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ー43ー



視界が歪む。


魔力が底を着きそうだ。


魔力感知に回していた魔力を切る。


リリー様が居なくなってからずっと魔力感知を使い続けていたからだろうか、麻袋を一枚顔に被されたような感覚だ。


帝国の衛兵達が、この場に向かってきているはず。


早くドレークを連れて冒険ギルドに向かわなければ。


他人に手柄を盗られかねない。


鈍重な身体を動かし、視線を死体へと向けたはずだった。


「...いない?」


悪寒が走る先へと腕を出し、衝撃を受け止める。


体が浮き、壁へと叩きつけられる。


今ので肋と右腕が折れた、だがそれよりも確かに心の臓が止まったのを確認したはずだ。


「なぜ...」


黒色した部分ドレークの身体を覆い、腕部と頭部が肥大化している。頭部には角のような突起が生え、まるで悪魔の様だ。


「死んだはずだって?そうだ。ドレークは死んだ。丹精込めて育てたってってのによ。情けないぜ。」


「何者ですか。」


「俺の名前を聞きてぇのなら、教えてやる。冥土の土産だ覚えとけ簒奪の悪魔ラトゥールだ。」


首の根を掴まれる。


「お前は俺の大切な器を壊しやがったんだ。この毒に侵された身体も長くは持たねぇ。だからお前の身体を貰うぞ。」


「自分が頷かなければそれで終いでは?」


「嫌でも奪わせてもらうさ。」


ラトゥールは胸に腕を捩じ込み、体内からひとつの銀の匙を取り出す。


「カトラリー、俺達の核をお前の中にねじ込む。それでお前は終いだ。契約もクソもねぇ。自我の押し合いだ。」


腹部に匙を差し込まれるが、抵抗する力も残っていない。


魔力が奪われる。


「貰うぞ。新たな器を。ドレークを討ったその肉体を俺のモノに...。」


【Even if a nasty fly is arrogant, ignore the advice of a lovely child.】

【check the soul.】

【Start breaking down the soul.】


そこで自分の魔力が底を尽き意識が暗転する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー




何千年と世界に誕生してから幾度として渇望した肉体。


手に入れたとしてもしても十数年足らずで体が朽ちて使い物にならなくなってしまう。


物質に封印され幾度の時を跨いたが、人間の肉体では耐えうる素体を見つけ出すのは困難であった。


そのうち悪魔の一人がこう唱えた。


自然に産まれてくる人間に、有望なモノが居ないのであれば、俺達の手で育てあげればいいのではないか。


有用なスキルを与え、それを餌に欲深い人間と魂の契約を行う。


俺達は自分が顕現するに足る器が手に入り、人間は望みが叶う。


カトラリーに封じられた俺達の誕生を祝おうではないか。


俺達はその方針に賛同した。


俺は元々浮浪者出会ったドレークに眼をつけた。


欲に飢えたその獰猛な姿勢気に入った。


「力が欲しいか?」


俺はドレークに簒奪の能力を与えてやった。


対象の魔力を奪い、自身の魔力に加える能力を。


裏社会を牛耳る程にまで育てあげた、後は此奴の肉体を頂くだけ、それだけのはずだったのに。


この奴隷如きに、俺の育ててた肉体を壊された。


こんな腹立たしい事は久方ぶりだ。


此奴の肉体を奪ってまた育てなきゃいけねぇ。


此奴は必ずユニークスキルを持ってやがる。


彼奴が選んだ器のように、これで俺も同じ土台へと上がれるはずだ。


「これで俺ガァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”。」


肉体が引きちぎれるかのような痛み。


俺が痛みだと。肉体のダメージはこの身体を掌握する俺には来ない筈だ。


肉体が毒に犯されている訳ではない。ならばなんだ。


奴隷の餓鬼が抵抗しているのか?ありえない筈だ。


悪魔である俺が契約を介さずに直接精神を屈服させて体の自由を奪ったんだぞ。


精神を保てる筈がねぇ。


「だったらなんなんだ。」


「無粋な虫が入り込んだわね。」


「は?」


一面白に包まれた場所に視界が切り替わる。


トーガを纏う少女がたっていた。


いや...。


人間では無い。


「なんでここに...。」


「実に下らない。私の邪魔をした罪は重いわ。」


あ、ヤメーー




読んで下さりありがとうございます。


面白かった、続きを読みたいと思ってくださった方、是非フォロー、ブックマークをお願いします。


作者の決意の火に燃料が投下されます。


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