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46 ローブの人物
アウレリウスの叫びが、森に吸い込まれたその瞬間。
ざわめいていた枝葉の音が、ぴたりと止んだ。
風も止み、鳥の声も遠のき――耳鳴りが、頭の奥で不快なほど大きく響く。
彼は息を呑んだ。
視線の先、朽ちかけた廃墟の入口に――いつの間にか、人影が立っていた。
全身を深いローブで覆い、顔どころか性別も年齢もわからない。
やがて、影は静かにこうべを垂れた。
「――お待ちしておりました」
アウレリウスは背筋に冷たいものが走るのを感じながら、反射的に振り返った。
さっきまで近くにいたはずの斥候たちも、ギルベルトも、カールも――誰一人いない。
「……あなたは?」
声が震える。
ローブの人物は、ゆるやかに顔を上げた。影に覆われて表情は見えないが、その声は落ち着き払っていた。
「オクタヴィア殿下がお待ちです」
その言葉に、アウレリウスの心臓が大きく脈打った。




