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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第二部 鬼の腕(カイナ)
26/199

蒸気銃を改良せよ!後編

投降遅れて申し訳ないッス。赦してヒヤシンス



オリジナル武器だし、異世界だし、多少論理がガバっても……バレへんか!




 さて蒸気銃を改良するうえで浮き上がってきた改善点だが


・コスト

・遮熱機構

・取り回しの悪さ


 が主な改善すべき点といえる。一つ目のコストに関しては火、水、風の魔法適性のあるものの分は使う魔石を減らすことで一応は解決できる。取り回しの悪さもゴルドワーフの卓越した金属加工技術でカバーすれば軽量化・小型化も可能だろう。やはり一番の問題は遮熱機構にある


 作業場でキヤとゴルドワーフ、二人で額を突き合わせながら議論を戦わせていた



「……遮熱に優れた魔物の皮を張りつけるのは?」


Nonノン。現状かなりギリギリのコストにそこそこの値段がする魔物素材、これ以上の上乗せはマズいッス。肌に触れる部分を木で覆う」


Nonノン。木材は思っているよりも遮熱性が低いわ、もし遮熱性を取れば覆う木材は必然的にブ厚くなり、取り回しに問題が出るわ。自身で生み出した魔法は術者を傷つけないのを利用し火魔法の適正者のみに使わせる」


Nonノン。蒸気は銃身内で熱するからこそ高速で蒸気を生成できるんで、術者自身に魔法は効かずとも銃身自体に多大なダメージがでますね。できないこともないでしょうけど、内部構造が複雑化してコストがかかるかと」



 なかなかいい案が出ないのでキヤは思わず四肢を投げ出し、イスの背もたれにのしかかる。ゴルドも老眼鏡を外し眉間を指でもんでいる



「結論は、魔石を二つに減らし軽量化しかつ使用者のヤケドにつながらないようにプロトタイプを改良する……そんなルールっすか。キッツいなぁ~~。てか、依頼してきた人って軍人さんなんでしょ? こんなん使うよりも普通に魔法撃ったほうがいいような……」


「魔法といっても威力はピンキリよ。相手を吹き飛ばすほどの風や炎の魔法なんて使えるのはほんの一握りなんだから」


「あー……やっぱそこまで到達するのは一握りなんスね」


「後言い忘れてたけど蒸気銃コレが欲しいって言ってきた人はこの街の警邏のとりまとめみたいな人だから軍事機密なんてものは気にしないでいいわよ」


「……それもうちょっと早く聞きたかったなぁ~……」



 懸念事項が一つ消えたのでホッとするも脱力感に襲われるキヤ。



「私は取引相手が軍人とは一言も言ってないわよ? それに私をほっといてサツキちゃんとイイ雰囲気になるんだもの。ちょっと妬けちゃったわ」


「再三言うようですが俺とイガラシはそういうんじゃないですよ。まぁ勝手に勘違いしたのは俺ッスけど……それじゃ魔石のコストの方はよさそうですね。あとは放熱機構と取り回しか」


「そういうことになるわね。何か思いつく?」


「……取り回しについては金属の加工の精密さを上げることで大丈夫だと思います。漏れ出る蒸気が少なければある程度は大丈夫でしょうし……後は、もう手袋とかで手は保護して、グリップを金属じゃなくて遮熱性の高い素材で作って後付けする形でどうでしょう?」


「それが無難かしら。それじゃ設計図詰めてみましょう」


「ウス」





ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ





 数週間後。オンディス侯爵の屋敷の一画、主に鍛錬用に空いているスペースにキヤ、オンディス、そしてゴルドワーフがいた。キヤが肩に担いでいたトランクケースを地面に置き、バチリと留め金を外し出来上がったブツを出す。


 取り出されたソレは重い金属光沢を煌かせている。研鑽を重ね幾重もの問題を乗り越え完成した、完成型 蒸気銃スチームガン



「現時点コレが俺たちの精一杯。俺の完全オリジナル護身兵装『スチームガン』。プロトタイプの問題点であった遮熱機構は、銃身の気密性を高め、さらに取り回しにかかわるグリップ部を木材にし銃身に後付けすることで緩和。本体重量はゴルドワーフさんの技術のおかげでプロトタイプよりも大分軽くなってます。


 燃料は魔石、使用者の適正魔法によって魔石を変えられるように銃身横部に付けられた魔石カートリッジに魔石用のフタ付くぼみ二つがついてます。そして銃身中部に取り外し可能の水のカートリッジ。おおよそ500mlほど充填可能」



 形的にはライフルのような銃身の長いタイプの銃によく似ている。が、火薬を使いその爆発で鉛玉を撃ちだす銃はその性質上非常に重くなりがちだが、蒸気銃は違う。なんせ打ち出すのは強烈な風と高温の蒸気なのだ、耐久性は最低限で済む。射程と殺傷性は銃よりか大きく劣るものの、キヤが重きを置いたのは非殺傷性。殺すためでなく、傷つけずに制圧するためのものなので問題はないだろう。


 オンディスがキヤから蒸気銃を受け取り、各部を検分しながら称賛の声を漏らす



「いいですねぇ。中距離からの牽制道具としては最高の出来でしょう。重量もそれほど、これならば盾を持ちながらコレを構えることもできるでしょう。非殺傷というところも含めて、警備には最適ですねぇ」


「重量を気にしないのであれば銃身の部分に補強を入れて、素人の剣くらいなら受け止めれるくらいの鉄の棒にしてもいいわよ。コレの画期的なトコロは、『ただちょっとした魔法が使えるだけの人間』を『疑似的な攻撃魔法も使える兵』に出来るところ。キヤちゃん、アナタこれからの身の振りをよく考えなさいね?」



 ゴルドワーフの老爺心にキヤはバンダナを強くギュッと縛り答える



「まぁコレがいずれずっと発展すれば殺傷兵器にもなりましょう。そンときは、その原型を作った男として堂々としようと思います。俺が非殺傷性を前提に作ったモノを、お前らは殺しに使えるようにしたどうしょうもないクソの塊だって嘲ってやりますよ」



 キヤはサムズダウンをしながら誰にも見せることのなかった、残虐で純粋で、それでいて真っすぐな笑み。彼だって好き好んで人を傷つけるためにコレを作ったわけではない。


 自分がかつてオンディス達のために蒸気銃を振るったときのように、これを使って誰かの大切な人の命が守られたならいいなという人類に対する淡い願いの為だ



「職人ですねぇ、キヤさぁん? まだ初めて一年も経っていないのに」


「凝り性拗らせてるだけッスよ。あ、この蒸気銃を元にして新しいアイディアがあるんですが……」


「詳しく聞きましょう」


「詳しく聞くわよ?」



 少年の心を未だ引きずっているいい大人と、未だに厨二病拗らせ気味の青年が同じ空間にいるのだ。当然、何も起きないはずもなく……新たな対魔物武器などの構想というか妄想話が暴走していくのだった。



 キヤとゴルドワーフは帰宅が遅れ、膝上に石鍋の刑がサツキによって執行された。さっちゃんマジおかあさん…………




おや、誰か来たようだ


次回、ようやっと本題に入ります。お楽しみに

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