終章:破曉の光と世紀の口づけ
第一幕:地獄の狭間を跨ぐ引き戻し
地獄の門の混沌空間は、ニビルの魂が霧散した直後から激しく崩壊を始め、漆黒の業火が狂乱のごとく呑み込み、虚空の亀裂は人を食らう巨獣の如く狂い狂って開口していった!
一刻を争うその瞬間、聖潔にして瑕疵なき純白の光芒が突如として暗闇を切り裂いた!
サン・ジェルマン伯爵が崩れ落ちた神の島の聖台の縁にたたずみ、華麗な裾を狂風のなかで激しく翻していた。彼女は白銀の魔杖を高々と掲げ、千年の盛衰を見届けてきた湛藍の双眸から圧倒的な魔導の光彩を爆発させ、百年におよぶ心血と無数の輪回を積み重ねて結晶化させた終極の時空錬金術を発動させた!
「我がもとへ……戻るがいい! 世界を救いし二人の勇者と魔王よ!」
聖なる光芒が数筋の優しくも強靭な水晶の綢帯へと変わり、崩壊する次元の狭間を強引に穿ち抜くと、絶殺の奥義を放ったばかりで体力を完全に使い果たした二人を、地獄の門の深淵の裂け目から神の島の白石の聖台へと力強く引き戻した!
第二幕:天をも揺るがす歓声と十指の絡み合い
『ドォォォン————!!』
天地を揺るがす轟音とともに、漆黒の大門は完全に静まり返り、轟音を立てて固く封印された!
神の島の一帯が一瞬だけ静まり返り、そして——天をも突き抜ける、耳をつんざくような大歓声が爆発した!
万魔殿の数万に及ぶ精鋭軍、七つの大罪の幹部たち、そして遠路はるばる駆けつけた聖殿十字軍に至るまで、誰もが手にした武器を高く掲げ、狂熱と感動に満ちた絶叫を轟かせた。
立ち込める硝煙と塵埃が徐々に晴れていく。息を呑む人々に囲まれながら歩み寄ると、聖台の中央には、着地の衝撃がどれほど激しかろうとも、どれほど疲労困憊していようとも、メシアとディアブラがしっかりと指を絡め合わせ、決して解こうとしないその小さな両手があった。真龍のまばゆい金光と所羅門の指環の幽き青い光が、二人の指の隙間で交錯し合い、まるで永遠の誓約の如く輝いていた。
第三幕:衆人環視のなかの熱い口づけ
ディアブラ大小姐は全身の力が抜けたように少年の胸へと寄りかかっていた。普段は常に高慢でツンデレなその小さなお顔は、先ほどの魔力共鳴と極限の恥ずかしさのあまり耳たぶまで真っ赤に染まり、まるで熟れきったトマトのようだった。
彼女は双眸を上げ、自分のためにすべての災厄を防ぎ止め、その瞳に限りない優しさと慈しみを湛えた少年の保鑣を見つめた。
今度ばかりは、大小姐は強がりもせず、ごねることもなく、「神経が痺れた」だの「魔力が紊乱した」だのという下手な言い訳すら一切口にしなかった。
全軍の数万の兵士、魔神、そして仲間たちの熱い視線と拍手喝采のなかで、大小姐はすべての勇気を振り絞り、そっと背伸びをすると、両手で少年の首元を優しく、そして力強く抱き締めた。メシアもまた、その仕草に合わせるように力強い腕を伸ばし、彼女の華奢で小柄な身体をしっかりと胸のなかに深く抱き寄せた——
数多の人々の歓声と祝福、そしてあふれる涙のなかで、二人は深く口づけを交わした。
その瞬間、千年前の勇者と魔王の相次ぐ死という遺恨も、千年のあいだ繰り返された一千回に及ぶ輪回がもたらした孤独と悲しみも、すべてはストロベリーケーキの甘みと微かな涙の温もりに満ちたこの熱い口づけのなかで、完全に溶けて消え去っていった。
たちこめていた黒煙がすっかり消え失せ、天の端から差し込んだ一番初めの微光たる破曉の晨光が、温かく寄り添う二人の身影を優しく照らし出し、新しく生まれ変わったこの世界へと、永遠に色褪せぬまばゆい黄金の輝きをまとわせたのだった。




