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至高の天にワンワンと  作者: 埴輪庭


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18/19

第一王子⑧(終)

 ◆


 エイレーネ・コロニーは地球から百光年先にある。


 百光年。この距離を実感できる人間はいない。光が百年かけて走る距離だと言われてもピンとこないし、太陽系から見てこと座の方角に約九四六兆キロメートルと言われても余計にピンとこない。人間の脳は六桁を超える数字に対して急速に興味を失う生き物であり、光年だの兆だのという単位はほぼ詩の領域に属している。


 だから、みくがエイレーネに到着したときの感想も至って平凡なものだった。


「おなかすいた」


 高速航路で十二日間の船旅。量子圧縮航法の船内は快適だったが食事は最悪だった。宇宙船の食事がまずいのは西暦二千年代のSF映画の描写そのままであり、四千六百年の技術革新はこの問題だけは見事に解決し損ねていた。栄養は完璧、味は壊滅的。これもまた人類の本質のひとつかもしれない。


 コロニーの到着ロビーに足を踏み出すと、窓の外にケプラー442bの巨大な夜面が見えた。地球より一回り大きい惑星が、薄い大気の向こうで静かに光を反射している。大気の層が複雑に光を屈折させて惑星の輪郭が青紫色に滲んでいるのが特徴的だった。


 みくは少しだけ足を止めた。


 きれいだと思った。それからコロニー内のバスに乗って、学生寮に向かった。バスの車内には商店街の広告が貼ってあり、ラーメン屋の新装開店と電子書籍の新刊フェアが告知されていた。百光年先にラーメン屋の広告があるという事実は、人間の生態の堅牢さを示す最も力強い証拠であろう。


 ◆


 エイレーネ・コロニーでの学生生活は、みくの想像よりずっと地味だった。


 宇宙植物学プログラムの学生は同期が二十三名。地球出身が九名、火星が五名、木星衛星圏が三名、太陽系外コロニー出身が六名。人類の拡散と定住がこれほど進んだ時代にあっても大学の教室はどこか似たような空気を纏っていて、前の席に座る学生のノートの取り方が気になったり隣の学生の貧乏揺すりが耳障りだったりする。六千九百年が経っても人間の小さな苛立ちは変わらない。


 みくの日課はこうだった。午前中は講義、午後はラボ、夕方は論文を読み、夜は寮の共有キッチンで地球から持ってきたインスタント味噌汁を飲む。味噌汁は百光年を越えても味噌汁の味がした。当然のことだが、これが結構な慰めになった。


 入学から三ヶ月後、最初のフィールドワーク遠征が組まれた。行き先はティルヴァス。


 エイレーネからティルヴァスまでは低速航路で約一週間。学生には予算がないので低速航路だ。だが一週間の退屈を差し引いても、ティルヴァスの地表に立ったときの光景は言葉を奪った。


 紫。


 地表を覆う薄紫色の靄の中に、結晶樹の森が立っている。


 高さ三十メートルに達する半透明の幹が紫の大気を透かして光を屈折させ、一本一本が薄い虹を纏っているように見えた。枝から伸びる板状の結晶が風に揺れて互いにぶつかり合い、硝子を叩くような音が森全体に反響している。


 植物ではない。鉱物でもない。その中間にあるものが、地球の樹木と瓜二つの形でそこに立っている。


 みくはしゃがみ込んで結晶樹の根元に触れた。指先にひんやりとした硬質な感触が伝わる。無機物の冷たさだ。だが内部では光化学反応が進行しており、結晶格子の奥で光のパルスが明滅するのが透けて見えた。


 ──つめたい。


 そんな自身の声が不意に浮かんだとき、みくの指が止まった。


 誰かの頬に触れたときの感触が一瞬だけ蘇る。


 みくは手を引いた。立ち上がって、靄の向こうの結晶樹の森を見渡した。


 百光年の彼方だ。ここには桂川も渡月橋もない。銀色の髪も、灰色の瞳もない。


 みくは息を吐いた。白い息にはならなかった。ティルヴァスの大気はそういう組成ではないのだ。


 ◆


 椎名透はみくの隣の席に座っていた。


 正確に言えば、入学初日にたまたま隣になっただけだ。だが大学というのは不思議なもので、最初の一週間の席順がその後の四年間の人間関係を決定することが往々にしてある。透はティルヴァスのフィールドワークでもみくと同じ班だった。


 二十歳の日本人。黒い髪、黒い目。特別に端正というわけでもなく、特別に目立つわけでもない。強いて特徴を挙げるなら、人の話をまっすぐに聞く癖があった。みくが結晶樹の収斂進化について三十分しゃべり続けたとき、透は一度も遮らなかった。


「椎名くんって地球環境工学からの転向だよね。なんで宇宙植物学に?」


 コロニー内のカフェで、みくが訊いた。


「工学って結局、問いを立てる前に解が決まっている学問だったんだよね。橋を架けるなら荷重計算、大気を浄化するならフィルタ設計。でも結晶樹は違う。問いそのものがまだ見つかっていない」


「わかる」


 みくは深く頷いた。


「何がどう分かってるかは答えづらいけど、椎名くんが何を言いたいのかはなんとなくわかる」


 透は笑った。穏やかな笑い方だった。意味もなく笑うタイプではなく、面白いと思ったときだけ笑う。みくはそれを好ましいと思った。好ましいと思ったことに、少しだけ後ろめたさを感じた。


 後ろめたさの正体をみくはまだ言語化できなかった。


 ◆


 一年が経ち、二年が経った。


 みくと透の距離はゆっくりと縮まった。フィールドワークの移動中に並んで歩くようになり、ラボで遅くまで残っているときに二人で食堂に行くようになり、休日にコロニー内の公園を散歩するようになった。


 透はみくに好意を持っていた。


 それはみくにも分かっていた。分かっていて、みくは何もしなかった。透が一歩踏み込もうとするたびに半歩だけ退く。逃げているわけではない。ただ、踏み込めない場所がみくの中にあったのだ。


 渡月橋。


 銀色の髪。灰色の瞳。


「……みく」


 あの声は今もみくの耳の奥に残っている。八年間ただ一度だけ呼ばれた自分の名前。それが何を意味するのか、みく自身にも分からなかった。分からないまま百光年の距離を越えてきた。距離が答えをくれると思っていたのかもしれない。だが百光年は百光年でしかなく、答えは落ちていなかった。


 ニヴィスは来なかった。


 一年が経っても、二年が経っても。


 至高天の民にとって百光年は瞬きの距離だろう。行こうと思えばいつでも行ける距離だ。しかしみくはそれを知らない。


 みくはニヴィスがそういった存在だと言う事を毛ほども知らないのだ。


 ◆


 二年目の晩秋に、変なことが起きた。


 エイレーネ・コロニーの気候制御系統に不具合が生じたのだ。コロニーの気候は中央管理システムが一括制御しており、気温も湿度も降雨も風速も精密にプログラムされている。住人が傘を持たずに外出する程度には信頼性の高いシステムだった。


 そのシステムがある日突然、雪を降らせた。


 十一月末のことだった。コロニー内の中央公園に白い粒が舞い始め、三十分ほどで芝生の上にうっすらと積もった。管理局は即座に原因調査に入ったが、結論は「不明」だった。気候制御の全パラメータは正常値を示しており、降雪指令を出したログも存在しない。にもかかわらず雪は降った。


 翌日には溶けた。管理局は不具合の修正パッチを当てた。住民は「珍しいこともあるね」で終わった。


 ところが翌年も降った。


 同じ時期に、同じ場所に、同じように。管理局は二度目の修正パッチを当てた。今度はシステムの根幹にまで踏み込んだ大規模な診断を行ったが、やはり異常は見つからなかった。降雪に関与する制御モジュールはすべて正常に動作しており、問題は「存在しない」のに雪だけが降るのである。


 管理局は報告書にこう書いた。「原因不明。ただし降雪以外の気候制御機能に異常は認められず、コロニー運営への実害はないため、引き続き監視を継続する」


 つまり、お手上げだった。原因が分からないものは直しようがない。しかし雪が降る以外に問題はないのだから、まあ、いいか──というのがコロニー管理局の公式見解だった。人間はだいたいのことには慣れる。三年目にはもう誰も驚かなくなり、「エイレーネの初雪」は季節の風物詩として受け入れられるようになった。


 ◆


 ところでみくにとって、この雪は違う意味を持っていた。


 最初の年。


 ラボの窓から見えた白い粒に、とある少年の姿を重ねた。


 そして二年目。


 雪が降り始めたとき、みくは廊下の窓際に立っていた。


 白い粒が落ちてくるのをぼんやりと眺めて、それからふう、と息を吐いた。胸の奥が痛むような感覚はあったが、痛みは少しはマシになっていた。


 透が隣に来た。


「また降ったね」


「うん」


「不思議だよね。原因不明の雪」


 みくは窓の外を見たまま、小さく頷いた。


「……不思議だね」


 不思議と言ったのは雪のことではなかった。自分がこの雪を見るたびに渡月橋を思い出すことが不思議だった。百光年を越えてきたのに、白い粒がちらつくだけで十歳に戻される。


 三年目。


 みくはまたもや展望デッキにいた。


 コロニーの外壁に設けられた展望窓からケプラー442bの夜面が見える。惑星の輪郭が青紫色に光り、その向こうには散開星団の微かな光が散らばっていた。デッキの天窓から、今年も白い粒が静かに落ちてきている。


 三度目の雪を見ながら、みくは不思議なほど穏やかだった。


 雪がコロニーの人工芝の上に積もっていくのを、展望窓の暖かい側から眺めている。


 透の研究発表があった日だった。結晶樹の光化学反応における量子コヒーレンスの持続時間に関する中間報告。みくには半分くらいしか理解できない物理寄りの内容だったが、透が嬉しそうに話しているのを見るのは好きだった。


 好きだった。


 その言葉がみくの中で響いたとき、同時にもうひとつの瞳が浮かんだ。


 灰色の瞳。


 ──『……大きく、なった』


 あのとき、ニヴィスは何を見ていたのか。


 みくは展望窓の前で目を閉じた。窓の外では雪が降り続けている。


 ニヴィスの瞳を思い出す。渡月橋の上で自分を見下ろしていた灰色の瞳。あの目は──何を映していたのだろう。


 同時に、透の目を思い出す。今日、発表のあとにみくを見つけて「どうだった?」と訊いてきたときの黒い目。


 二つの瞳が脳裏で並んだ。


 そして──ずれた。


 透の目はみくを見ていた。みくという人間を。二十一歳の、結晶樹に夢中な、味噌汁が好きな、ときどき方向音痴を発揮する、等身大のみくを。視線の高さが同じだった。同じ地面に立って、同じ方向を見て、同じものに笑う。


 ニヴィスの目は違った。


 見下すのではない。そうではない。見下すためには相手を認識する必要があり、ニヴィスの目にはそもそも「下」がなかったのだ。上も下もない。ただ、位置が違う。


 どう表現すればいいのかみくには分からない。分からないが、一番近いのは──水族館で深海魚を見ている人の目だ。深海魚のことを嫌いなわけではない。踏みつけたいわけでもない。ただ、硝子一枚を隔てた向こう側にいる。硝子は永遠に消えない。深海魚が何を考えているか知りたいと思うかもしれない。だが深海魚と恋はしない。


 三年分の雪が、みくの中で静かに溶けた。


 雪の中からあらわれたモノを感得するみく。


 そして──


 ──違う。


 と思った。


 そう、違うのだ。恋ではなかったのだ。


 みくは展望窓から離れた。窓の外ではまだ雪が降っている。来年も降るだろう。管理局には悪いが、みくはもうこの雪を嫌いではなかった。


 翌日、透がいつものようにコロニー内のカフェでみくを待っていた。


「みく、週末空いてる? コロニーの南区に新しくできた植物園があるんだけど」


 みくは透を見た。黒い目が真っ直ぐにみくを見ている。この目は知っている。この距離は知っている。同じ地面に立っている人間の目であった。


「うん」


 みくは答えた。


 十八歳のとき渡月橋の上に置いた小さな石ころを静かに拾い上げて、ポケットにしまいながら何となくみくは思う。


 もし。もし()()()()()()()()()()


 果たして自分は、透の目をこれほどまっすぐ見る事ができただろうか、と。


 ◆


 それから十年が経った。


 十年を一息に飛ばすのは乱暴だが、人生には語るべき十年と語らなくてよい十年がある。みくにとってエイレーネでの十年は後者だった。穏やかで、地味で、着実で、何かに脅かされることのない十年。劇的な事件は一つも起きなかった。


 みくは二十八歳になっていた。


 宇宙植物学の研究者として一人前になり、エイレーネ・コロニーの研究機関に正規のポストを得た。専門はティルヴァスの結晶樹。収斂進化の問題に対して「光合成効率と構造安定性の物理的制約が形態空間を収束させる」という仮説を提唱し、六つの地球外生態系で比較データを集めた論文が学術誌に掲載された。結晶樹研究の一角を担う若手研究者として、みくは静かに名前を知られつつあった。


 透は隣にいた。


 研究者としても、それ以外の意味でも。二人の関係をここで詳しく語ることは控えるが、コロニー内の住居区画で二人分のコーヒーカップが台所に並んでいるという事実だけ記しておけば十分だろう。


 ニヴィスのことはもう考えなくなっていた。


 忘れたわけではない。ただ自然に、京都の記憶が堆積物の下に埋もれていった。


 渡月橋の手触りも桂川のにおいも、銀色の髪の冷たい輝きも。消えたわけではない。地層の下に静かに在る。掘り返せば出てくるだろう。だが掘り返す理由は今のところないし、今後もないだろう。


 まあ乱暴に埋めたなら、何かの拍子で埋めたものが露わになってしまう事もあるかもしれないが。しかしとても綺麗に、丁寧に埋められたそれらは今後も地表にあらわれる事はないはずだ。


 ◆


 西暦六千九百三十三年。みくが二十八歳の秋のことだ。


 ケプラー442b星系の小惑星追跡システムが、一つの天体の軌道異常を検出した。


 テミス2990。直径四百メートルのケイ酸塩小惑星。この星系の小惑星帯に属する特に珍しくもない岩塊だったが、軌道計算によればエイレーネ・コロニーから約八万キロの距離を通過する予測が出されていた。八万キロは宇宙的には至近距離であり、万が一の軌道変動に備えてコロニー管理局は「注意報」を発令した。


 結果から言えば何も起きなかった。


 テミス2990は予測された軌道を逸れ、ケプラー442恒星の重力圏に捕らえられて周回軌道に遷移した。コロニーの至近を通過するどころか、恒星の方へ落ちていったのである。コロニー管理局が発動した避難計画はキャンセルされ、住民は「ああ、そうですか」程度の反応で日常に戻った。


 管理局の事後報告書にはこうある。「当初の軌道計算モデルでは恒星重力圏への遷移確率は〇・〇四パーセントとされていたが、星系内の微小天体との重力相互作用が予測を超える規模で生じたものと推定される。なお、本事象は自然現象の範疇であり、人為的介入の形跡は認められない」


 〇・〇四パーセント。ちなみに後日の精密再計算では、テミス2990が当初の軌道を維持した場合、エイレーネ・コロニーとの最接近距離は約三千二百キロまで縮まる可能性があったという。三千二百キロは「注意報」ではなく「非常事態宣言」の閾値だ。さらにごく低確率ではあるが直撃のシナリオも排除されていなかった。


 が、まあ──そうはならなかった。


 小惑星は恒星に落ちた。コロニーは無傷だった。みくの論文は締切に間に合い、透は新しいコーヒーメーカーを買い、南区の植物園では新種の火星蘭が咲いた。


 宇宙の天気予報は地球のそれと同じくらい当てにならない。〇・〇四パーセントの方に転がることもある。たまたま。偶然。天体力学のちょっとした気まぐれである。


 ・

 ・

 ・


 ◆


 プルーウィアが「あら」と言った。


 ここは至高天が住まう星でも地球でもない。何だったら宇宙ですらもない──いうなれば、何処でもない場所だ。


 彼女はそこが好きだった。なぜなら、静かだから。


 全宇宙のあらゆる場所に存在するというのはプルーウィアの愛すべき個性であるが、それゆえの悩みもある。


 だからこそ分かるのだ──ふ、と冷たい風が吹いた事が。


 吹けばどうなるかまでは彼女にはわからない。


 もしかしたら宇宙がなくなってしまうかもしれないし、最近贔屓にしている地球がいきなり爆発してしまうかもしれない。


 そうなってはさすがにプルーウィアも困る──というか、嫌なのだが至高天にも()はある。ゆえに止めようがない。


 でも、とプルーウィアは思う。


「悪い事にはならないでしょう、多分」


 と。


 なぜなら彼女は『銀河万象があの愛すべき弟にとっての()()を為す』事を知っているからである。


 ならば、きっと──。


(第三部・完)




王子様編はこれで終了です。まあまた何か思いついたら続きを書きますので、完結表記にはしないでおきます。良かったとおもってくださったらブクマ、評価のほどお願いします。

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一月中に書いた作品のリンク色々

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よくある聖女召喚の連載版
西暦六九一〇年、宇宙歴四六四九年。かつて人類が「地球」と呼んだ惑星はいまや銀河系有数の文明圏の中枢として、その青い輝きを宇宙に放っていた。
軌道上には無数の宇宙港が浮かび、一日あたり数十万隻の船舶が発着する。
月は完全にテラフォーミングされ、火星には三億の人口が暮らし、木星の衛星群は太陽系経済の生産拠点として機能している。
しかしそれでもなお!!……人類は犬であった。わんわんと吠え、飼い主──至高天と呼ばれる上位存在に“可愛がられている”。
圧倒的上位存在に人類が愛玩される話が好きな人向け。
「至高の天にわんわんと」

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「なんか説得力のある婚約破棄」(※ランキングタグにリンクあり)の後日談。
どうしようもない政治情勢で婚約を破棄せざるを得なかった王太子エルリックと公爵令嬢ライラ。
二人は優秀であり、優秀であるがゆえに道理を通せば国が滅びると理解し、愛を諦めたのだ。しかし──
「なんか説得力のある元鞘」

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ここ最近、ランベール王国ではしょうもない理由での婚約破棄が流行している。
麗しき公爵令嬢ライラ・オーネストはそれを苦々しく思っていた。
だがそんな彼女もある日、婚約者であるエルリック王太子から婚約破棄を告げられてしまう。
しかしその理由は真実の愛を見つけたからでも、ライラに愛想がないからでもなかった。
「なんか説得力のある婚約破棄」

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(長編)魔力が絶対の価値を持つウェザリオ王国で「無能」と断じられた王子シャールと公爵令嬢セフィラ。
しかし彼らには万物を操る未知の力があった。
元王子と聡明な元令嬢は国を捨て、追手を退け、辺境の街で冒険者として再起する。
【ジャンル】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
(長編)「追放された王太子と公爵令嬢が冒険者になる話」

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アイドルはうんちをしない。
これは比喩でも誇張でもなく、文字通りの事実である。
彼女たちの体内に入ったあらゆる物質はどのような毒性を帯びていようと完璧に無効化され、吸収されてしまう。
そんなアイドルが、アイドルたちが世界を救い、そして破滅させる話。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「アイドルはうんちをしない」

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ここ最近、ランベール王国ではしょうもない理由での婚約破棄が流行している。
麗しき公爵令嬢ライラ・オーネストはそれを苦々しく思っていた。
だがそんな彼女もある日、婚約者であるエルリック王太子から婚約破棄を告げられてしまう。
しかしその理由は真実の愛を見つけたからでも、ライラに愛想がないからでもなかった。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「なんか説得力のある婚約破棄」

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「品」──それが僕と亜里沙の決定的な違いだった。
亜里沙は二年付き合った恋人だ。
でも彼女は何をやるにも雑だった。
料理も、紅茶の淹れ方も、そして僕らが共有する「ある趣味」においても。
過程を楽しむことを知らず、すぐに結果だけを求める。
僕は彼女との日々に疲れていた。
だがそんなある日、見知らぬ男から届いたとあるメッセージ。
そこには、彼女のあられもない姿が映っていた。
そう、NTRという奴である。
怒るべき場面で僕が感じたのは、ただ一つの確信だった──やはり、彼女とは性格が合わない。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「性格の不一致」

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信長公記、ほぼ史実。
【ジャンル】歴史〔文芸〕
「森蘭ギャル」

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殺すことだけを教え込まれた軍人アシェルと、人の本心を見抜く力ゆえに孤立してきた王女キュルケ。
幼い頃から奇妙な絆で結ばれていた二人だが。
【ジャンル】異世界〔恋愛〕
「後の月」

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呪いの動画を見てしまった。
私は一週間後に死ぬらしい。
でも大丈夫(?)。
地球が三日後に滅びるそうだから、怖くない。
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「メテオリック・エクソシズム」

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勇者が魔王を倒そうとしなかったらどうなる?
【ジャンル】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
「勇者に放置された魔王の末路」

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男の生きざま、恋情。
ハーメルン、カクヨムから転載
【ジャンル】現実世界〔恋愛〕
「ウィdンドウショオポイング」

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帝都ティランの会員制サロン「銀枝亭」に集った五人の貴族たち。
話題は庶民の間で流行する「婚約破棄譚」への痛烈な批判だった。
設定の杜撰さ、人物造形の稚拙さ、読者の被害者意識……
舌鋒鋭い文芸誌編集主幹カタリナを中心に、知識人たちは存分に嘲笑を重ねていく。
だが談話の果てに浮かび上がったのは──
【ジャンル】純文学〔文芸〕
「阿呆鳥の連環」

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職場のパワハラに苦しむ会社員・彩乃は、高校時代にいじめた相手・美月から勧められ、ストレス発散のため呪いグッズをフリマアプリで販売し始める。
しかし購入者たちが語る「被害者の声」は、かつて自分が加害者だった過去を否応なく突きつけてくる。
美月は許してくれた。
でも、許されていいのだろうか?
罪悪感に蝕まれ、眠れない夜を重ねる彩乃。
やがて購入者たちの呪いの対象に「報い」が訪れ始めたとき、彼女はある決断を下す。
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「ノロイ、ノロワレ」

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ハルシオン王国──二百年前、この国は極度の男尊女卑社会であった。
女には相続権がなく、教育を受ける権利もなく、結婚相手を選ぶ自由さえ与えられていなかった。
女は道具であり、家畜であり、男の所有物に過ぎなかったのだ。
だが今は違う。
一部の男が──そして多数の女が国のあり方を変えた。
だが今度は逆の方向へ振り切ってしまっている。
ちょっとした事で「罪を償うために」と次々自裁していく男たちを前に、女王リディアをはじめ、女たちは社会の在り方を変えようとする。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
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剣士カイトは勇者アルヴィンから追放を告げられた。
そして──!!!!!!
【ジャンル】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
「意識高い系勇者パーティから追放された俺の末路」

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ある日を境に、日本中で不可解な事故死が激増した。
一人でいると死亡率が跳ね上がる異常事態。
国民すべての運が急激に悪化したのだ。
かつて「他人と関わるな」が常識だった社会は一変し、人々は見知らぬ者同士で命を預け合うようになった。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「運の尽き」

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妻を癌で亡くして以来、男は自分が生きているのか死んでいるのかすら判然としないような日々を送っていた。
だが故人をAIで再現するサービスを知り、膨大な写真やメール、声の記録を入力して亡き妻を蘇らせる。
画面越しに再開した会話は空虚だった日常を少しずつ温かく満たしていく、が。
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「電影」

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銭湯「和居の湯」は、今や肉欲に飢えた男たちの極上の「ハッテンバ」と化していた。
番台から地獄を睨む店主・鬼切殺牙太郎(おにきりごろし がたろう)。
彼は堕落した獣たちへ静かに殺意を研ぎ澄ませていく。
そして我慢の限界を超えた夜、牙太郎による獣狩りの夜が幕を開けた。
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「野獣必殺」

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「愛している」——その言葉と共に、母の刃が私を貫いた。
過保護な母に命を奪われた絵里が転生したのは、乙女ゲームのような異世界。
伯爵家の令嬢エリスとして第二の人生を歩み始めた彼女を待っていたのは、お約束の婚約破棄だった。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「愛の温度」

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時は大霊能時代!
悪霊、死霊が跋扈するようになり、治安は悪化し、世界中、不穏な事ばかりのサイテーな時代である。
霊務省は昨今悪化しつつある住宅事情、および国民感情を改善すべく、酷く悪趣味な戦略を考案した。
そのクソみたいな内容とは──。
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「ポイズン・エクソシズム2」

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ドラゴン相手に示談交渉、悪党には損害賠償。
法の力で世界を論破する、リーガル・バトルファンタジー。
【ジャンル】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
「悪徳弁護士、異世界へ行く」

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「私たち四人は対等なの」──女の提案で始まったのは、三人の男が一人の女を共有する異常な日々だった。
弁護士の真司は漁師の啓二、バーテンダーの了と共に、愛する妻・莉子と暮らしている。
かつては嫉妬に狂い、互いに殺意すら抱いた男たち。
しかし奔放な妻に振り回され、同じ苦しみを共有するうちに、敵同士だったはずの三人の間には奇妙な連帯感が芽生え始める。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「オープンマリッジ」

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ジャズの良さがさっぱりわからん
【ジャンル】エッセイ〔その他〕
「ジャズとかよくわからん」

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時は大霊能時代!
悪霊、死霊が跋扈するようになり、治安は悪化し、世界中、不穏な事ばかりのサイテーな時代である。
日本でも霊務省が死刑囚を呪いの物件に送り込み、悪霊に始末させることでコストを削減するという悪趣味な制度が採用されている。
そんな中、ベテラン執行官・大佐貫はいつものように凶悪犯の処理に向かうのだが──
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「ポイズン・エクソシズム」

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ちょっとトッぱずれた世界観の短編を集めました。
目次──各話の簡単な概要は第一話の前書きに。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「トンチキな作品を集めた短編集」

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夕暮れの駅のホーム、今にも線路へ吸い込まれそうな女性に男は全力で体当たりを食らわせた。
男の名前は藤巻俊一。
いわゆる、「ぶつかりおじさん」である。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「感電」

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夜ごとに星が降る美しい国で、欲しいものは何でも手に入るワガママ王子。
ある日、メイドの大切な形見を無慈悲に捨てた彼は王の怒りに触れ、身一つで城を追い出されてしまいます。
孤独な旅の果てに王子が見つけたものとは
【ジャンル】童話〔その他〕
「星のきらきら」

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電柱が自らの意思で根を張り、街を闊歩するようになった日本。
かつての大反乱を経て、人類は彼らとの奇妙な共存関係を築いていた。
人間とコンクリートの間に立ち、摩擦を仲裁するのが「電柱保安調整官」である佐山の仕事だ。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「電柱街」

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不同意性交は死刑!!
そんな社会で男と女が恋をする。
【ジャンル】現実世界〔恋愛〕
「君と僕の同意性交」

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冒険者パーティ『碧空の翼』の荷物持ちバジルは醜く無能な中年男だ。
そんなある日、彼は仲間に囮として森に捨てられた。
絶望の淵で彼が手にしたのは、若き美女へと変貌する奇跡の力であった。
復讐を誓ったバジルは美貌の魔術師「ジル」となり、かつて自分を見下した男たちの前に現れる。
何も知らない男たちは、かつて蔑んだ男とも知らず、彼女の愛を求めて争い、堕ちていく。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「無能な中年男、男をたぶらかす魔女となり、自分を捨てたパーティメンバーに地獄を見せる」

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鬼塚剛志は現場監督として赴任した京都で、正体不明の敵に精神を削られていた。
それは「京都弁」という名の、本音と建前が入り混じる魔宮であった。
職人の笑顔の裏にある真意が読めず、挨拶すらも攻撃に聞こえる日々。
蓄積されたストレスと疑心暗鬼が限界を超えた時、男の拳が禁断の解決策を選び取る。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「京都殺拳地獄(きょうとごろしこぶしのじごく)」

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産後豹変した妻・絵里奈の苛烈な叱責に追い詰められる夫、洋平。
家庭に居場所を失った彼は怒りを糧に「完璧な仕事と育児」をこなして自らを死へ追いやるという狂気的な復讐にも似た自滅の道を歩み始める。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「夢の轍」

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太平洋戦争架空戦記。
【ジャンル】歴史〔文芸〕
「白い悪魔」

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甘い嘘よりも、冷徹な罵倒を。
裏切りの果てに少女が抱いた歪で抗いがたい執着の物語。
【ジャンル】異世界〔恋愛〕
「花弁」
― 新着の感想 ―
本当に良い作品ですね 往時の筒井康隆のような、シニカルなリリシズムを感じます でもあの頃の狂騒的なSF群にはない埴輪庭さん独自の表現、もともと二人称や三人称のとてもうまい叙述が、さらに高みに進んでいる…
嵐山の四季も、ラベンダーの星も、そこに降る雪も。情景がとても美しいですね。並行世界のウイルスには「ひぃぃ」となりましたが(笑) それらを背景にし、鷹市やシュリンプすら脇役にした物語は、至高天的「甘酸っ…
ニヴィスくんにとってもみくちゃんとの出会いが良きものになっていそうで良かった。
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