2つ山の山道
僕たちの目の前に、目的地の2つ山がそびえる。僕たちの想像した山より、ものすごく高い山だった、山頂が雲で隠れ全貌は見えない。その光景に、車内の空気が少し緊張した面持ちになる。ついに2つ山の近くまで僕たち5人は来ている。
「2つ山の近くまで来たね……」
オレンジ色の光の生徒が、僕たちに伝えたかったことが何なのか。出会ったときの想いと、僕たちがなぜここに登ろうとしているのかは不思議な感覚でもあり。答えはその先に僕たちが到達しないと分からないのかもしれない。車内でそれぞれの想いがある。2つ山の入山道に入る。
「♪ポーン リルートします」
突然、カーナビがリルート《進路変更》案内をはじめた。画面に表示されている方位の東西南北が安定せずに、僕たちの現在位置が道ではない場所を指している。
「あれ? さっきとカーナビの表示が変っているね……」
「ナビの案内が不安定になっている?」
「これはもしかして、さっきお姉さんが話していた方位磁石の現象?!」
「ちょっとやめて~怖いよ雄一君~」
「どうなってるの?」
今の僕たちに出来ることは、話をすることだけかもしれない。行き先はお姉さんの運転する車にゆだねられている。進むにつれて、道幅が狭くなり山道にさしかかる。不安になった氷川さんと、津井さん姉妹と、僕たちは、氷川さんのお姉さんのほうに視線を向ける。
「あれ~? ナビの案内する道って、これで……いいのかな……?」
運転するお姉さんの顔が、強張っている。その時に僕たちは嫌な予感がした。僕たちは思わず山道の異様な光景を口にする。
「なんか道が狭すぎて、怖い~」
「これ、向こうから車が対向したら引き返せないね……」
僕たちは車が山道を走るのにギリギリの道幅と、うっそうと茂る木々、周りの光が差し込まない暗い道でだんだん不安になってくる。
「もう~いやッス~……暗いッス……狭いッス……怖いッスぅ~……で~も帰れない~……」
運転する氷川さんのお姉さんが、山道に入る前と違う少し涙目の表情になって弱音を吐いている。僕たちはどうすることも出来ずに、しばらく声をかけることが出来なかった……。




