2/21
戻りたい
「よくもわしの大切な店とコレクションを〜」父ちゃんの怒りは本物だった。
「ちょっとわし東陽町に行ってくる」
「ちょ、まっ」止める間もなく、駅に向かって駆け出す父ちゃん。
「大丈夫かな、父ちゃん」
「死にはしないと思うけど」あらあらと母ちゃん。
「それとも哲子ちゃんが心配してるのは、フカバスの?」
「いや、それはないでしょ」苦笑いする私。父ちゃんなんか目じゃないし。
「哲子ちゃんはフカバスに、戻りたい?」
「…。出来れば」
「あんなことやこ〜んなことを、されたのに?」
「悪気があってやったんじゃ…」
「プッ」笑い出すお母さん。
「お母さん」
「あら、ごめんなさい。でも、店を焼かれてお母さんもちょっと平常心で居られないかなー」
「ごめんなさい」
「あら、哲子ちゃんは悪くないわよ。でも、フカバスにはお灸をすえないと。そしてお詫びに哲子ちゃんを仲間に戻してもらいましょ〜」
「お母ちゃん!」お母ちゃんに抱きつく私。
「哲子〜母さん〜〜」そこへ父ちゃんが戻ってきた。
「どうしたの?」
「電車賃を貸してくれ」きまり悪そうにそういったのだ。




