道場と鳥牧場(何だそれ)
既に引越しを終えて、使用していない元・東部方面軍駐屯地のうち人気が完全に絶えた司令部跡と食堂厨房跡。
ここの建物を解体し(建材として何かに再利用しましょう)、およそ50畳の武道場を建築しました。
普段は板張り床ですね。幅15センチ程の木で床を貼りワックスを掛けておくので、結構光輝きます。
発泡スチロールに畳表を貼った軽量畳も40枚作って隅に置いときます。
道場ですから正面には神棚を作ります。
酒・水・榊を左右に控えて丸い鏡を前面に置き、背後にお札を配置するわけですが、何しろこの世界には「神」と言う概念が無いんでした。どうしようかな。
天照大神を中心に、右に大樹大明神・左に救世大明神とでっち上げでみたんですがね。
言うまでもなく、ツリーさんとメサイヤちゃんという高位の存在に適当に神格神名をつけちゃったものです。
一応、私達の中には本物の女神様がいるんですが、そのへっぽこさんはというと。
「いいこと?ミク。これが前周り受身。こうやって回った時に畳をポンっと音を立てて叩くの。こうする事で転倒した時に怪我を防ぐ事が出来る訳。」
「なるほど。私が習った軍の格闘術とはちょっと違います。やられた時の事は習いませんでしたわ。」
なんで君ら、柔道着を着て受身の練習してるの?
「何ですか?ここは?」
誰かが入ってきました。おや、カピタンさん。
気が付きましたか。
「まぁ人がちょっと気を失っている間に建物を建て替えちゃうとか閣下くらいだと思ってましたけど、やっぱり閣下でしたか。」
竹刀を頭に乗せたら失神する軍人ってのはどうなんですかね?
「…考えてみれば我が軍は閣下の前に玉砕した訳ですから当たり前でしたね。」
王子さんは?
「まだ寝てますよ。」
大声出したら気絶しちゃうとかねえ。
「それにしても…。」
あ、てい!
土足で上がろとしたので手元の竹刀で磔にします。
「ここは武道場です!土足厳禁です!」
「あーあー。カピタンさん?駄目ですわ駄目。武人として失格ですわ。」
「…姫閣下様。助けて…」
天井に竹刀で吊り下げられた東部方面軍大将を帝国第四皇女が突いて遊んでます。
「カピタンさん。軍靴を抜きなさい。ここは基本裸足です。でなければ足袋です。」
…足袋ってあるのかな?ないだろうなぁ。
改めて軍靴を脱いだのでカピタンさんを迎えます。
ここは文字通り武道場です。剣術(剣道)と体術(柔道)で心身を鍛える事を目的とする施設です。
「ここは森の中なので、確かにそう言った施設はありませんでしたね。軍の基地によってはあるところもあるのですが。」
キョロキョロと室内を見回していたカピタンさんは、やがて正面に気が付きます。
そこには舞台と打楽器(和太鼓)が置かれ、ミク・フォーリナーの紋章旗が置かれています。さすがに「特別な場所」という雰囲気は感じたのでしょう。
舞台には上がらず、その手前で観察し始めます。
「一応そこは特別な場所ですが、カピタンさんくらいの職位の方ならよろしいと。まぁ姫さんに聞いてください。」
「私もなんだかわからないんですが。」
ここは言うなれば清浄な聖域と考えて下さい。
私の国では偉大な功績や皆の手本となるべく清潔な人生を送った方々、そして大いなる自然など、凡人の思考が及ばないものを敬い感謝する考え方が有ります。
我と我が家族・仲間が平穏無事な生活を送る事への願いと、上を目指すものには指針となるべき存在、その象徴があの神棚なんです。
象徴は常に頭上にあり、我々を見守ってくれるもの。
だから一段高い舞台を作り、更に一段高い場所に祭壇を作って、この道場で一番偉い者と貴ぶ訳です。
そこには姫も将軍も有りません。
例えば森の精霊や幻の霊獣に人間如きの職位なんか意味を成しませんよね。
しかし、人を指揮し導く時高い場所から人々を見つめる事も必要です。
だから職位に応じて聖域に上がる必要もあるでしょう。
カピタンさんや姫さんはその資格があります。
ただし、高貴な者には高貴な義務・役割があります。この聖域を清浄に保つ事。
祭壇の水を換え、榊を変え(後で探さないと)埃が溜まらない様に掃除をして下さい。
…だから姫さんは何で土下座してんですか?
「皇女たる私よりも偉い存在だと認識しましたので。」
あそこに祀られてるの、ミズーリとツリーさんとメサイヤちゃんだと知ったらどうなるかな。
「ついでだから、ここでミーティングしちゃいますか。」
と言うカピタンさんの申し出を受ける事にしましょう。
まず第一に
どどん!
ミズーリさん、太鼓で合いの手入れないでいいですから。ほら、カピタンさんが心臓を押さえて蹲ってる。
「だらしがないと思うの。」 どどん。
「あ、アレはなんですか?」
私の国の楽器です。大声を張り上げなくとも合図が遠くまで届くでしょ。
戦場や稽古中に使うと気合いが入るでしょ。
「な、なるほど。出来れば予め教えて頂ければ助かります。王子なら、また気絶しちゃいますから。」
困った王子様だなぁ。
さて、牧場の隣にうらら(鶉)と鶏の飼育場を作ったので、世話係を増員する事。
と言っても餌の補給と卵の収穫くらいだけど。
あとは、糞の回収ですかね。燃料や肥料になりますから。
え?なんですかツリーさん?
「(これ)」
えーと。抱っこしてるのは鴨に見えますけど?
「(捕まえてみた よく増える 本人も育成を希望してる)」
「えーとカピタンさん。うらら、鶏に続いて鴨も飼育が始まります。」
「(鴨は池を作れば勝手に飛んでくる あと白鳥も)」
「渡り鳥の様な気もするんですが。」
「(今更 マスターのいるところみんな来る)」
「あー。カピタンさん。なんか色々飛んで来るらしいので世話をお願いします。」
「あまり分かりたくも納得したくもないんですが分かりました。」
「厩舎と世話係小屋は牛牧場と同等のものを作っておくので、明日からお願いします。」
やれやれ、馬くん。もう一仕事行こうか。
ミズーリと姫さんは帰宅してご飯を炊いといて下さい。卵を沢山貰ったから献立を考えときます。
では、ツリーさん馬くん行きましょう。
「(オッケー)」
行きましょうぜ
またここに帰ってきました。精霊さん達は帰った様で、鶉と鶏が走り回ってます。
では、牛牧場と背中合わせに世話係用の小屋と厩舎をぽいっとね。
厩舎は幾つかの部屋を作り、柔らかい麦藁を敷き詰めて、餌(万能さんから取り寄せた現世市販品)と新鮮な水をいつでも飲める様に引いておくと
早速コッココッコと言いながら鶏が検分に、隣には鶉の皆様がもう寝転がってます。
いや、君ら鳥って普通寝転がらないでしょ。
なんというか、君らの野生はどこ行った?
自分達の巣の準備は本人(本鳥)達に任せると、私は再び外へ。
鴨を抱えたツリーさんもついてきます。
鴨ならば水場が必要になるからです。
と言っても直ぐそばに川を流して居るので、そこからクイッと水路を回して途中に丸い池を作りました。
…作ったら次から次へと鴨が飛んできました。まだ完成してないのに。
クワクワと賑やかに嬉しそうに顔を池に潜らせて餌探し。まだ何も居ないと思うんですが。ってなんか食ってるな。
ヤゴか。見せてくれなくてもいいからゆっくり食べなさい。
て言うか鴨多くないか。ありゃ白鳥だな。
えーとアヒルって自然種じゃないよなあ、何故居る⁈渡り鳥大集合か。
仕方ない、敷地を縦に伸ばして(川や土塁に囲まれてるからね)柵をさっくり(駄洒落)広げます。
これは鳥達の脱走防止と言うよりは、猪避け。
あと猛禽類がこの森には居たよね。
ツリーさん曰く「(ここの鳥は襲わない)」そうなので、いいかあ。いいのかな?
池の面積をガッと2倍に。少し土地全体に傾斜をつけて池にも常に流れを作ります。
こうすると水底に泥が溜まりにくいのと、魚が来る。今んとこ見当たらないけど、どうせこっちまで来るんでしょ。
なんかメサイヤちゃん達盛り上がってたし。
おお、みんなして上流に向かい泳ぎ出してる。
あとは我が家の鳥達なら大丈夫だと思うけど、池や川に落っこちるお間抜けが居ないとも限らないので、水際の傾斜を緩やかに調整します。
こうして鳥類牧場が出来上がりました。
繁殖を考える以前に勝手に何処からかやってくる謎の鳥達ばかりですが。




