第八章:贖罪の修羅と守護の傭兵団長
第一幕:十字架の下の懺悔
天使教会堂のそびえ立つゴシック様式の広大なホールに、ひんやりとした聖なる陽光がまだら模様のステンドグラスを透過して差し込み、古びた石畳の床に眩いばかりの色彩豊かな光芒を落としていた。
巨大な十字架の足元で、純白の神父服をまとった「百獸王」キンレオンがたった一人、片膝を地面についていた。かつて凶暴残虐を極め、大地を震撼させた頂点の強者である彼は、このとき両手を胸の前で固く組み、止めどなく溢れ出る熱い涙で冷たい石畳を濡らしながら、まだらな水痕を作り出していた。彼はうなだれて小さく祈りを捧げ、その生涯のすべての虔誠と奉献を捧げることで、決して洗い流せない血塗られた罪業を浄化しようとしているかのようだった。
『ギィィ——』
教会の重厚で堅固なオークの扉が、そっと押し開けられた。
農家の少年メシアと貴族の令嬢ディアブラが、一歩遅れて中に入ってきた。メシアは普段の悪ふざけや腹黒さを引っ込め、厳かな面持ちでキンレオンの傍らへと歩み寄り、同じように片膝をついて目を閉じ、静かに祈りを捧げた。お嬢様も珍しくお姫様気取りのわがままを封印し、複雑なレースのドレスの裾を優雅につまみながら、十字架に向かって小さく頭を下げて敬意を表した。
第二幕:我が主と勇者の影
祈りが終わり、傍らの二人の気配を察知したキンレオンは、ゆっくりと目を開けた。
彼はハンカチを取り出して顔の涙を拭うと、普段の厳格で剛毅な顔立ちに、この上なく慈愛に満ちた穏やかな笑みを浮かべた。キンレオンは立ち上がると、目の前の少年に向かって上半身を少し傾け、恭しく深く頭を下げた。
「お久しぶりでございます、少主。いまのあなたの佇まいと魂の神髄……我が主クロード様、そして勇者コルヴォス様に、ますます似てこられましたな」
キンレオンからのこの上ない賛辞を聞き、メシアは気恥ずかしそうに後頭部をポリポリとかきながら、まぶしいほどの笑みを浮かべて言った。
「そんなことないですよ……キンレオン叔父さんが日頃から心血を注いでこの街を支えてくれてるおかげです。お疲れ様です、叔父さん。ところで、お聞きしたいんですが……フェンリル叔父さんは任務から戻ってますか? こっちでちょうど良さそうな『探し物の依頼』を受けまして、血月傭兵団のみんなにも手を貸してもらえないかと思いましてね」
第三幕:元魔王の内心の衝撃
すぐ傍らに立っていたお嬢様は、このとき人知れずゴクリと生唾を飲み込み、胸の中で凄まじい大波が荒れ狂っていた!
目の前の老神父は慈悲深い笑みを浮かべ、さっきまで神に向かって泣きながら祈っていたというのに、お嬢様(元魔王)の持つ最高峰の魂の感知力は、ハッキリと捉えていた——この神父の白衣の下にどれほど恐るべき筋肉のパワーと、野獣のような圧倒的な窒息プレッシャーが隠されているかを! これは間違いなく、素手で高階魔物を引き裂き、ドラゴンとすらタイマンを張れる超絶な怪物だ!
(ま、待てよおい……! この、一発で山の頭を吹っ飛ばしそうなゴリマッチョ神父が、この野暮ったい農家のガキにめちゃくちゃ恭しく接してるぞ?! しかも「少主」って呼んだか?!)
お嬢様は心の中で絶叫しながら、メシアが口にした「探し物の依頼」というものに対して激しい後ろめたさを感じていた——もしこの勇者たちの旧部下たちに、探している代物が「魔王の指輪」だと知られたら、自分はこの場で即座に成仏させられてしまうのではないだろうか?!
第四幕:狼の子の帰還と血月の盟約
『タッタッタッ……』
その時、教会の外から重々しく力強い金属製のブーツ音が、研ぎ澄まされた風塵の気配を伴って響き渡った。
「はっはっは! 少主! 玄関先からオレを探してる声が聞こえたぜ!」
無骨で荒々しい巨体が扉を押し開けて入ってきた——他でもない、城外のパトロールから戻ってきたばかりの「赤血の爪」フェンリル・ブレイクだ! 彼は身長ほどもある漆黒の巨斧を肩に担ぎ、マントには乾ききらない風塵と魔物の返り血がついたままで、その眼光は野生の獣のように鋭く尖っていた。
フェンリルは大股で歩み寄ると、うちわのような巨大な掌でメシアの肩を豪快に叩き、ガハハと笑った。
「探し物の依頼だって? 少主自らの頼みだ、オレたち血月傭兵団が断る理由なんてねぇよ! さあ言え、探すのはどんな絶世の宝だ? どんな竜の巣にでも乗り込んでやるぜ!」
メシアは、顔を真っ赤にして必死に自分の存在感を消そうとしている傍らのお嬢様を指さし、フェンリルとキンレオンに向けて無邪気でまぶしい笑顔を向けた。
「僕たちが向かう目的地は……生者禁制の地『神の島』です。そこでこのお嬢様のために……彼女が落とした『ソロモンの指輪』を取り戻すのを手伝ってもらうんです!」




