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神々の無責任な後始末  作者: compo
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開戦(ただし2分で終戦) 

お昼には何を食べようか。

皆でワイワイと、ラーメンだのコロッケだのカツ丼だの、我が家の貧相な食生活を暴露しあっていたら、馬くんが突然疾走し出した。

いや、走っているのは馬くんでは無い。

馬くんの脚が地に着いて居ない。馬くんが宙を走っている。馬くんはペガサスでは無いので飛行能力はない筈だ。

という事は。


私です

緊急事態ですので飛ばします


きんきゅーじたいとゆーのはどーゆーことかね?万能さん? 

帝国でも攻めて来たのかね?


正解です

人数はおおよそ100人

万単位がいる我々に攻めるには少な過ぎますし 威力偵察かと


ふーん。

威力偵察と言ってもどうやって?

土塁を越える実験でもするのかね。

火矢とかで火災を起こしたりして。


満点ですよマスター

その通りに火矢で牽制しながら 特注の長いハシゴで越えるつもりの様です


森の中に侵入出来ても、森の外に脱出する手段が無ければしょうがないのに。

土塁の堀は内側の水堀の方を、魚の養殖の為に深く掘ってあるから、外で使ったハシゴじゃ届かない。


ただ万能さんの示す越境地点は、今日てん菜畑の開墾を始めている場所だな。

つまり、コレットの街から森の街道へ続く入り口。攻め手としては一番分かりやすいところではある。

まだ午前中とはいえ、さっきの開墾地でも朝早くから働いていたし、もう作業を始めている事は充分に考えられる。


土塁越えはここからでも対処できるけど、火矢の対処は正確を期したい。

何より木を一本も傷つけたく無い。


私の決意を知ったツリーさんが抱きついて来たけど、抱きつかれたまま今は無視。

万能さん、このまま私達を馬車ごと飛行船に収容して空から急襲します。


敢えて言います。

敵を全滅させます。


ミズーリは姫さんを庇って、絶対に窓の外は見せない様に。

「分かったわ。私の助けは居る?」

要らない。そのかわり派手に一気にヤル。


およそ20キロはある距離をものの数分で飛び切ると、飛行船の登場に驚きながらも、今まさに火矢を放たんとする兵の頭上に盛大に油を降らした。


水では無い、油である。可燃性揮発性の高い油である。

たちまち悲鳴のあげて火に包まれ、地面を転げ回る兵は、地面にも撒かれた油に逃げる事も出来ずにあっという間に焼き尽くされた。


土塁にハシゴを立てて取りつこうとした兵には、土塁に這わしてあるいばらに高圧電力を流して全員感電死させた。

日照の関係から土塁の高さをこれ以上高く出来ないから、万能さんからの提案で最初から通電性の高いニセモノを外壁側には仕込んでおいたのだ。

という訳で、奇襲を意図した帝国軍は逆に奇襲されて全滅した。およそ2分の戦闘はこうして終わった。


戦闘行為は終わっても、私の作戦は終わらない。

この際だ、やるだけやった方が良いだろう。

焼死・感電死した兵の死体回収すると飛行船をコレットの街の上空に、ただし姿を消して移動する。

万能さんの中には、前に私を殺そうとした東部方面軍の大量の死体を当時のまま収容している。

その全てを今お返しします。コマクサ公爵。


こうして、東部方面軍の兵が姫さんを除いて誰一人知らないまま戦闘は終了した。 

コマクサ邸には家の内外を問わず部屋だろうが庭だろうが、私に殺された兵の死体がその密度ゆえ立ち尽くし、コマクサ公の部屋を見続ける様に配置した。

矢が頭に刺さったままの者、黒く焼け焦げた者、高圧電流に眼球が飛び出たままの者。

ただし、コマクサ公とその家族がいた部屋には死体は配置しない。

ドアを開けたら、窓を開けたら死体がそこに立っていて部屋から出る事も容易では無い。

さて、コマクサ公爵はどんな反応を見せるだろうか。


終わった終わった。さぁお昼ごはんだ。


「いやいやいやいやいやいやいやいや。良いのこれ?」


もう少し穏便に済ませても良かったけど、いずれこういう形で死体をお返しするつもりだったし。本当は死体で公爵を圧死させようと思ってもいたんだよ。


「私が手加減が分からずキクスイで大量虐殺になった時は、一応落ち込んだのよ。」


今回はせいぜい100人。少ない少ない。


「そーゆー問題じゃないでしょう。」


絶対的戦力差を見せつけておかないと、後から後から攻めて来られても面倒くさい。

私はコマクサ公爵と対立しているんであって、帝国に介入するつもりはサラサラ無い。

帝国を滅ぼせる力が私達にはある、という事を見せつけた方が最終的な被害者数は少ない筈だろう。

実際、ここまで全て私達は正当防衛だ。命のやりとりしてるから過剰防衛ってのは無しな。


「まぁ、ピストルとか核爆弾を持って居る人に普通近寄らないけどね。出来れば余り人を殺して欲しくないかな(天界が大変そうだし)」


おや、随分と愁傷な事をおっしゃる。

というかね。姫さんや森の精霊達との交流で、いくつかの絡繰が分かって来たんですよ。この国に来た当初、万能さんが何故か切れていた理由。本来なら人間とは距離を置く筈の精霊が向こうから私に近づいて来た理由。


「(女神なのに)私には分かんない。」


それが分かった時には、死の女神の本領発揮とはなりますよ。

悪知恵に関しては、力任せにどうとでも出来る神族と違って無力ゆえ頭を使い続げてきた人間の方が上です。

必要最小限の被害で最大限の効果を上げる。

この世界の人間が、精神的に脆弱だった事を逆に利用出来ますから。


「意味分かんない。」


分かった時は全てが終わる時、私達が帝国を離れる時です。


「いっそさ、黒幕とか万能さんの力で分かんないの?一気にズバーって。」


黒幕ねぇ。言うならば、この国の貴族連合そのものなんでしょうけど、実行犯は帝国人民全てです。殺戮しまくりますか?なんならコレットの街は親指鳴らせば消滅しますけど。


「…そう言う事。だからトールさんは滅茶苦茶な文明進化を始めた訳か。」


姫さんや森の精霊が笑って暮らせる国を作るって最初に宣言したのは、そうゆう事です。

だから、さっさとお昼ごはんにして、精神衛生上昼寝でもしましょう。

それに、姫さんもそろそろ限界でしょうし。

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