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区長候補生

 その頃インテス前では江東子が目を覚ました。

 「お姉さま、私」江東子は自分が園子に膝枕されているのに気が付く。

 「お姉さま、ずっとこのままでいいですか?」

 「別に構わないけど、私の話を聞いてくれるかな」

 「勿論です」

 「哲子の話だ」チッ。江東子はすぐに笑顔に戻った。


 「哲子は可哀想なやつなんだよ」

 「そうなんですかー」

 「あいつの家ってブルセラショップなんだ」ブルセラショップとは女子高生の制服や下着のリサイクルショップのことである。ただし、それを買うのは変態のオッサンである。

 「えっ」

 「だから、学校でブルセラショップの娘としてつらい目に会うことも多かった」

 「それって、私と同じ」江東子も区長の娘として学校で色眼鏡で見られてきた。江東子はそれをとても気にしていて、色眼鏡で見ない園子お姉さまやフカバスに惹かれていたのだ。

 「だから、もしあいつがフカバスに戻れたら仲良くしてやってよ」江東子は少し考えて。

 「善処します」そう言うと園子に頭を撫でてもらえた。

 「おっアジトで決着が付いたみたい」撫で撫でが終わってしまった。

 「さて、我々もアジトに帰ろうか」

 「お姉さま、私哲子さんと仲良くやっていく自身がありません」

 「えっなんでよ」

 「お姉さまは、少しニブチンです」

 「いいこと、江東子。私は可愛い女の子が好き」園子がオッサンみたいなことを言った。江東子はハッとした。江東子は区長の娘で歌も上手いけれど決して美人ではないと自分で思っているから。

 「だから、江東子もみかかも哲子もいくるみちゃんもみんな大好きだよぉ」そう言って江東子に抱きつくのだった。江東子は現状もまんざらではないなと思った。


 実は先日園子が区長と話そう・こうと〜くに参加した際に、区長から娘の江東子の話を聞いた。そこで園子は江東子の事を勝手に引き受けることにした。

 「区長!娘さんのことは私共ふかがわばすたーずにお任せ下さい。未来の江東区長として英才教育を施してみせます」こうして、江東子を江戸時代の人質の様にフカバスに取り込んだのだ。

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