津井さんと話すこと
パニックになる雄一に津井さんからの返信メールが届く、先ほどまで、色々考えながら不安で部屋を歩き回っていた雄一は、メールを読んだ瞬間、ガッツポーズに変っていた。
「よっし! でも、これっって? どういうこと? でも、気になる津井さんに直接、話が聞けるよ!! 何か不思議だけど、まっいいかっっ!」
雄一は、家族に夕ご飯は食べずに、出掛けることを話す。外に出ると星空の中、街灯の所々の明かりがある道路を、高揚感のある早足で学園の校門に向かう。
目の先に、津井さんが先にスマホをのぞき込みながら学園の門前で待っている。雄一は少し声を荒げながら、津井さんに声をかける。
「あああ(なんて話そう)、津井さん、暑い(あツイ)な」
「あははは~ (あツイ)なにそれ~? ダジャレなの?」
「ああ、ダジャレじゃなくて色々聞きたいことがあるんだ」
下校時間の夕方の風景とは違い、夜の学園は星空と門前の照明と校内静けさがある。雄一達の側を、穏やかな風が吹き抜ける。津井さんが話しかける。
「雄一君、そこのベンチで話さない?」
「そうだね……うん」
ベンチは学園の門前の前にある、バス停の近くにあり普段はバスを待つ、生徒達が使う。学園前の夜はバスと人通りがほとんどない。
「今日、お昼に太子と僕で話して……」
「お昼? ん?? 雄一君どうしたの?」
「えっ? えっ? いや……津井さんが二人いて……」
「雄一君……そうなんだ……」
「今から……、おかしなことを雄一君に話すけど、聞いてくれる?」
「えっ? うん」
津井さんは少し考えた様子で、時間をあける。
「実は、雄一君……」
夜空の学園前の景色。ベンチで穏やかな風が吹く中、津井さんが身の回りで起きている、最近のおかしな出来事を僕に、淡々と話し始めた。