41話 襲撃
私とジェニファを囲んだ男の数は総勢10人。
皆、腰に帯剣している。
こちらは、ジェニファは帯剣しているが、私が懐に隠し持っているのは短剣で、数だけで見れば、こちらの方が圧倒的に不利だ。
「あんたら、宝石買ってきたんだろ? 殺されたくなかったら、それを渡せ」
顔に傷のある大柄の男が、ドスの効いた声で脅してきた。
だけど、私はこの程度なら、ちっとも怖くない。
「ふふっ、嫌だと言ったら?」
「こいつ、何を笑ってやがる。みんな、やっちまえ!」
男の号令で10人の男たちが一斉に切りかかって来た。
だが、鍛え上がられたジェニファの剣が、バッタバッタと男たちをなぎ倒していく。
私も短剣を懐から取り出し、剣を振り上げ襲って来る男の腕や足を切り裂いた。
「ギャー」と悲鳴を上げた男の腕や足から、血がドクドクと流れ出す。
私は俊敏な動きで、敵の刃をかわしつつ、間合いを詰めては、シュッと敵の身体を切り刻んだ。
ところが困ったことに、ベリードでいるために、今は上げ底のブーツを履いている。
いつもよりも、私の動きが若干鈍くなっているのだ。
そして間の悪いことに、倒れた男に足をとられ、ぺたんとしりもちをついてしまった。
その瞬間を見逃すことなく、別の男が切りかかって来た。
「しまった!!!」
私は身を守るために短剣を構えた。
だが、男は剣を振り下ろすことはなく、「うっ」と声を上げてその場にバタリと倒れた。
倒れた男の背中には、一本の矢が刺さっていた。
矢が飛んできた方向を見たら、屋根の上に私の師匠、ステイクがいた。
「まだまだ若い者には負けませんよ」
ステイクの矢は確実に敵を射抜き、これで勝敗は決まった。
10人全員をロープで縛り上げ、馬車に押し込み、ロウタス侯爵邸に連れて行くことにした。
警察に引き渡すこともできたのだが、ただの宝石泥棒にしては、あまりにもタイミングが良すぎる。
誰の差し金か、調べる必要があると思った。
ここはステイクの出番なのだろう。
この後のことを想像すると、なんだか敵の男たちが気の毒に思えてきた。
ロウタス侯爵邸に戻ると、私は兄とお茶の時間を持った。
いつも思うことなのだが、侯爵邸のメイドたちは、お茶を淹れるのが上手い。
応接室に、お茶の芳ばしい香りが広がる。
「ベリード、気に入った指輪は買えたのか?」
「ああ、良い店を紹介してもらったよ。これならキャロル様にも喜んでもらえるだろう。」
「で、いつ渡すのだ?」
「国王陛下に婚約のことをお許しいただかねばならないからね。一週間後に、謁見の場を設けていただくつもりだ」
一週間後、国王との謁見の日になった。
事前に謁見の内容も、婚約の条件も国王に手紙で知らせているので、本日はその確認が目的である。
謁見の間に通されて、私から挨拶をした後に、すぐに本題に入った。




