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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第二部 鬼の腕(カイナ)
29/199

三下の末路

割とエゲつない描写がちょこちょこあります。気を付けてね



「ケッサクだったぜ!! なんせあの鬼神ギルバが? 無様にも片腕を食いちぎられちまってんだからよォ!! ギャッハッハッハッハッハ!!!」



 ここはキヤ達のいる国から少々離れた『ゲルテンベルグ国』、その中の端に位置する街『エルフェリアン』だ。冒頭の騒音はエルフェリアン冒険者ギルドの中から響いてきている。


ギルバがこの国を離れて以来、一人の男が幅を利かせるようになった。彼はタクヤン。Bランク冒険者でもう少しでAランクに届こうかという実力者だったのだが、行動や言動が粗野になりすぎる上、自信過剰で無茶をし過ぎる傾向があったためBランクで足踏みをしている。



 そんなタクヤンは今、真昼間から酒をかっくらいギルド併設の酒場に入り浸っている。かなりの大声かつがなり声で喋っているので他の冒険者や受付嬢も迷惑そうだ。なぜ彼の蛮行が放置されているのか。それは彼を止めるはずの、この辺りを統括するギルド最強の冒険者ギルバが療養のため他国へ旅行に行っているためである。要は繰り上がりの形で男は泡沫の頂点に座ったのだ


 周りの少々理知的な冒険者はそれを知っているため彼を遠巻きにしているが、類は友を呼ぶというか、彼に似たような性格の冒険者は一緒になって騒いでいる。彼を止められる冒険者は今いない。


ギルバは国外へ療養しに、それ以外のこの街の高ランカーはギルドの出した調査依頼に向かっているためだ。彼は実力足らずで置いていかれているのだが、それに気付かないのか、それとも気付かないようにしているのか。彼の増長はとどまるところを知らない。


 受付嬢にセクハラ行為、自分より下のランクの冒険者に絡みそして恫喝、そしてあらゆるところでの迷惑行為。そろそろギルド長の堪忍袋の緒が切れそうなのだが。てかキレた。



「おいタクヤン。お前に指名依頼が入ってる。お前にしかできない仕事だ」


「アァ? 俺にしかできないィ? じょーとーだ、やってやらぁ!!」



 深酒で酩酊し、かつお前にしかできないと持ち上げられたタクヤンは詳しい依頼内容も理解せず依頼を受けた。




ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ





「ってことでよォ、あの鬼神ギルバに手傷を負わせた魔物は俺のシモベなわけだ!!」


「スッゲーっすねタクヤンさん!! 流石っす!! ヨッ、未来のSランク冒険者!!」



 エルフェリアンのはずれにある三つに連なる山脈にてタクヤンは今、ギルドが直接出した依頼を遂行していた。1カ月ほど前に出現した魔物、インクブスの調査である。3つに連なる山脈は広大だ、かつそんな過酷な環境でさらに凶悪な魔物の相手をしなければならないかもしれない。


そんな厳しい条件下で戦えるのは高ランカーだが、高ランカーとて人間だ。一度に全てでなく1週間をメドにインクブスの痕跡を調査しギルドに持ち帰る。それが今回の依頼だ。



「でもインクブスって凶悪なんでしょ? どーやって飼いならしたんです?」



 タクヤンが引き連れてきたCランク冒険者、シタッパーが問う。今回タクヤンは自分に付き従う自分より下のランクの冒険者を一人連れてきていた。ちなみにタクヤンは元はパーティを組んで活動していたが、数か月前に元居たパーティから追放されている。原因は言わずもがな



「インクブスってやつァどう見てもナニだろ? 俺の冒険者のカンが囁いたんだ、コイツは女に弱い! ってな。で、娼館で盗んだ娼婦の下着を投げつけてやったのよ!! そしたら見事メロメロになってな!! マタタビ喰らったネコみたいに大人しくなってよ!」


「うわきm、ゲッフンエッフン!! スッゲェッス!! 高ランク冒険者はカンも冴えてるッスね!!」



 シタッパーはあやうくホンネが出かけたが、天狗になっているタクヤンの耳には入らなかったようだ。冒険者は内心胸を撫でおろす。こいつホント人間の屑だなこいつな



「だろォ? で、丁度その辺りにギルバが依頼を受けて山へ出るってんで、インクブスをギルバのいる方へ置いといたわけだ。そしたら、Aランク冒険者鬼神ギルバが無様にも片腕失っておめおめ帰ってきたわけだ!! 最ッ高だろぉ?!」



 自身の蛮行に捧腹絶倒するタクヤン。ちなみにここが彼の人生のピークだった。




「おーいインクブスぅ!! 飼い主様が来てやったぞォ?」



ポケットから盗んだ2枚目の女性の下着を摘みだし、フリフリ振りながらタクヤンはインクブスを呼ぼうとしている。冷静に傍から見たらドン引きの行動だが、シタッパーはどうにか平静を保つ



「ホントに来るンすかね?」


「来る!! 未来のSランクを信じろ!!」



 お前を信じるくらいなら高級娼婦を信じる方がまだマシだろうさ、と内心考えるシタッパー。彼のポケットには魔物の認識を阻害する煙玉や、ぶつけた魔物に強烈な臭いと色を付けるペイントボールが入っている。いつでも使えるようにしておいた方がよさそうだ。そして




ガササッ  ドサァ!!!



「ひょわぁぁぁ!?」


『ィググググググググググググ……』



 突如として二人の目の前に木から落ちてきたおぞましいモノ。なんだこのでっかいモノ♂……インクブスである



 苦しそうな、だがおぞましい鳴き声を漏らしつつ荒い吐息をこぼしている。全身は激しく火傷しケロイド状となり、大きな水膨れが多数見受けられる。首の横には折れたギルバの剣が未だ突き刺さっており、そこから化膿が始まっていて顔面もボロボロだ。この状態になってもまだ生きているほどの生命力。そのあまりのおぞましさに二人は一時言葉を失う



「お、おぉ……元気そうじゃねぇか……」



 インクブスに近づきながらタクヤンは軽薄に言う。コイツは一体何を言っているのだろうか。インクブスも唸り声を一時止めた。そして




『ンホォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!』




強烈な衝撃波を伴った咆哮が辺りの木と二人を揺らす。近くにいたタクヤンは鼓膜を破られ吹き飛ばされ、木に叩きつけられる。そしてそのままあっけなく気を失った。



「ッ!!」



 一瞬気を失いかけたものの、距離が離れていた為無事だったシタッパーはどうにか気を持ち直してペイントボールと煙玉をインクブスに投げつける。ぶつけられたペイントボールは破裂し強烈な色と臭いをインクブスに付けると同時に、水膨れを破裂させインクブスを悶えさせた。その瞬間にシタッパーはタクヤンを引きずって離脱しようとするが




『ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』


「ッ!」



 インクブスが背中の黒い触手を四方八方に勢い良く伸ばし、辺りのものを手当たり次第に貫いていく。ヘタな鉄砲数撃ちゃ当たるとはよくいったもので、触手の一本がタクヤンを支えていたシタッパーの腕を貫く。



「があぁっ!! クソ!」



 痛みでタクヤンを取り落とすも逆の腕でダガーを抜き、腕を貫く触手を切り落とす。全快状態ならまだしも自身も重症の状態で他人を助けている余裕はない。シタッパーはタクヤンを置いてその場を離脱した。


次回『三下レ〇プ! 魔物に掘られたゲス男』をお送りします

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