中華丼
んじゃ、これで鳥の飼育場は完成ですね。
帰りましょう。じゃあねみんうわー!
…鶉や鶏や鴨や白鳥にのしかかれました。
身体中を甘突きされてます。くすぐったい。
ツリーさん助けて。
「(メサイヤに集られる人だから 鳥くらい来るわよねー)」
私が何かしましたか?
「(存在が罪)」
なんですか?その耽美主義的な言葉は!
陽が傾いて来たので、やっとみんな帰ってくれました。
というか、水鳥達も畜舎に入って行くんですけど。
白鳥とか水上で休むイメージがあるけどなぁ。
帰りものんびりと馬くんで帰ろうとしたんですが、馬くんが草を食む背後の木に黒く薄っぺらい物が見えました。
これはもしかして?
キクラゲの野生種ですね
勿論、食用に問題はありません
いよっしゃー。キノコをまた発見!
試しに作った椎茸木花は、マタンゴみたいな事になって大繁殖してるそうだし、
キクラゲや舞茸の栽培が出来れば、森のメニューが広がります。
とりあえず何枚かナイフで切り取り今晩のおかずに。
でも、キクラゲなんかここに生えてたかな。
「(川を引いたから 適当な湿気と適当な日陰具合で一気に生えた 多分)」
多分?
キクラゲと鶉の卵ときたら、後は豚肉・白菜・人参・ヤングコーンを塩と各種スープの素で炒めて、餡をかけます。
炒飯皿盛ったご飯にかけたら中華丼の完成です。イカやエビで海鮮中華丼にするも良し。
本日の晩御飯は決定ですね。
馬くんは器用に空を駆け上り、自分で馬小屋に帰りました。厩舎からは家に入れるドアがあります。姫さんにリクエストされたので適当にこさえたんですけどね。
仕事帰りの兵隊さんに敬礼されながら。
で、帰って来てみれば、なんだこりゃ。
我が家がレシピ本で埋まってるじゃないか。
チビが本で遊んでるぞ。こら。
姫さんは相変わらずぱんつ丸出しで寝転がってるぞ。
「あ、おかえりなさいませ旦那様。」
「第一回妻会議、中華丼の副菜は何が相応しいか!ほら、ツリーも来なさい。」
「(う、うん)」
なんですか?なんなんですか?
「メサイヤの1人が今晩の献立は中華丼と教えてくれたので、中華丼とはナンジャラホイ。
それに見合うおかずと汁物は何が良いか、ミクと調べてたの。」
で、部屋の中はこの有り様と。
「大奥の管理は正妻の務めなのです。」
私はまだ独身なのです。
「考えてもみなさい。今後大奥にはサリーとアリスが加わります。サリーの事だから問答無用でトールさんに襲い掛かりそうだし、アリスはミクとキャラが被ります。」
「私はお姫様と言ってもお嬢様キャラも世間知らずキャラも全部中途半端なのですわ。なのにあのアリスさんと来たら、なんかこう凛々しく清純な騎士キャラ立ちが見事で、姫?何それ美味しいの?ですわ。私の方が若いし男性経験無いと言うのに。先っちょだって綺麗な桃色なのに。仮にアリスさんに男性経験があったとしても向こうの方が断然処女っぽいのはどうしてでしょう。」
そりゃ幾ら先っちょが桃色でも、普段からエロ本読んで変態発言するお姫様よりはねぇ。
「大体、姫は懐紙を枕元に置き殿方を静かに床で待つイメージなのですが。女騎士と言えば必殺の“くっころ“がありますからねえ。あれはお子様な私では出来ないスキルですわ。」
ミズーリさん?姫さんの知識がどんどんマニアックな方に堕ちているんですが?
「私じゃ無いわよ。ミクが取り寄せてる本がそういう傾向になってきてるだけです。」
分かりました。姫さんは時々脇腹を突いてあげますから、精神管理も頼みますよ。
「私もたまには突いて下さいな。」
全く。中華丼の餡が変にいやらしく感じてきました。
なんならワセリンとかローションとか用意しますよ
リセットしますよ万能さん?
調子に乗りました ごめんなさい
妻会議は自称・妻達に任せて(ほったらかして)貰ったうらら(鶉)の卵とキクラゲを取り出します。
キクラゲは水洗いして汚れを落とし、卵はそのまま茹で卵にするため鍋に落とします。
人参(私は皮を剥かない代わりによく煮込むのが好き)白菜と、さて豚肉はどうするかな。
コマ肉もいいけど脂身があると食感が変わって良いんだよな。うん脂身付きで。
ヤングコーンと姫さん印の筍の水煮を半口サイズに切り分けると、中華鍋で酒、中華スープ、鶏ガラスープ、醤油で味付けしながら炒めます。ここはやはり大火力でしっかりと。
全ての食材に火が通ったら、水溶き片栗粉を流し込み鶉の卵を加えて、塩胡椒で味を整えれば、私特製中華丼の出来上がり。
特徴は、豚肉が少し大きめなのと卵が沢山乗ってる事。
街の中華屋の中華丼は鶉の卵が一つしか乗って無いのが残念だったので、親の仇の様に沢山乗せました。
親は生きてて、死んだのは私だけど。
あと、私の仇はそこでザーサイを切ってるポンコツ女神だけど。
「お豆腐お豆腐お豆腐スープ♪」
姫さんはご飯を炊いて豆腐をいじっていれば笑顔になるお安いお姫様なので、レシピ本から朧豆腐を使った中華スープを選んであげたらご機嫌です。
新しい豆腐の存在を知り、卵・椎茸・ネギを刻んで中華スープの素で煮込むだけという手軽さもお気に入りに登録されたみたい。顆粒出汁や顆粒スープをおねだりされたのて、シンク周りに並べておきましょう。
妻会議とやらで激論になったのは、副菜を焼売にするか餃子にするか、だそうです。
なにかと平和だな。我が家。
中華丼は味付けが濃いめだから、肉焼売にして醤油・辛子抜き。シンプルに焼売だけをおかずに食べましょう。と提案したらツリーさんが
「(焼売は皮が命)」
と、薄力粉と強力粉を要求されました。
皮から作るんかい!
あと、蒸籠が普通にある我が家も我が家ですが、蒸籠を器用に使いこなす身長20センチな森の精霊って多分どこかおかしい気がします。
因みに八宝菜は我が家の定番メニューになりました。五目なんとかは姫さんの担当になり、ラーメンや豆腐だけで無くそこら辺の料理にザバァっとかけては
「失敗ですわ。お魚の煮物には合いませんのね。」
とか
「炒飯には良く合いますわね。でも、トロミと味付けを調整するのが難しいですわ。」
とか毎日賑やかに調理姫になりました。で。
「旦那様何とかしてください。リカバリー出来ませーん。たーすーけーてー!」
だからレシピ本にあるものをレシピ通りに作りなさいよ。




