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第四話 怪獣君と都市伝説

「って訳なんだよ、水町さん。」


「……ふーん。そうなのね。」


 昼休みの図書室に怪獣君と水町さん、それとアヤト君がいた。


「そんな事より怪獣よ、一つ聞きたいことがある。」


「なんだいアヤト?」


「どうしてお前達は昼休みに一緒にいないんだ?」


「だって学校ではボディーガードの必要がないし……。」



「付き合ってんじゃねーのかよ!?」



 声を荒げるアヤト君に怪獣君は(うつむ)き気味に静かに答える。


「そんなんじゃないよ……。」


 最初はそれを気に止めていなかった怪獣君にも少し変化が起きたようだ。

 怪獣君の答えに二人は顔を見合わせる。


「怪獣、お前なぁ…。」

「まぁまぁアヤト君。」


 ため息をつくアヤト君を水町さんはなだめる。


「とにかく、ナスノさんに気付かれないように犯人を捕まえるんでしょ?」

「そうしたいんだ。」

「まぁそれはそれでいいよな!探偵みたいで面白そうだ!」

「もう!アヤト君ったら不謹慎(ふきんしん)なんだから。」


「うちの学校に伝わる()()()()みたいだしさ、ワクワクするよな!」


 楽しそうに喋るアヤト君の言葉に疑問を浮かべる怪獣君。


「都市伝説って?」


「あぁ!」

「この学校には『浜音(はまね)の笛吹き』って噂があるのよ。」


 よくわからない返答をするアヤト君の声を遮るように水町さんは答える。


浜音(はまね)の笛吹き?」


「そう、怪獣君は『ハーメルンの笛吹き』って知ってる?」

「……聞いたことあるようなないような。」


「これはドイツのハーメルンって町に伝わる伝承でね、笛吹きが街を荒らしまわるネズミを退治した見返りに町中の子供たちをさらっていったって話なの。」

「そしてこの学校にもその笛吹きが出るんだって噂なんだよ!」


 息の合った二人の説明に関心しながらも納得いかない怪獣君。


「なんでまた?」


「そりゃ実際にさらわれた生徒がいたからさ!」


「え?」


「……私も先輩達から聞いた話なんだけど、私達の一つ上の学年にウタノさんって人がいたらしいの。」


「ふんふん。」


「その人が突然学校に来なくなって……、来なくなる直前から様子がおかしかったらしいの。」


「どんな風に?」


 疑問符(ぎもんふ)を浮かべる怪獣君に水町は答える。


「運動部に入ってていつもは活発なのに、ある時から魂が抜けた様にぼーとしていたらしいわ。」


「……ぼーっと?」


「そう、ある日を境に突然よ。それで笛吹きに誘拐(ゆうかい)されたんじゃないかって噂が流れているの。」


「……それでその人はどうなったの?」


 (おそ)(おそ)(たず)ねる怪獣君に二人は顔を見合わせながら答える。


「……詳しい話は私も知らないわ、ごめんなさいゴボウ君。」

「ま、まぁ先輩達がヤバいやつがいるって話してたのが俺達に伝わって来ただけだからな!」


「それじゃあ結局何がなんだかわからないじゃないか。」


 (うつむ)く怪獣君に肩をすかせながらアヤト君は笑う。


「まぁ噂なんてそんなものさ、誰かが尾びれをつけて伝説になったってことさ。」


「……そんなものか。」


 結局ストーカーの正体に(つな)がる情報が得られずに落ち込む怪獣君。

 そんな彼を前にしてもアヤト君の笑顔は(くず)れない。


「噂の真偽(しんぎ)はともかく犯人を見つける為に作戦会議だぜ!」


 アヤト君の指揮(しき)の元、彼らは犯人の正体を(あば)くため作戦を()るのでした。

2018/03/20 一部修正しました。

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