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神々の無責任な後始末  作者: compo
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起きた。


私がこの国に来て、先に寝るのは多分初めての事だろう。起きたのは良いけれど。

右手にミズーリ、左手に姫さん、髪の毛にツリーさんが絡み付いているんだけど。

それも全身全霊でガッツリと。

夕べこの子達は何してたんだろ。


全く。おはよう!起きますよ。


…重たいと思ったらチビまで私のお腹で寝ているじゃないですか。

娘達とチビが全員揃って大欠伸。朝ごはんにしますから、全員顔を洗ってらっしゃい。


今朝は魚が食べたい私です。

昨日は肉ばかりだったし。


鯖にしようか鰯にしようか。


そういえばこの世界では鮭を食べてない気がする。

食べたかもしれないけど、鮭が浮かぶと鮭以外に考えられなくなった。


鮭は切り身を小骨を丁寧に処理してレンジでチン。

中まで火が通ったら、塩胡椒をかけてフライパンで軽くバター炒めに。 

塩分過多な真っ白塩ジャケも良いけど、(身体つきは)未成年な娘達に食べさせても良いものか?

今日の玉子は出汁巻きじゃなく砂糖たっぷりの甘い玉子焼きが食べたい。鮭とは合わない気もするけど、これはこれで食べたくなったのさ。

いつもの胡瓜と茄子の浅漬けと、ジャガイモとワカメの粒味噌お味噌汁で鮭定食の出来上がり。


「玉子焼きおかわり。」

「私もおかわりですわ。」

「(右に同じ)」

まぁ、案の定でした。本当に甘いは正義な世界だな。


今日は朝から馬くん参上。

姫さんのリクエストで馬くんに乗って行くとなり、私達は馬車を万能さんに動かしてもらいました。馬くんに乗りたいと駄々をこねた姫さんの我儘に対応しました。

チャリオットを万能さんが動かし、姫さんが騎馬と言うのは、馬くんと万能さんからの提案です。


なるほど、こう言うやり方も出来るんだ。

夕べのうちに複線にした線路を走るチャリオットの馭者席に私とミズーリが腰掛け、私の頭の上にツリーさんが腰掛けます。

ツリーさんは、重さは全く感じないのだけれども(多分、物理的な体重はないのだろう。聞いたら怒られるから黙っているけど)、足をパタパタさせてご機嫌を表現してるので、折角セットした前髪をぐちゃぐちゃになるのでなんだかなぁ。


今日は姫さんの乗馬ペースで進むので随分とゆっくり。ここ2〜3日は移動が激しかったりしてたし、てん菜畑の開墾の準備は終えて軍に引き渡し済みだし、およそ30キロの道のりをのんびり進みましょう。

馬くんは、一馬力ゆえ引く力に限界はあるものの、体力には余裕があるそうなのでそのくらいの距離に問題は無いそうだし。


若干の早足で2時間掛からず到着。途中、最初の開墾地に寄りましたが畑全体が発芽してました。椎茸が3日で育ったくらいだから、今更何も驚きませんが。

朝から畑仕事してた兵隊さんに敬礼されました。休憩の時間に飲んで下さいと、水路にミルク缶を冷やして起きました。


なるほど、駐屯地からの道より広く石畳が敷かれた道が山の方から伸びています。


ここか。


さて、どうしよう。先ずはこの痛んだ石畳を直すか。長年の摩耗と雑草の繁茂で些か見苦しくなっているし。駐屯地方面までの脇街道は複線路を敷いた時に少し広げてあるのだけど、見劣りがするからこちらにも石畳を敷いておこう。


ついでに、両街道の端に側溝代わりの水路を這わせる。ドミノが倒れる様に石畳と水路がビューって延びて行くのが気持ちいい。


因みに脇街道の整備は途中、最初の開墾地の直前まで。こんな非常識な光景を見られると、驚いて死んじゃうからね、農作業してる彼らが。


しかし、これだけ綺麗な水が流れる側溝だから、錦鯉とか泳いでたら最高なんだけどな。


森、木漏れ日、石畳、鯉の泳ぐ側溝。

これだけで前世日本のマスコミなら、観光地としてでっち上げるだろう。

姫さんと馬くんが大口開けて呆れているけど気にしない気にしない。


次は土塁に向かいます。石畳が吸い込まれる部分の土塁を30メートル開きます。この長さは東大寺南大門より少し大きいもの。

高さを28メートル、二重楼門・入母屋造をどっかーんと建造。

まさしく南大門のコピー。ただし、全て真っ黒な鋼製。


「ふわ〜。」


夕べの予定と少し変えたのは、慶派仁王像を安置した事。勿論、鋼製。

要はコケ脅しなんだけど、この世界では有用かもしれない。


「ふわ〜。」


そのかわり、別棟を内外に2棟建てて門2階部分と共に居住・待合スペースとして活用させます。扉はロダンの地獄の門を丸パクリ。

「この扉を潜らん者に幸あれ」と、文言は前向きに変えますけどね。天辺には、考える人も忘れずに。


 「ふわ〜。」 


国も宗教も滅茶苦茶ですが、「見た目」を派手に重厚にをコンセプトに「くろがねの城」の完成です。


「ふわ〜。旦那様。これが門ですか?帝都の宮殿より立派ですわ。」


ふわ〜ふわ〜言ってばかりだった姫さんがやっと帰ってきた。

いや、門だから奥行き無いし。

宮殿に見えるとしても書割が良いとこだけどね。

宗教が無い世界だから説明しづらいなぁ。お寺の厄除けの門なんだ。


「鉄の城って言ってる辺りで説得力がないんですけど。しかも運慶快慶の仁王像って、無駄に劇画調の筋肉ムキムキだし。なんとかZみたいに動き出しそうだわ。」


君は変に私の前世知識が増えましたね。

まぁ、いずれ。森が開かれる時代になれた時、一つの象徴になりますよ。


帰りは姫さんもチャリオットに戻って全員で馬車旅です。

森は通らず、土塁沿い水堀沿いをのんびりと走ります。日当たりの良い場所なので、馬くんも割とご機嫌。

やはりお日様の下で過ごすのが幸せだとつくづく思う。日当たりと、木々の保全の両立も考えてみようかな。


まもなく開墾地を通過。

畑を耕していた兵隊さん達が手を休めて、一斉にチャリオットに敬礼してくれます。

姫さんが馭者席に立ってニコニコ笑いながら手を振ります。


この姫さんおざなりな扱いの割に、兵隊さん達に本当に愛されているな。


「違いますわ。私は地方に厄介払いされた皇族ですから、叩き上げの兵達には舐められていましたし、それが嫌で私は自分にも他人にも厳しい人間になってました。下の者には最低の上官だったと思います。旦那様達と出会う前から、それは自分でも分かっていたんです。

旦那様にかしづく様になってからですわ。私が安心して笑える様になったのは。」


世話焼きさんが人の上に立つのって辛いよね。そういう資質が必要だから。


「トールさんはどうなのよ。私とかお姫様とか精霊とか率いているけど。」 


係長や課長にはなれても部長にはなれない。

父親にはなれてもビックダディにはなれない。分相応は弁えているつもりです。

それより何処かでお昼ごはんにしませんか?

どうせ今日はもうやる事ありませんし。




そうして土塁沿いを私達が走っていたのは僥倖だった。一番の戦力たる私達がそこに居たから。

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