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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第二部 鬼の腕(カイナ)
24/199

高所作業の際には装着しとかないとガチで怒られるアレ

シャッって投げてガキン!で固定って、あの手の道具ってホントどうなってんだろうね




「出来たぜ! クロースナッチャーだ!!」


「アンタ一体何作ってんのよ」



 開幕キヤが作り出したのはクロースナッチャーと名付けたワイヤー射出機だ。アニメでよくあるトゲや鉤爪を勢いよく投げつけて壁などに突き刺し、ワイヤーを高速で巻き取ることで刺した場所へ高速移動できるというシロモノだ。


 モノと体を固定するベルトはハードマジロと呼ばれる非常に皮が固く、柔軟性もある魔物の皮。ワイヤーはすさまじい強度と魔力伝導率を誇るシルキーワームの上糸を編み込み束ね、巻き取り機構に回転の魔石。クロー部や金具はゴルドワーフが金属を加工して作った。


 クロー部はドラムリフターと呼ばれるドラム缶運搬道具に使われているツメの原理を使っている。カンタンに言えば、ドラム缶をツメに引っ掛けて持ち上げるとツメがドラム缶のフチをガッチリ掴み、地面に下ろすとツメが緩む。興味があれば一度検索してみてほしい、初見は『どうなってんだコレ?!』と驚くはずだ


 ここまで大仰に書いてきたが、要は全身に付けるタイプの安全帯と考えてもらっても構わない。安全帯とは、高所作業する際に体に装着し金具と手すりなどをフックでつないで落下を防止するために作られた道具のことだ。ちなみにクロー部はフック状など色々とカスタマイズできるようにするつもりだ


そこ、なんか急にショボくなったとか言わない



「いや、これ結構スグレモノよさっちゃん?」


「普通暮らしててそんなの使わないでしょ。それを作るためにどれくらい製作費をかけたのかしら? ン? アァ?」



 心底呆れた表情でキヤを睨むサツキ。眉間に皺がより、もう完全にマジでコロコロする5秒前だ。背後に獣の形のオーラが浮かんでいる気がする



「いやいやいや待って待って待って! 確かにこれは日常生活じゃ使わないだろうけど、冒険者の為に作ったやつだから!!」


「はぁ?」



 怪訝そうな表情は崩さないものの、獣のオーラは引っ込んだサツキ。ギャルゲーの爆弾処理してる時以上の緊張感に冷や汗を垂らすキヤ。もうやだおうちかえりたい。ここが家だった。やっぱ三次元はダメだ。いや、二次元でも割と嫌だった。マ●ト死ねは勘弁である



「いやさ、冒険者って平地ばっかりで仕事するわけじゃないでしょ? 場合によっては険しい山岳地帯で高所から下りたり上ったりするわけじゃない。んでコイツをつかう。さっちゃんはボルダリングとかやったことない?」


「ボルダリング? あぁ、なんか妙な形の取っ手使って人工の崖を上るアレ?」


「そそ。ボルダリングするとき安全装置としてハーネスとかつけてるでしょ? アレみたいな使い方ができるんだよ。巻き取り機構に回転の魔石使ってるからあんまり力を使わず上下できて体力温存もできる。コイツを貸出品としてギルドに提供し、その見返りとして依頼料の何%かをもらう。安定した収入が入ると思わない?」



 意外だ。キヤがちょっと頭いい商売を思いついている。ドヤ顔が鬱陶しいのでサツキは後で殴ることにした。命を運んで来ると書いて運命。キヤの命は天国へ運ばれて行きそうだが。



「なんで貸出品なのよ? 売ればいいじゃない」


「いやね、コレ耐久を求めて鉄で作ったせいでそこそこ重いんだよね。冒険者さんって基本的に根無し草だと思うんだけど、あんまり重いモノずっと持ち続けるってキツいでしょ? だから必要な時に使えるようにしておけば、皆使ってくれると思うんだよ」


「ふぅん。意外と考えてるのね」


「失礼な! 俺が普段何も考えずモノづくりしているとでも?!」


「そうじゃない」


「そうだけどさ」



 コイツダメだ、早くなんとかしないと……サツキはデキの悪い息子を持つ母親の気分だった



「とりあえずは耐久実験と使用感のリサーチかな。ちょっと今からオンディスさんの家行って、うまくいけば冒険者ギルドにも寄って実験の依頼張ッ付けてくる。多分メシ時までは戻るよ」


「了解。オンディスさんに頼ることは覚えたみたいね」


「事あるごとに罵倒されるって結構ツラいのよ? いってきまーす」



 扉から後ろ手に手を振るキヤを見送ると、サツキは残りの家事を片付けに動いた。






ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



 数十分後、キヤはオンディスの屋敷でモノをオンディスに見せていた。冷静を装ってはいるが目の輝きが抑えられていないオンディスに、キヤは今回も勝利を確信した。ちなみに昨晩はさっちゃん特製シチューとパンで優勝した。



「ふむ、またキヤさんは面白いものを作りますねぇ。それに貸出制とは。なるほど、キヤさんの意見は的を射ていますよぉ。この辺りにも切り立った山があるエリアはありますから、需要は必ず発生するでしょう。採石場なんかでも使えそうですねぇ。量産化はしないんですかぁ?」


「ホンネを言えば、このクローの部分が割と複雑で腕利きしか作れないんで量産できないんですよね。さらに素材の面でもちょっと。現時点冒険者パーティ一つ二つに行き渡るくらいが限界ですかね。

あ、このクロースナッチャーの使用感の実験したいんですけど、どこかいい場所ないですかね? 適度に高くて強度もあるような場所。壁とかはあんまり実験には適さないですから」


「そうですねぇ……ここから数キロ行った場所に採石場があるんですが、そこはどうでしょうか?」


「よさそうっすね! 明日辺りイガラシさんとゴルドワーフさん連れて、ピクニックがてら行ってみます」


「道中危険ですし、私も行きましょうかぁ?」


「あー、こっちとしては構いませんけど……そっちはいいんですかね? 主にハンドさんとか」


「大丈夫ですよぉ。何か大事オオゴトでもない限り仕事は問題ありませんし、そうそう大事なんて起こるはずが」



 刹那、応接室の扉が蹴破られる勢いで開かれる。この登場の仕方。あっ(察し)



「おい侯爵、大事オオゴトだ。斥候からの報告だが、隣国のエスパランシア公国で政権が大きく動いたらしい。そのことで至急王城へ来いとのことだ。この重要性がわからねぇわけじゃないよな? 今すぐ準備して出発するぞ!」


「ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜ア゜!! 助けてキヤさぁぁぁぁぁぁぁん………」



 突然入ってきたハンドに首根っこを掴まれて連行されるオンディス侯爵。貴族は貴族で大変なものなのだな、キヤは完全に他人事だった。出されてた紅茶は相変わらず旨かった。


この話を書き進めていくほどに、怪盗三世がカリオストロの城で使ってたアレが、なぜかどんどんただの現場道具になっていった、何を言っているかわからないと思うが、俺も何でこうなったのかわかんない



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