皆が乗るための荷台だ。キヤが普段運用している魔動バイクの出力は十パーセントほどで制限をかけており、多少荷物が増えても問題はないだろうということで今回増設パーツの制作に踏み切ったのだ。
十パーセントほどで中型バイクほどの出力が出るのは割とトンデモないと思う。何もかも手探りで作ったのでキヤもマーソウも加減がわからなかったのだ。その分ちゃんと魔力電動を阻害する野生種ゴーレムの身体をすり潰したパウダーを使用した、リミッターパーツを複数取りつけ強めにリミッターをかけている。後付けパーツなので着脱はある程度は容易だ
そして今回は重量物を二つもくっつけるのでバイク時は四つ付いているリミッターパーツを二つにし調整する。サイドカーはよくあるバイクのサイドカーそのままで、バイク横部には新たに接続パーツが二つ増設されそこに合体する。
荷台は貴族が使う屋根付き馬車のグレードを少々落としたものを使い、新たにバイクに接続するためのパーツが追加されている。基本的に木製だが負荷のかかりやすい接続部などは金属で補強されている。ちなみにこの馬車はオンディス侯爵が屋敷を抜け出して遊びに行くときに使っていたもので、執事のハンドがもう使わないからということで格安で譲ってもらったものだ。(ちなみにオンディス侯爵はこのことを知らない)
そしていつものように多数の運用実験、運用試験を行い、サイドカーと荷台は正式採用となった。
「結局また新しいもの発明しちゃってるけどいいの?」
「あ゛………逆に考えるんだ、さっちゃん。バレなきゃヘーキだって……」
「私知―らないっと」
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
「という訳で改めて……歯車鍛冶工房社員旅行、場所はフクィーカツへ行きたいと思います!」
「「「「わー!」」」」
企画から二週間、ついに旅行当日となった。サイドカーは以前からキヤが趣味でベースを作っていた為完成が早く、荷台は接続部覗いてほとんど無改造なので二週間と言うスピードで完成に至ったのだ。旅行に行くことは既にご近所さんたちや関係者の人たちに伝えてある。なぜかオンディス侯爵が真っ白になっていたような気もするが、気のせいだろう。
荷台はそこそこ広く快適で、キヤとオンディス侯爵が懇意になった時に秘密裏に改造を依頼され、タイヤやスプリングなどが増設されており揺れも少なく、一般貴族の馬車よりもずっと快適な旅が約束されている。ちなみにこの馬車の存在と改造がハンドにバレてしまい巡り巡ってキヤたちの元へと流れ着いたのだ。
魔動バイクの運転手はキヤとマーソウで担当し一定時間で交代する手はずとなっている。この時のためにマーソウもバイク運転を練習していた。自転車に乗るのには時間がかかったが意外にもバイクはサラッと乗りこなしていた。むしろキヤよりも乗りこなしている。ちょっとヘコんだキヤだった。
「本日は歯車鍛冶工房観光荷車にご乗車いただき、誠にありがとうございます。皆様運転中はお席から立ち上がらないようにお願いいたします。なお一定時間で休憩を取りますので所用があればその時にお済ませくださいませ」
「はよ出せ」
「ウス」
ヘルメットをかぶり、サイドカーに乗ったサツキに急かされバイクはゆっくりと走り出す。旅は始まったばかりだ。
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
「はやいはやーい!!」
「いいわねぇコレ、ほとんど揺れないじゃない。厚めのクッション持ってきたんだけど必要ないくらいね」
「本当に快適ですね。流石はキヤさんです」
「時間まで俺は寝ておくぞ」
速度は馬車よりも少々早く、荷台の窓からは乾いた風が吹き込んできて丁度いい温度にしてくれている。窓際に座っているカレンの髪が日光に反射してキラキラと輝いていた。流れていく景色を微笑みながら眺めるカレンのマネをしてマーシュンも窓の外を眺める。馬車にも乗ったことのないマーシュンはすごい速さで流れていく景色に目を輝かせていた。そんな二人を穏やかに微笑みながら眺めるゴルドワーフ。和気あいあいとした旅だ。
しばらくバイクを走らせていると前方にこちらに向けて走ってくる馬車が見えたので、キヤはスピードを緩めゆっくりとすれ違う。すれ違う際には手を上げて軽く挨拶をかわし、互いの旅の成就を祈った。馬車の護衛と思われる、二本の鎌を背負った赤い目の冒険者は驚きつつも手を振って挨拶してくれた。これも旅の醍醐味である。
一時間ほど走ったキヤたちは一旦バイクを脇に寄せ休憩に入る。なんせほとんどのメンバーがこちらの世界での旅に不慣れなので、大事を取って休憩回数は多めにとってある。ここで運転手を交代し運転はマーソウに代わった。
「後よろしく」
「ん」
「さっちゃんはどうする? 荷台に行く?」
「そうね、ゴルドさんと代わってもらおうかしら」
サツキはサイドカーから立ち上がりヘルメットを脱いでふるふると頭を振る。薄い紫の髪がふわりと空に踊った。ヘルメットをかぶる都合上サツキは髪をストレートに下ろしていたのだ。少々クセっ毛なようで毛先は少し曲線を描いている。
「あれ? どなた?」
「サツキだけど」
「…………???」
「ツインテじゃなくなったからってそんなに印象変わるかな?」
「俺の気持ちわかったかよ」
「ちょっとだけね。ピコグラムくらい」
「全くわかってないのと同じですねわかりますん」
そして運転はマーソウ、サイドカーはゴルドワーフ、荷台にはその他のメンバーが乗り旅は再出発した。ヒマすぎるのもアレなのでキヤは自作した稚拙なギターっぽい弦楽器を弾きながら歌う。バスの中のカラオケのようなものだろうか。旅は順調に進んでいた。
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